アメリカの医療費は高額と言われ、保険未加入者は病気をしても病院への診察を躊躇してしまうことが少なくないようだ。このほどある女性が頭に怪我をして緊急病院を訪れたが、長時間待たされたことで痺れを切らして病院を後にしたところ、のちに約7万8000円もの請求書が送られてきたという。SNSでは女性と同様の経験をした人たちから「アメリカの高額医療費に納得がいかない」といった声があがっている。『FOX 5 Atlanta』『New York Post』などが伝えた。

ジョージアアトランタ在住のテイラー・デイヴィスさん(Taylor Davis)が今年7月に地元の緊急病院を訪れた際の経験談が、最近になって米メディアが取り上げたことで注目を集めている。テイラーさんは当時、頭に怪我をして地元にある「エモリー・デケーター病院(Emory Decatur Hospital)」の救急治療室を訪れたという。

受付を終えたテイラーさんは病院の待合室で診察の順番を待っていたが、7時間経っても自分の名前が呼ばれる気配がなく、先が見えないと思った彼女は病院を後にして自宅に戻ったそうだ。しかしその数週間後、同病院から目を疑うような電子メールを受け取ることとなった。

それは688.35ドル(約7万8000円)の請求書で、テイラーさんは「何かの間違いでは?」と思い病院に問い合わせの電話をした。ところが電話口の担当者からは納得のいく回答が得られなかったそうで、テイラーさんは当時のことをこのように語っている。

「私は7時間も待合室に座っていました。7時間もですよ! 名前も呼ばれず脈を測ることもなく、まったく診察してもらってなかったんです。それで病院に電話をしたんですが、電話口の女性は『受付で社会保障番号が入力されたら、たとえあなたが救急車を使わなくても診察を受けていないとしても、それに関係なく請求は発生します』と言ったんですよ。」

病院側の主張では、テイラーさんに対する請求は病院への訪問料金または施設利用料金とのことだ。またテイラーさんが問い合わせをした電子メールへの返信にも「病院の形式的なルールによる請求」と書かれていた。

『FOX 5 Atlanta』ではTwitterにテイラーさんの件を投稿したところ、同じような経験をした人は多いようで「納得できない」といったこのような声が寄せられた。

「去年、救急病院に行って医者と10分ほど話しました。脱水症状と診断され『自宅で安静にして水分を摂るように』とだけ言われ、約1時間後に帰宅したんです。治療は受けていません。でも会社の保険に加え自腹で1100ドル(約12万4000円)も払ったんですよ。」

「しばらく前に息が苦しくて救急病院に行ったんですが、5時間も待たされた挙句に『もし、ひどい呼吸困難に陥ったら医療機関に診てもらってね』と言われちゃったよ。だからここに来たんじゃないか! それで2000ドル(約22万6000円)の請求だって。」

「数年前に私も同じような経験をしました。血圧を測るのに900ドル(約10万2000円)って、病院のシステムがいかにおかしいのか思い知らされました。」

「数年前、便秘のせいで痛くてどうしようもなくて救急病院に行ったんだけど、医者に浣腸してもらって『トイレに行くように』と言われました。それで2000ドル(約22万6000円)かよ!」

また『FOX 5 Atlanta』では、救急治療室で治療を受けた多くの人が医療費の中に今回のような“施設使用料”が含まれていることを知らずに支払っていることを指摘している。なお同病院は、のちにこのような声明を発表した。

「当院は全ての患者の懸念を真摯に受け止めており、この件が私たちに気づきを与えてくれたことに感謝しています。病院のチームは現在この問題について調査中であり、ご本人に対して直接フォローアップしていく所存です。」

ちなみにテイラーさんは医療保険に未加入だったそうだが、米国国勢調査局の今年9月の発表によると、2020年の時点で国民の8.6パーセント(約2800万人)が医療保険に未加入とのことだ。

画像は『FOX 5 Atlanta 2021年10月29日付「Woman billed $700 after sitting in ER waiting room for 7 hours, leaving without treatment」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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