大火球

火球は、流星の中でも特に明るいものを指す。宇宙空間のとても小さなゴミやチリが、地球に向かって毎秒10キロを超える猛スピードで飛び込み、空気などの分子と衝突して光を出す。

ふつうの流星では飛び込んでくるチリの大きさが約1ミリから数センチほどだが、それより大きいものだと火球になる。そんな大火球の目撃情報が、29日未明に相次いだ。

【動画】大火球の撮影に成功した藤井さん


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■24時間観測体制

24時間常時、富士市平塚市に設置してある複数台カメラで、宇宙の観測を行っている平塚市博物館(神奈川県平塚市)天文担当学芸員の藤井大地さん。

大火球

今回の大火球を、29日午前3時41分17秒に、富士から南の空に向けた広角カメラで捉えた。流星が光ると同時になる音もキャッチできたという。


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■隕石として落下はしていない

しらべぇ編集部の取材に対して「対地速度21.1km/s、突入角42.4度で落下した。また、高度102kmから光り始め、高度38kmで光り終わった。消失点高度が高いので隕石になった可能性は低いかもしれない」と話す。

一般的に高度20kmあたりで光り終えると、隕石として地上に落下する可能性が高いそうだ。

■青い大きな火球

今回は、伊豆半島沖上空を西から東に流れたため、静岡県千葉県などで目撃された可能性が高い。Twitter上には、「青いかなり大きな火球をドライブレコーダーが捉えた」といった投稿も多く見られる。

青く見られる現象について、藤井さんは「温度が高いために、青く見えるのではない。流星に含まれる物質とそのときの大気の成分が相互に影響しあって、見える色が決まる」と語った。

今回の火球は、しし座流星群などではなく、流星群に属さない「散財(さんざい)流星」だという。

■来月に今年一番の流星ショー

来月には、今年一番の流星ショー「ふたご座流星群」の極大が待っている。国立天文台によると、12月14日午前2時から同5時頃までは、1時間あたり約40~50個の流星が見られるという。

今回は13日の夜から14日明け方にかけてと、14日夜から15日明け方にかけての2度チャンスが訪れるそうだ。また、流星は放射点を中心に放射状に出現する。

いつどこに出現するかはわからないため、なるべく空の広い範囲を見渡すことが大事。さらに、目が屋外の暗さに慣れるまで最低でも15分ほど観察を続ける必要がある。防寒対策の上、レジャーシートを敷いて寝転ぶなどすると楽に観察できる。


■非常に明るい大火球

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(取材・文/Sirabee 編集部・おのっち

29日未明の天空に出現した大火球 撮影者は「伊豆半島沖上空を西から東へ」