カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 飲酒運転は悲惨な事故を巻き起こす。その為罰則の強化は各国で進められているが、アメリカでは一歩抜きんでた法律が施行される。

 今月半ば、アメリカのジョー・バイデン大統領が署名した法案では、自動車メーカーは、全ての新車に飲酒運転防止システムを設置しなければ罰則が科せられる。

 この法案は2026年までに施行されることになるようだ。

【画像】 車に飲酒運転防止システムを搭載することを義務付け

 11月15日、アメリカのジョー・バイデン大統領は、インフラストラクチャー投資法案の中の交通安全プログラムに予算総額1兆ドル(約110兆円)の中から170億ドル(約1.9兆円)を投資し、飲酒運転者を検出するための新しい技術装置を全ての車に搭載することを義務付ける条項に署名したことを明らかにした。

 この法案は、飲酒運転による交通事故の防止を確実にするためのものであり、3年以内に連邦自動車安全基準を規定する最終規則が発行されることになる。

 現段階では、このシステムがどのような形で設置されるかは明確ではないが、法案としては下記の要件が必要となる。

・合わせて読みたい→英国飲酒運転撲滅キャンペーンで仕掛けたトイレでどっきりが恐怖レベルマックス

・運転者のパフォーマンスを受動的に監視して、運転者が飲酒による運転障害が生じているかを正確に特定すること。

・法的限度となる0.08%以上の血中アルコール濃度が運転中に検出できるようにすること。

・運転障害を検出した場合は、運転停止または制御することを可能にすること。
people-g8f1135d9d_640_e

pixabay

賛否両論あるものの、今後の飲酒運転は減少する見込み

 もしこの法案が2025年にも施行されることになれば、毎年9400人以上の飲酒運転者による死亡者を防ぐことができるという。

 飲酒運転撲滅を目指す非営利活動団体『MADD(Mothers Against Drunk Driving)』のアレックス・オッテ会長は、次のようにこの法案を称賛している。

この規定は、“飲酒運転の終わり”の始まりになることでしょう。

道路の悪夢を食い止めるには、こうした技術が必要です。この技術は、自分で正しい判断がつかない人々の危険な運転行為を阻止します。

 しかし、飲酒検知システムの設置には、賛否両論が寄せられている。

・合わせて読みたい→睡眠不足は飲酒運転に匹敵するリスク。睡眠が1、2時間短くなるだけで、交通事故のリスクが2倍になることが判明(米研究)

 誤検知により運転者が車にアクセスできなくなる可能性や、データが法執行機関により個人を起訴するために使用された場合のプライバシーの侵害といった懸念があるからだ。

 また、今後この装置をつけた車を運転した者が事故を起こした場合に、メーカー側が責任を負うのかどうか、といった点についても現時点では明らかになっていない状態だ。

 自動車メーカーにとっては、この法案は大きなコスト負担となることは間違いないようだ。

References:US law signed by President Joe Biden will require new cars to detect drunk drivers - ABC News / written by Scarlet / edited by parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

飲酒運転防止システムを全ての新車に搭載することを義務付ける法案が2026年までに施行(アメリカ)