日本大学の田中英壽理事長が所得税法違反の疑いで逮捕されたことを受け、日大の新旧教員ら有志らによる「新しい日本大学をつくる会」は11月30日、「教育と研究を目的とする大学の長として、常識の枠を超えた非行と断ずるほかありません」などと批判した。

同会は日大に対して、学生や保護者らに速やかに陳謝することや、文部科学省に十分な説明をすることなどを求めている。

訴訟は敗訴も… 

日大をめぐっては、2018年アメフト部の危険なタックルや、医学部卒業生の子どもを優遇した不正入試があいついで問題化。大学のガバナンスに問題があったなどとして、2018年度の私学助成金が前年度と比べて割合で35%、金額にして約33億円減らされた。

同会は、こうした事態を招いた責任を追求するため、田中理事長ら新旧執行部の8人を相手取って、減額された助成金の1割に相当する3億5000万円を日大に支払うことなどを求める訴訟を2019年に提起していた。

この日、判決があり、東京地裁(武部知子裁判長)は同会の請求を却下した。組織が負った損害について、組織に変わって賠償を求めることは住民訴訟などで見られるが、大学をめぐっては異例。判決は、同会側に「当事者適格を認めることはできない」と判断した。

このほか、同会側は執行部の一連の対応などにより、大学の評価が下がったとして、愛校心の侵害などを理由として、原告一人につき5万5000円の慰謝料も求めていたが、判決は「愛校心が法律上保護される利益であると認めることはできない」として請求を棄却した。

同会は判決後の会見で、「現行法では難しい戦いになることは覚悟していた」とコメントした。

一方で、東京地検特捜部が田中理事長を逮捕するなど、大学のガバナンス問題に切り込んでいることについて、「私たちの請求の基礎にあった『大学存亡の危機』が単なる抽象的懸念に留まらず、根拠ある現実のものであることが刻一刻と明らかになっている」と述べ、大学を立て直す契機にしたいとの認識を示した。

日大・田中理事長に敗訴した教員ら、脱税事件は「常識の枠を超えた非行だ」と批判