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2か月ほど前、『ザ・ノンフィクション』に某パチスロ攻略雑誌のライターをしていた方の終活が前後編、2週に渡って放映されていた。末期のがんで、余命いくばくもない状況ではあるものの、最後は自分のしたいことを出来るだけこなすため、精力的に行動する様子が画面に映し出されていた。

都度、その方のお母さまのインタビューなども挿入されて涙腺になかなか来る構成になっていたが、随所に強烈な部分もあった。終活だと言って旅行に出向いた折、目に付いたパチンコホールにそのままスルスル入店して、普通にパチスロをやっていたのだ。

これってなかなか凄いことで、もうそんなに残されてない時間を有効に使うための旅行で、パチスロをするのだから個人的には笑えてしまった。「ああ、俺も同じ境遇になったらこれやっちゃうかも」という、感じたくない親近感をおぼえたが故の笑いである。

実際、元々パチンコ好きな人って、旅行先でパチンコをしちゃうってことが結構あるのだ。
今日はそういう、しょうもない話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)

普段もパチンコ、旅先でもパチンコ

先日、5ちゃんねる「旅先でもパチンコ打ってる奴ってマジの依存症だよな」というスレッドが立っていた。スレ主は「パチ屋に実家みたいな安心感持ってそう」とも書き込んでいたが、実家ほどの安心感はなくても、気兼ねなく立ち寄れるトイレぐらいに思ってるパチンコ打ちは多いはず。僕も残念なことに、その中の1人だ。

当該スレッドには、実際に旅行中もパチンコをしちゃった経験を持つ人の声がチラホラ見受けられた。ちょっといくつか紹介していこう。

「旅先のグルメにしか興味ないから飲み食いの間はパチンコしてるよ(筆者注:飲み食いしてない間ってことかな)」

「俺は高校の修学旅行北海道に行った時にガメラ打ってお土産買えなかったわ」
「時間があれば覗いてみるなぁ。どんな珍古台があるやも知れんし、そこでしか打てなさそうなら打ってみたい」
「旅先ではタクシーでパチ屋行く依存症」

珍古台ってワードが出てるけど、これもパチンコ用語みたいなもので珍しくて古い台という意味。全国導入が1000台以下とか、既に大抵の店では撤去されたような機種のことを指す。最近はもうほとんど検定切れの機種を置く店はないので、実質的には珍台しか見かけないけれど。

3泊4日の沖縄旅行中にホールに行った思い出

かくいう僕も、30歳になるかならないかってタイミングで地元の友達数人と沖縄旅行に出掛けたことがあった。そのうちの1人と川崎で前日の夕方に待ち合わせをしてパチスロをしたところ、閉店まで出っぱなしで2人とも勝ってしまった。

翌朝「昨日は凄かったなあ、でもまあ沖縄では観光を楽しもうや」とか言いながら飛行機で沖縄入りして、たしか初日は観光に終始できた記憶がある。ところが翌日、レンタカーで色んな観光地を巡った挙句「ちょっとパチンコ屋に行こう」みたいなことを僕が提案し、夕方から地元の大型店にまんまと入っちゃったのだ。

旅先でまでパチンコをするなんて情けない人間に育ったなぁと思ったものだけど、まあ仕方ない。実際、内地には設置されてないご当地台もあって、珍しい思いもしたし。それに沖縄って朝の開店も早く、夜も遅くまで営業していることが分かったのも新鮮だった。

この店には3人で訪れたんだけど、僕も含めて内2人が早々に討ち死に。ところが残る1人がまあ終わらない終わらない。連チャンが延々続き、しまいには夜も23時を回ってしまった。

「さすがに悪いから、先に飯行ってて」と促されステーキを食べることに。で、そうこうしてると1人残って連チャンを消化し終わった友人がものすごくいい笑顔でやってきて「いやあ、16万も勝っちゃったわ」と一言。もちろんステーキはそいつにおごってもらったが、こういうバカみたいな思い出が一番記憶に残っている。

正直、その翌日に予定していたスキューバー体験も直前まで「キャンセルしてパチンコしようや」と誰が先に言い出すかのチキンレースみたいになっていた。当然せっかくの旅行なので渋々スキューバーはやったけれど、「ああ、魚は見るより揃えるほうがいいや」と思った自分が嫌になった。

最終日の自由時間でも、みんなが免税店巡りなんかをする間にパチスロをしていた。そこでも結構笑えない額を失った記憶がある。

パチンコを打つ人間にとって、旅行中といえどそれはそれって感じで、いきなりスイッチが入ることってのはあるものだ。節操がないのである。やっぱり普段から脳を焼かれて、正常な判断ができなくなるんだろうなぁ……。

【永遠の謎】せっかくの旅行なのに… なぜパチンコファンは旅先でもパチンコホールに入ろうとするのか