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11月24日午前9時、神奈川県の埋立地にある会館に、1台のミニバンが止まった。

スライドドアが開き、颯爽と降りてきたのは、トレーナーにスニーカーとラフな格好の反町隆史(47)。旧知の男性スタッフに出迎えられると、笑顔で肩を組み施設の中に入っていた。

この日は反町が“相棒”を務める水谷豊(69)主演のドラマ『相棒 season20』(テレビ朝日系)のロケだった。

実は本誌が目撃する4時間前に反町の『相棒』からの卒業が、テレビ朝日から発表されていたのだ。

「卒業が明らかになるとたちまちSNSで、“反町隆史”というワードがトレンド入り。多くの『相棒』ファンから、ねぎらいの声があがっていました」(テレビ朝日関係者)

’15年から水谷の4代目“相棒”として抜擢され、好評を得てきた反町。同日の放送回で計125話に出演し、歴代最長の“相棒”となった。

テレビ朝日からの卒業発表で反町が寄せたコメントに、“相棒”を務め続けることができた理由が、述べられている。

《ただ、(水谷さんに)追いつけなかったからこそ、7年という長い間、やってこられたのかなと思います。一言では言い表せない思いがありますが、今はとにかく感謝の気持ちでいっぱいです》

■七年目の決別の裏側

降板には、どのような経緯があったのだろうか――。テレビ局関係者が明かす。

「各シーズンが終わるタイミングで、水谷さんにお伺いを立てて“相棒”の続投が決まるシステムになっていました。しかし今回の卒業は、水谷さんやテレビ朝日側の発案ではなく、クランクイン直前に反町さん側から言い出したのです。まだまだ今の体制のまま続いていくだろうと考えていた制作サイドにとっては寝耳に水の出来事でした。

丸6年間演じてきて、今回は区切りのいいシーズン20。そして反町さん自身も、50歳の大台が見えてきています。もはや国民的ドラマとなった『相棒』で役者としての評価を上げましたが、さらに新たな挑戦が必要だと考えたのでしょう。『相棒』はあくまで水谷さんの作品ですからね」

決断にあたり、ある出来事も影響していたようだと続ける。

「今シーズンが終了した後に撮影予定だった『相棒』の新作映画が、コロナ禍で休止になったそうです。もちろん反町さんも出演予定でした。映画化が当面、延期になってしまったことも、一つの要因ではないでしょうか」(前出・テレビ局関係者)

反町から7年目の訣別宣言を突き付けられて、水谷はこのように応えたという。

「反町さんをソリと呼び、プライベートでも連絡を取り合うほど仲がよく、役者としても認めていました。来年、水谷さんは70歳を迎えますし、『相棒』を終えるときまで反町さんがそばにいるものだと考えていたそうです。そんななかでの降板は、水谷さんにとって内心受け入れがたいことでしょう。

しかし卒業を知らされた際には、反町さんの決断にとやかく言う筋合いはないからと、慰留などせずに『わかった』と答えたそうです。水谷さんは周囲に『作品を降りても、ソリとの個人的な付き合いは今後も変わらずにしていくつもりだよ』と話されていると聞いています」(前出・テレビ局関係者)

突然の卒業発表当日に放送された『相棒』の視聴率は、15%。前週から、4%も向上している。

■制作陣が模索する冠城亘の“引き際”

このように卒業を惜しむファンが多くいることもあり、“歴代最長の相棒”を盛大に送り出す計画が進んでいるという。

「制作サイドは現在、水谷さんのベストパートナーである反町さんの最高の “引き際”を模索しているみたいですよ。前任者たちとの別れは、辞職や異動、逮捕でした。なんでも今シーズンの最終回で冠城亘が“永遠の別れ”となる構想もあるそうです。歴代の『相棒』ではじめての殉職シーンとなります。水谷さんも反町さんと同作での再共演が今後、消滅するのは寂しい思いもあるでしょう。

往年の名作『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)をほうふつとさせる“最期”で、インパクトは絶大。過去最高視聴率である23.7%超えを目指しているとか……。もちろん反町さん本人が希望すればですがね」(映像制作関係者)

あとを継ぐ新“相棒”に関してはまだ白紙のようだ。

「このドラマは2クール続き、1年に8カ月もの長期間撮影するので、後継者探しには時間がかかります。だからまだ正直、何も決まっていません。今までのイメージを覆す5代目を探すことになるでしょう」(前出・映像制作関係者)

LIBRA’20年3月号のインタビューで反町は“相棒”を務めることについて、このように語っていた。

《1年目は1歩、2年目は3歩、3年目はできれば10歩とか。少しでも近づいていく努力をし、「『相棒』の仕事をやって本当によかった」と思える日が迎えられたらいいな、と。それができたならば、自分なりの挑戦の結果に納得ができるかなと思っています》

冒頭の卒業発表後のロケ現場で見せていた笑顔。そこには新たな挑戦に対する“納得できる”答えがあるように見えた――。