Samsungの2つ折りスマートフォンGalaxy Z Fold 3 5G」(以下Fold 3)を購入して1カ月が経過した。特別な形をしているスマートフォンだけに、使い方や価値について、日常的にいろいろと思うことはある。

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 今回は、「大きな画面の2つ折りスマホの価値」を、あらためてじっくりと考察してみたい。

●重いが「ちょっとその辺に」持ち出せる快適さ

 Fold 3を語る上で重要な点は2つ。防水の2つ折りであること、そして、実用的なペンが使えることだ。

 2つ折りである、ということは、大きな画面をより小さく持ち歩けるという意味を持っている。「Galaxy Z Flip 3」や「Motorola Razr 5G」のような製品は、縦に長いスマホコンパクトにするためのデザインである。一方で、Fold 3のようなデザインは、タブレットに近いサイズを持ち歩くためのもの、といっていいだろう。

 あらためて思ったが、両者は似て非なるものだ。

 正直な話、Fold 3は折り畳んでも重い上に厚く、持ち運びづらい。iPhone 13 Pro Max(238g)やPixel 6 Pro210g)のようなヘビー級スマホよりも重く(271g)、ずっしりとくる。折りたたむと細くはなるがそれでも分厚い。もちろん個人によって感覚は違うだろうが、スマホとして持ち歩ける限界ギリギリだ。カバンの中に入れて持ち歩くのがふさわしい。

 現状、だいぶ落ち着いてきたとはいえ、以前のように「外で仕事するのが日常」というわけでもない。過去はウイークデーのうち最低4日は取材で出掛けていたものだが、戻ってきたといっても今はまだ半分くらい。だから、Fold 3も持ち歩くよりも自宅の中で使っている時間の方が長い状況だ。

 筆者はふだん、タブレットとしては12.9インチ版のiPad Proを使っている。「大きすぎない?」と言われることもあるが、映像を見たりマンガを読んだりすることも考えると、そうでもない。PC/Mac的に使うことも多いので、これはこれでいいと思っている。

 一方、自分でも「大きいな」と思うことは確かにある。ちょっと離席する時に手に持っていくものとしては、まあ、確かに大きい。

 ちょっと離席とは、お茶を飲んだり食事をしたりトイレに行ったりする時のこと。活字中毒かつ映像中毒でもあるので、そういう時でも(1人ならば)なにかを見ている・読んでいることが多い。昔なら必ず文庫本を持っていたものだが、今ならタブレットだ。スマホでない理由は、単純にそっちの方が画面が大きくて楽だからである。

 とはいえ、12.9インチは大きい。そこで「なんとなくちょうどいい」サイズとして、Fold 3が活躍している。

 とすると、そこは別のもの……例えば「iPad miniでもいいんじゃないの?」と思う人もいるだろう。

 実際、そうだと思う。ただ、使い勝手はかなり異なる。正直な話をすれば、Appleの流儀に慣れていて、スマホタブレットの2台持ちをいとわないのであればiPad miniでもいいし、そちらの方が安くつく。

 ただ、メインスマホをこれ1台に集約できるのは利点ではある。

 まあ、筆者は1台にまとめていないので、その利点はないのだが。

 筆者にとっては「パカパカするもの」を使っていること、そこから得られる発想や知見が重要なので、iPad miniを買うのは「個人としてちょっと違う」感じだ。

●実は半端な「縦横比」、ちょっとだけ曲げて使うのがベスト

 とはいえ、Fold 3の利点と欠点もだいぶ見えてきた。

 利点はコンパクト「にもなる」ことなのだが、欠点は「開いたときの縦横比が半端」なことだ。

 Fold 3のアスペクト比は約12.5:10で、正方形よりちょっと縦に長い。これは折りたたみ、細長いディスプレイを持つスマホとして使うことを考えてなのだが、結果として、縦に持ったままだと「左右分割」では妙に縦長になる。

 それはそれでいいという考え方もあるだろうが、本当は「本を見開きで持った時」のイメージに近い方がありがたい。そう使うためには「横に持つ」感じになり、今度は折りたたみ方向とページの「見開き方向」が合わない。

 2つ折りの「見開き的」イメージではなく、シンプルに「広い画面」として使った方がいい……という結論に達する。片側の画面を縦でなく横に伸ばし、「白銀比(1:1.414……)を真ん中で折りたたんだ形」に近づけてほしいと思ってしまった。それは、自分が「細長くして耳に当てて電話する」ことを求めていないからでもある。

 この辺は、画面分割の方法がまだ面倒くさいことも関係している。正直なところ、画面分割はそこまで使っていない。10インチを超えるような画面ならともかく、このサイズだと、今の操作感なら無理に分ける必要性を感じないからだ。

 PC的に「複数のアプリを立ち上げ、データコピペしながら作業する」なら画面分割は活用するのだろうが。サイズが一定以上でないと、そういう使い方は難しいようにも思う。同じことはiPad miniでも感じており、やはり人間の身体性=サイズによって道具の意味は変わるのだな、と改めて感じている。

 身体性という意味で、Fold 3にはとても良い要素がある。それが「曲がる」ということだ。

 ここまでの写真をよく見るとお分かりと思うが、筆者は画面を「ピン」と平くして使う機会が意外と少ない。真ん中で少し折って持つ方が、片手では圧倒的に持ちやすいからだ。長年文庫本で慣れたスタイルということもあるだろう。271gのFold 3は平均的な文庫本の倍くらい重いが、京極夏彦やダン・シモンズの文庫本を読むことを考えれば、軽いものだ。

