下の子が生まれると赤ちゃんが一人増えるだけでなく、上の子まで赤ちゃんになってしまうことがあります。上の子の「赤ちゃん返り」ですね。

上の子はパパより頼もしい!?二人目が生まれた時、子育てがうんと楽になる習慣

夜間の授乳やオムツ替えで忙しいとき、上の子まで赤ちゃんのようになってしまうとママは疲労困憊ですね。どうすればお兄さん、お姉さんらしくなってくれるのでしょうか。

今回はそのヒントについて、『1人でできる子が育つ 「テキトー母さん」 のすすめ』の著者の立石美津子がお話しします。

上の子の気持ち:産院へのお見舞い

出産するときはたいてい数日間、ママは入院します。そうなると上の子は生まれて初めて昼も夜もママがいない生活を経験することになります。

たった4~5日間くらいのことでも、上の子にとってはとても長く感じる期間になります。

下の子が誕生して、パパやおじいちゃんおばあちゃんと産院にお見舞いに行く上の子。

「やっと大好きなママに会える」とワクワクして喜びは頂点に達しています。「待ちに待った下の子とのご対面」ではなく、ママに会いたいのです。

ところが、病室のドアを開けたら、大好きなママのそばには天使のような赤ちゃんが!

その日を境に、パパもおじいちゃんおばあちゃんも、さらには近所の人まで赤ちゃんに群がり「可愛い可愛い」と大騒ぎすることになるのです。

上の子の気持ち:退院後

家に帰ってからも話題は生まれた赤ちゃんのことばかりになり、生まれて半年間くらいは「首が座った」「寝返りをうった」だけで皆は大喜びです。

上の子は「ああ、もう僕(私)の存在は薄くなってしまった。王座の場が奪われた!」とショックを受けます。

自分も数年前、周りから同じようにされたことなどすっかり忘れてしまい、「下の子はあんなことくらいで褒められて…」なんて思っていたりします。

ところで、家に帰ってからも、出産という大仕事を終えたママの身体は疲れています。病院にいた頃は赤ちゃんの世話だけをすればよかったわけですが、帰宅後は掃除、洗濯、食事の準備、そして昼夜問わず3時間おきの授乳で大わらわです。

そんなとき、“自分はないがしろにされている”と感じ、「どうやって自分に目を向けてもらおうか」と試行錯誤している上の子が言うことを聞かないと、ママはついイライラしてこんなことを口走ってしまいます。

「もう、お兄ちゃん(お姉ちゃん)になったんだから、ちゃんとしなさい!」

「ママは赤ちゃんの世話で忙しいんだから、いい加減にしなさい!」

こんなこと言われたらどう感じるでしょう。上の子は、誰も自分に関心を寄せてくれないと寂しい思いをしているところに「傷口に塩を塗られた」状態になります。

弟、妹を可愛がるよりも、むしろ「王座の場を奪ったやつ」と下の子に対して思うようになってしまうこともあります。

「赤ちゃん返り」を防ぐ秘策は?

上の子が赤ちゃん返りする目的

上の子は、「叱られてもいいからママの関心を自分だけに引きたい」そんな思いで、わざとママの、下の子のお世話を中断させるようなことをあれこれとやってみます。

これが赤ちゃん返りです。

赤ちゃん返りの例

  • 一人で着替えたり靴を履けるのに「出来ない!ママがやって!」と大騒ぎする
  • わざとパンツをおしっこで濡らす
  • わざとご飯を零す
  • 眠い、痒い、痛いなどと大騒ぎする
  • 授乳中、一緒になっておっぱいを欲しがる

叱ったり怒鳴ったりしても、「自分にだけ構ってもらうこと」が目的なのですから、お兄さん、お姉さんらしくするように命じても、なかなかうまくはいかないのです。

上の子の赤ちゃん返りを防ぐ秘策

上の子だけに関わる時間を意識的にとる

例:産院での対面の日

出産で数日間離れ、上の子と久しぶりに対面するときは、できれば赤ちゃんは看護師さんに預けて「会いたかったよ」と、上の子だけを抱きしめてあげましょう。

下の子を抱いたままではなく、上の子だけに関わりましょう。

例:退院後

赤ちゃんが寝ている間に上の子だけに絵本を読み聞かせする時間を作ったり、一緒におもちゃで遊ぶなど、上の子がママを独り占めできる時間を毎日10分でよいので作ることを心がけましょう。

ワンオペ育児だと難しいかもしれませんが、休日、パパやおばあちゃんに赤ちゃんを預けて、上の子とお出かけする時間を設けましょう。

近所のスーパーでも公園でも良いので、上の子だけとの時間を意識して取りましょう。

こんな言葉がけに注意!

こんな言葉がけに注意!

×「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから、弟(妹)にもっと優しくしなきゃダメでしょ」

×「いつまでも甘えないで」

×「お母さんは赤ちゃんの世話で忙しいの。なんでわざと困らせるようなことするの?」

×「ママは疲れているの」

上の子へのベストな言葉がけ

○(タオルを畳むなどのお手伝いをさせた上で)「○○ちゃんがお手伝いしてくれるからママは本当に助かるわ。ありがとう」

○「沢山のことを我慢していることをママはわかっているよ。本当にお兄ちゃん(お姉ちゃん)になったね。立派だね」

弟・妹のために我慢させるのではなく、上の子にも愛情をたくさんかけていることを言葉や態度で示しましょう。

ポイントは「そこに下の子がおらず、上の子がママを独占できる時間を作る」ということです。

ママにとってしんどい上の子の赤ちゃん返り。でもその行動の要因を作っているのは親の対応だったりします。

子どもに分け隔てなく愛情をかけているつもりでも、上の子から見れば「自分はないがしろにされている」「自分は邪険にされている」と感じていることはたくさんあります。

ぜひ参考にしてみてくださいね。