税金は政治家に甘く一般庶民に厳しい

 衆議院総選挙が終了し、たった1日で月額100万円が満額支給されたということで国会議員の文書通信交通滞在費(以下:文通費)が問題になっている。

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 これは、税金の使われ方として我々庶民とは全く違う特別待遇になっている点が問題である。

 同じ税金でよく地方創生の現場でも活用され、一般庶民である私も活用したことがある補助金との大きな違いを整理してみたい。

 まず1点目は、文通費が使ったか使わなかったかにかかわらず一律に支給されるが、補助金は基本的に先に立て替え払いをした上で後から使った分だけ支給される点である。

 もちろん、金額が大きい場合は概算払という形で一部先払いする手続きもあるが基本的には後払いである。

 2点目は、文通費は領収書など証拠書類を必要としないが、補助金には必ず領収書など証拠書類が必要になる点である。

 その領収書に関しても、ものによっては事前に相見積もりをとってなぜここから買ったのかという説明ができないといけない場合もある。

 3点目は、文通費は後から会計検査院がチェックしに来ることはないが、補助金は会計検査院によるチェックが行われるという点である。

 会計検査院は他から制約を受けることなく厳正に果たせるよう、国会および裁判所に属さず内閣に対して独立の地位を有する憲法上の機関とされている。

 つまり、会計検査院によるチェックという第三者による監査が行われる。

 これら3点の違いを一言で表すなら、国会議員が支給される文通費はどんぶり勘定で支給基準が甘いが、一般庶民が活用できる補助金は厳密に計算され、支給基準が厳しいということである。

 私も補助金を活用する際に「融通がきかなくて厳しいですね」と言うと、「税金なので説明責任があるから手続きが厳しいんですよ」という主旨を行政の方からたびたび言われる。

 それなのに文通費に関しては何の説明責任も果たされていないというのはおかしな話である。

政治家が優遇される原因

 これは構造上の問題であると私は考える。

 つまり国会議員の誰々が悪いというのではなく、今の仕組みに欠陥があるということである。その欠陥とは何か?

 国会は立法機関なので、国会議員は法律というルールを作る立場である。

 ルールを作る人が自ら自分に支払われるお金に関してのルールを決めることができるのだから必然的に甘くなるのは当然のことである。

 よほどの聖人君子であれば自分に厳しくできるかもしれないが、そういう人がいても少数派であろう。自らを律する法律は望み薄だ。

 そして、選挙でこれを変えようとしても、立候補する人の大半が変える気がなければ誰に投票しても変わるはずがない。

 政治改革という点で言うと、ほかにも小選挙区制についてもいろいろな議論がある。

 小選挙区制は与党が圧倒的に有利なシステムであるが、議席の過半数を占める与党が政権を維持したい場合、改正しようとは思わないだろう。

 政治には関係ないが、どこかの国が自国に有利になるようにスポーツ競技のルールを改正するというのも、よく聞く話である。

 基本的にどんな分野であったとしても、ルールを作る人や組織はそのルールを守るべき人や組織とは別になってないとそのような不公平が生まれてしまう。

 そのため、この問題を構造的に解決するためには、国会議員の処遇は会計検査院のように第三者が決めるという仕組みを作るなどしないと永遠に解決しないだろう。

どうやれば政治改革が実現できるのか?

 それでは、このような問題を改善していく方法は全くないのだろうか?

 筆者なりにいろいろ調べて考えてみた。ここからは政治家の処遇に関するルールを第三者機関が制定できるようにするために、今あるルールの中でどうしたら実際に実現できるのだろうか、という手順について考えてみたい。

 まず、何か物事を決める際に国民投票というシステムがあるので、これを使えないか考える。

 国民投票について調べると、衆議院憲法調査会事務局が「国民投票制度」に関する基礎的資料を発行しているのが見つかった。

 この中に国民投票の分類が書いてあった。

 これを見ると、一定数以上の有権者で国民投票を発議できるとの記載があった。

 ただし、この場合の法的効力は参考的(諮問型・助言型)ということで実際に国民投票が行われて、その結果賛成多数になったとしても即実現するわけではない。

 それでは「国民投票しても意味がないじゃないか!」となるかもしれないが、この次にこういう動きが取れたらという仮定で考察を進めてみたい。

 ここからは完全に思考実験ではあるが、本気になればできないこともないので、その点について書いてみたい。

 国民投票で賛成多数になるということは、このテーマにおいてはそれだけの投票数が読めるテーマになり得るということである。

 とすれば、次のステップとしては、選挙の際にワン・イシュー政党として「政治改革党(仮)」のような政党を作り、立候補者と支援者と選挙資金をクラウドファンディングで集めて立候補者を全選挙区に立候補させる。

 公約はズハリ「政治家の処遇を決める機関を第三者機関としてつくる」の1点に絞る。

 そしてそれを憲法まで追記するところまで実現したら解散する。

 こうすることで次に政権が変わったとしても憲法改正しようとしたら国民投票が待っているので、一度できた第三者機関を潰すことはできなくなるはずである。

 第三者機関ができることに賛成している人はとりあえずそれができるまでは投票してくれるだろうし、その得票数は国民投票によって事前にある程度見通しが立つ。

 国民投票を受けてから選挙するので話題にもなっているだろうし投票率も期待できるのではないか?

 また、既存の政治家もこういう勢力が台頭すれば、自分たちも当選したいので公約に「政治家の処遇を決める機関を第三者機関として作る」という内容を盛り込んでくるかもしれない。

 あるいは、連立しようと言ってくるかもしれない。そうすれば「政治改革党(仮)」が勝とうが負けようが目的は達成である。

ステップを整理すると

①国民投票で「政治家の処遇を決める第三者機関を作るべき」という内容を有権者有志で発議。

②上記の国民投票で賛成多数を得る。

③参考程度ということで即実現はしない。

④「政治改革党(仮)」を立ち上げてクラウドファンディングにより立候補者と支援者と選挙資金を集める。

⑤次の選挙でワン・イシューで「政治改革党(仮)」が全国で立候補。

⑥他の政党も「政治家の処遇を決める第三者機関」に賛成し始める。

⑦万が一「政治改革党(仮)」が勝ったら「政治家の処遇を決める第三者機関」を実現したら解散。

 いかがであろうか?

 これはあくまでも思考実験なので「こんなにうまくいくはずない」などのご意見もあるかと思う。

 しかし、こういう手順を踏むことで、ただ単に選挙の際に候補者に投票する以上に政治のあり方を変えていく可能性があるという意味で書かせてもらった。

 今後、政治とカネの問題に対して具体的に解決策を考えるための議論のきっかけにでもなればと思う。

 とはいえ、賛同する人が多かったら本当に実行してみても面白いと思ってはいる。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  国会議員に「文書通信交通滞在費」はいらない理由

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