 縦の場合でも横の場合でも、ちょっと「くの字になる」方が手のひらの上で支えやすいし、机の上にも置きやすい。

 実はこの要素こそ「折りたためる最大の魅力」だと思っている。

 動画などを見る時にも、完全に平らにして画面を見やすいところまで持ち上げるのは大変だ。だからといって、上半分に動画を限定すると、前出の「縦横比がイマイチ」な問題から、動画の表示領域が小さくなりすぎる。

 どうするかというと、ちょっと手前にわざと画面を傾け、そのまま全画面で使うわけだ。

 すると、画面も大きいまま、のぞきこまなくても使える。

 ゲームリモートプレイクラウドゲーミングに使っていたりするのだが、この「ちょい曲げて使う」のがとても見やすい。スマホを挟んで使うタイプコントローラーと組み合わせると、操作感も非常に良い。

●気になって純正カバーをカスタマイズ

 「ちょっと曲げて机の上に置く」パターン、実は1つ工夫がある。

 同時に購入した純正アクセサリーである「Flip Cover with Pen」を加工して使っているのだ。

 Flip Cover with Pen、名前の通り、表と裏をカバーするフリップケースの真ん中にペンが刺さり、そのまま持ち歩ける構造になっている。

 今回からペンに対応したFold 3を生かすには必須のアクセサリーといえるのだが、ちょっと気になる点があった。

 表側のディスプレイカバーが、正直邪魔なのだ。

 表側が見えないといけないので自由に開き、ずれる構造なのだが、こうすると、開いて持つときに意外と表側のカバーが邪魔になって持ちづらい。

 最初のうちは我慢していたのだが、2週間ほどで「カバーをカスタマイズしてしまおう」と思い立った。

 本来あったディスプレイ側のカバーを切り取ってしまい、背表紙に当たる部分にあったペンホルダーが刺さるアダプターを切り離し、裏面カバーの左端に貼り付けたのだ。

 結果、片手で持つ時にカバーが邪魔になることはなく、ペンも同時に持ち運べる。そして、ペンの部分にちょうど指がかかるので、持ちやすくもなっている。

 さらには、ペンの分、机の上に置いた時に傾くようになったので、ディスプレイがいい感じに斜めになって見えやすい。

 いろいろとプラス面の多い改良である……と自分では思っている。

 マイナス面は「ペンの分、より厚くなる」ことで、もはやズボンのポケットに入れるのは厳しい。荷物の中に入れてしまうならこれでもいいだろう。

 なお、実はこのペンホルダー、スライドレールになっていて外れるので、ペンを持ち運ぶことにこだわらないなら薄くすることもできる。まあその時は、ケースごと外してしまえばいいと思うが。

 表面のガラスを保護できないのも欠点とはいえる。だが、筆者はスマホケースをあまり使わない、俗にいう「裸族」なので、まあ、これはこれで良かろうと思っている。角を守ることも考え、フィルムだけは貼ることにしたが。

Galaxyはやはり「Windows」との相性が良い

 やはりFold 3の特徴はペンだ。

 ペンアプリSamsung Notes」との連携は本当に強力である。ペンで音声録音をしながらメモをとり、後から手書きした文字を手掛かりに検索し、そこで何を言っていたのか録音を確認しながらメモをチェックする……ということまでできる。

 要は、「書いた場所とのシンクロ録音」「手書き文字認識による検索インデックス」という2つの機能を兼ね備えているわけだ。メモツールとしてとても使いやすい。

 こうした要素はGalaxy Noteの時代から培ったもので、さすがだと思う。

 では、それらを他の機器でどう生かすのか?

 そうなると、Windowsではとてもよく環境が整備されている。

 Microsoft Storeから「Samsung Notes」アプリダウンロードして連携すればメモは同期され、PC上で利用できる。もちろん無料だ。Surfaceなどのペン対応PCなら、Samsung NotesをPCでの手書きメモアプリとしても使える。

 Windows 10以降に搭載されている「スマホ同期」アプリと合わせて使うといいだろう。SamsungMicrosoftとの関係を強めており、OneDriveなどとの連携も行われている。

 AppleMaciPhoneiPadの間でやってきたことではあるが、より広いデバイスでできるのは魅力ではある。

 一方、逆にMacを使っていると、メモ連携なども制限が出てくる。Samsung Notesには「OneNoteとの連携」が謳われているのだが、これが、OneNoteアプリ」とではなくWebサービスとの連携になっており、画像は見れても録音は再生できないなど、制限も多い。

 まあ、iPadの方も、Windowsから純正のメモのデータを使おうとするとWeb経由になったりするので、相互の行き来はけっこう面倒、というのが実情だ。

 筆者はメインのメモに、MaciOSiPadOS用のメモアプリ「Notability」を長年使っている。これにはWindows版・Android版がないものの、クラウドPDF+録音データとして自動バックアップできるので、Windowsなどからも「メモデータを閲覧する」ことはできる。

 今のところ、Fold 3は立ったままのメモ、例えば展示会取材や会見での囲み取材に使うことを想定しているが、出番はまだない。

 そうした「立ったままの取材」がもっと戻ってくるようなら、データの統合や相互利用をどうするか、もう少し考えないといけないかもしれない。

 まあ、個人的には、日常的にはMacWindowsが両方立ち上がっているので、何とでもなるのだけれど。

※この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、西田宗千佳さんのコラムを転載したものです。

机の上に置いて、上を「ちょっと曲げる」と動画視聴時に見やすい