パチンコ屋にヤクルトがあるワケ

 ホール業界にとって、毎年の恒例行事ともいえるのが11月中旬に開催される「全国パチンコパチスロ ファン感謝デー(以下、ファン感)」です。今年もつつがなく行われ、豪華な賞品がその場で当たった人もいるんでしょう。筆者はいつもどおり、ハズレくじのヤクルトを貰って腸内環境を整えるだけに留まりました。

 そもそもファン感というよりホールサービスで配るもの、例えばお茶とかはコンビニスーパーでは見かけないヤクルト社製品だったりするんですが、これにはちゃんとした理由があったりするんです。

 実はホール団体が、いつ頃からか筆者は知りませんが、かなり昔から共同購買という形でヤクルトとの付き合いがあるんですね。

 だから市場ではほとんど見ないようなヤクルト製品が、なにかにつけて出てくると。ちなみに菓子メーカーロッテも同じような形で古くからの付き合いがあり、自然と景品棚に並ぶ率が高くなっています。

◆当たりくじはホールのさじ加減

 ちょっと話が逸れましたが、ファン感といえば豪華賞品が当たるくじ引きを楽しみにしている方も多いようです。そんなことより玉を出せと言いたくはなりますが、ファン感が近付くとホール内にポスターが掲示され、カウンターの前には賞品が展示されたりすると、せっかくなら自転車だとかテレビなんかを当てたくなるもの。

 最近でこそくじを配布する時間を前もって告知しているホールが多くなっていますが、昔は何時にくじを配るは「稼働が増えた時間を見計らって」と長くホールで働いている店長が話しているように、ホール側のさじかげんひとつ。結果、くじを引きたいがために無駄に負けてしまうなんてこともありました。

 しかもくじが入った箱の中に当たりくじが入っているかどうかも、実はホール側のさじかげんだったりします。ファン感の賞品についてもホールは団体側から仕入れるようになっていて、いくつかの選択肢のなかから予算などに応じて賞品セットを選びます。

 そしてくじと一緒に送られてきますが、くじはあらかじめハズレと当たりが分けられているんです。だから一切当たりを出さないで、当たりくじの賞品を着服しちゃう店長なんていうのも昔はいたりしましたが、さすがに最近はそういう話を聞きません。

 ただ、この回のくじでは当たりを入れないということは今でも可能で、確かに初日のくじ配布で当たりが全部出てしまったらくじ目当ての客が来なくなるとすれば、それも当然でしょう。商店街の福引で使われるガラガラも、どのタイミングで当たりくじを入れれば最後まで盛り上げられるかを決めていると思いますし、それと同じということ。

 ただこの業界だと、ファン感でも「遠隔」をやってるだなんていわれちゃいそうですが……。とりあえずそういう理由もありますから、本気で良い賞品を狙うなら最終日とかのくじを狙った方が確率は高くなるのではないかなと。

◆広告規制でイベントは禁止だが

 11月ファン感は全国的に行われるもので、ホール団体の全国組織が主催しています。それ以外に各都道府県ホール団体が行うファン感もあって、実はホール側にとっての重要度が高くなっているという事情もあります。それは震災後の業界バッシングによって、ホール独自が行う広告宣伝が大幅に規制されたからに他ありません。

 一気に集客イベントができなくなったこともファン離れの大きな要因といわれていますが、ちょっと目立つことをすると行政からすぐに指導されるようになりました。

 実際、過度な射幸性を煽る広告宣伝で営業停止処分が下されたホールもあり、それでも規制の網をくぐるように(えらそうなことを言っている大手ホールなどは、特に脱法的なイベントに積極的だったりします)広告宣伝を続けています。

 でもあくまでホールが主催しているのではないという体裁で、大々的に告知することは難しいのが現実。でも団体が主催するものは行政側からも容認されているため、一般の目に触れる形での告知ができるんです。

 だからこそホール側としてもファン感的なものを増やして欲しいという声があり、それに応える形で、例えば関東地方では全国や都道府県という単位ではなく、全関東という形で複数の地域の団体が連動したファン感も行われるようになっています。

ハズレてもヤクルトで健康に

 ファン感を狙っても、どうせイイ賞品は当たらないよなんて考えもあります。でもせっかく遊ぶなら、くじというちょっとしたお楽しみがある日を選ぶのも悪くはありません。

 ハズレだってヤクルトを貰えれば腸内環境も改善できますし、もしかしたら20年ぶりの日本一に並ぶくらいに大当たりを連発する可能性もあるでしょう。

 それに「せっかく大々的に告知をできるんだから、いつもより甘い運用にしているよ。自店をアピールできるいい機会だからね(店長)」と、もしかしたら出玉にも期待できるかもしれませんからね。

文/キム・ラモー

【キム・ラモーン】
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。

広告規制でイベントが出来なくなったパチンコ業界において、唯一許されたイベントがパチンコファン感謝デーだ