新入社員が職場の初日を迎えて1週間。すでに顔を見せない新人がいるようだ。週明け月曜日の4月7日、ネット上には早くも「新人が来ない」「もう辞めた」といった書き込みが見られる。

「今日、指導する予定であった新入社員が来ない。上司が連絡とったら辞めたいとの事。素晴らしい決断力だわ。若いって素晴らしいw」

ツイッターには7日、こんなつぶやきがあった。新人は上司に呼び出しを喰らい、説教をされるが退職の意志は変わらず、総務部長に「(採用費が無駄になったから)金返せ!」「誰か代わり連れてこいや!」と怒鳴られたそうだ。

「命が危ないから辞める」と決断する人も

5日には参院議員の松田公太氏も、新人秘書がもう辞めてしまったことを明かしている。2日目に腹痛で休み、3日目に電車遅延で遅刻、4日目は朝9時にトイレに立ち、そのまま戻ってこなかった。松田氏は新人に対し、ブログでこう綴っている。

「『今が嫌だから』と目前の状況から逃げるように辞めた人で、成功した人を見たことがありません。特に会社に迷惑をかけるような辞め方をした人は例外なく次でも失敗しています」

もっとも、入社まもなく姿を消した新人を「甘い」と断罪するのも気が引ける例もある。Aさんは、入社4日で17時間もサービス残業を強いられ、次週からの土曜出勤も命令されたそうだ。

休日出勤手当は、もちろん出ない。「(求人に)書いてあったことと何もかも違うじゃないか」とツイッターでつぶやいたAさんは4日、退職を決意した。うつ病過労死のリスクは取りたくない、ということだろう。

「勘違いしないでほしいのは、大変だから辞めるのではなく『命が危ない』から辞めるんです僕は」
「経歴にキズが付く前にさっさと辞めて就職しなかったことにして既卒として就活を始めようと思います」
「26歳フリーター、正社員経験なし」でも即採用?

就職まもなく「辞めたい」と漏らす若者に、「いま辞めても他に雇ってくれるところはないよ」と囁くブラック企業もあるようだ。しかし幸いなことに、労働市場は一部で「売り手市場」が始まっており、「イヤならとっとと辞めよう」が可能になっている。

NHKは6日、円安やリストラの効果が出た企業で、来年度の新卒採用数を大幅に増やす計画があると報じている。パナソニックは今年度比2倍増の予定だ。

4月6日はてな匿名ダイアリーには不動産業と飲食業を営む経営者が、「東京都心の求人状況がヤバイ」という書き込みを残している。

バイトが雇えず、時給は高止まっており、特に飲食は「正社員も募集してるのに全く応募が来ない」と嘆いている。人手不足のせいで、もうすぐ「お店が一軒止まります」というほどの厳しい状況だ。

「26歳フリーター、正社員経験なし、みたいなこないだまでゴミ以下の扱いだった労働者が、現在は都心の中小企業であれば即採用の状態になってる」

若者に移民反対の声があることを踏まえ、「これ以上労働力不足が顕在化すると、移民は間違いなく加速します。ニートに全てが懸かってます」と呼びかけている。

雇用の流動性が高まれば、労使のパワーバランスは当然変わる。ブラック企業にしがみつく人が減れば、労働環境の改善が進むことも期待されている。

そうした意味では、職場が自分に合わないと察知した新入社員は、思い切って辞めてしまうというのも一つの手だと言えるだろう。目の前の困難は、乗り越えるに値するものか、それとも避けてもいいものなのか。よく見極めて判断したい。

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