TOKYO MX地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。11月8日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、政府が閣議決定した“自殺対策白書”について、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんとともに深掘りしました。

◆自殺者数とともに注目すべき自殺未遂者数、その数は…

直近の自殺者数の推移を見ると、2009年2019年にかけては減少傾向にあったものの、2020年11年ぶりに増加。21,081人と前年に比べ912人、4.5%増えました。また、学生・生徒などの自殺者数は、2018年から増加し、2020年1,039人となっています。

こうした状況に大空さんは警鐘を鳴らします。とりわけ全体の自殺者数が減少していたなかでも、学生・生徒などの自殺者数は、横ばいないしは微増しており、近年は明らかに増加していることを危惧。さらには、「コロナ禍においては社会的に最も弱い立場にある人たちが大きな影響を受けた。職業別で見ると無職の方が半数超。彼らにしわ寄せがいった結果が、このような数字に現れている」と分析します。

大空さんは、相談窓口を開設し、孤独・孤立対策に取り組んでいるなか、最近は相談件数が急増。相談窓口に寄せられる1日の平均相談件数は、昨年は150件程度だったものが、今年9月には1,000件を突破。その要因には大空さんの知名度が上がったことも考えられますが、他の相談窓口でも同様に相談件数が増えているとか。

ただ、それ以上に大空さんが憂慮していたのは、相談したいのに誰にも頼れず、相談窓口に行けない潜在的な相談者。人間には、本来“援助希求行動”というSOSを出す力が備わっているそうですが、なかにはそれができない人も。「自殺者数だけでなく自殺未遂者数も同時に見ていかなければならない。(自殺者数の)倍以上の数がいる。明確な意図を持って自殺しようとした人がたくさんいることを覚えておいてほしい」と強調します。

◆著名人の自殺報道は本当に必要なのか…メディアの在り方

昨年は著名人の自殺が相次ぎ、その報道の在り方が問われました。今回の自殺対策白書でもその影響が鑑みられ、なかでも特に影響が大きかったと思われる男女2人の俳優の自殺報道について言及。男性俳優の自殺報道の2週間後の自殺者数が前年の同時期と比べ200人増加し、女性俳優の場合も前年比482人増となっています。

こうした報道と自殺の因果関係について、大空さんはまずメディア・報道機関は、命を奪う力があることを認識しなければいけない」メディア側への注意を促し、「昨年自殺者数が増えたが間違いなく自殺報道の影響はあった」と指摘。さらに、「昨年の話と思われるかもしれないが、今でもこの芸能人の自殺報道に不安を覚える人からの相談は日々寄せられている」とも。

というのも、自殺した芸能人の方々の写真や動画は、ネットをはじめさまざまなところで今なお目にすることができるから。そして、メディアに対して「WHO(世界保健機関)の基準で相談窓口(の連絡先)を表示するなどガイドラインがあるが、それを守っていない報道も散見される。一歩一歩変えていただきたい」と釘を刺します。

メディアに携わるキャスターの堀潤は、自身が担当している番組で自殺報道について議論した結果、自殺報道には2つの効果があることに行き着きました。それは「ウェルテル効果」と「パパゲーノ効果」

「ウェルテル効果」は、過度な自殺報道に影響されて自殺が増える事象。「パパゲーノ効果」は、自殺を踏みとどまった人の話やストレス対処法などの報道で自殺が減る現象で、その硬軟が重要としつつ、「一緒に考える時間を作ることで何か報道で対処できないかという思いはあったが、充分ではなかったと思う」と悔やむ一幕も。

対して大空さんは、パパゲーノ効果は一部の研究者から自殺予防効果はないという意見があることに触れつつも「僕はやるべきだと思う」と見解を示します。なぜなら、パパゲーノ効果は自殺を回避したストーリーを伝えることで共感性を生み出し自殺を防ぐというもので、「本来マスメディアの力はそういうところに活かされるべき」と大空さん。さらには「これはマスメディアの話だけと思わないでほしい」とも。

今はSNSなどを通じて個人で情報を発信できる時代とあって、「ウェルテル効果とパパゲーノ効果、双方を発揮できるツールを各自持っていることを理解した上でSNSを正しく使ってもらいたい。そうしたことを含め、一人ひとりができる自殺対策はたくさんある。ぜひ全員が参加してやっていただきたい」と切望します。

◆悩みを抱える方へ…チャットポッドで支援をサポート

そうしたなか、内閣官房 孤独・孤立対策担当室は、孤独・自殺対策として悩みを抱える人を助けるWebサイト「あなたはひとりじゃない」を立ち上げました。これはチャットボットを利用し、悩んでいる状況に合った制度や相談窓口を探せるもので、大空さんも企画委員として参加しています。

現在は数多くの支援制度があり、それぞれ行政のサイトを見ても内容を把握するのが難しく、どれを選べばいいのかわかりづらいという現状もあるため、このサイトでは多くのキーワードを用いてサポート。大空さんは「あなたのための支援がある、支援制度や相談窓口を使うことはあなたの権利であり、あなた自身が使えるもの。それを紹介する」と設立の主旨を語ります。

なお、「あなたはひとりじゃない」は来年度以降チャットボット内での電子申請や各自治体との連携などのアップデートも予定しているそうで、大空さんは「まずはこうしたチャットボットがあることを広めていただきたいし、使っていただきたい」と熱望。

そして、最後に大空さんは孤独・孤立対策に関する提言を発表。「今、悩みを抱えている人への支援も重要だが、相談窓口や誰かに頼ることができない人たちも数多くいる。日本で精神疾患を抱えている方は、420万人。個人の問題ではなく社会問題という認識を持った上で、予防的な観点も含め政策を推進していくことが必要」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter@morning_flag

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