アレック・ボールドウィンが主演・製作を務める映画『Rust(原題)』の撮影現場で、銃誤射により2人が死傷するという痛ましい事故が起きてから1ヵ月。捜査が続けられる中、武器担当者が、あまりよく確認しなかったと証言していることが明かになった。

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 米ニューメキシコ州で撮影をしていたウェスタン映画『Rust』のリハーサル中、アレックが構えた銃から誤って実弾が発射され、監督のジョエル・ソウザが負傷、撮影監督のハリーナ・ハッチンスさんが亡くなるという事件が起きてから1ヵ月あまりが経過した。捜査が続けられている中、武器担当のハンナ・リードが警察に対し行った証言が明らかになった。

 Deadlineによると、事故当時彼女は、新型コロナウイルスの予防措置のため、銃を事前に助監督に手渡し、彼女自身は事故現場となった教会内部には立ち入っていなかったという。彼女から銃を受け取った助監督は、「空砲です」と言ってアレックに渡し、リハーサル中に早撃ちの練習を行った結果、事故が起きたと証言している。
 
 ハンナは当日の銃の扱われ方と保管の仕方について説明する中で、「昼食時に銃がロックされていたため、あまりよく確認しなかった」とも明かしたという。

 現在捜査では、本来あるべきではない実弾が、どのようにして撮影現場に持ち込まれたかに焦点が当てられているようだ。ハンナの話では、撮影で使用された銃と銃弾は、経験の浅いハンナをカバーするため、『Rust』に武器に関する助言を行うメンターとして撮影に参加していたセス・ケニーが提供しており、事故発生時に使用されたものは、ハンナか、もしくは小道具係のサラ・ザッカリーが、セス・ケニーの運営するPDQ Arm & Prop LLC社から持ってきたものだそう。

 一方、事件直後にサラが警察に話したところによると、現場で使用された銃弾は、複数の元から集められたもので、ハンナが以前の撮影のために購入したものや、セス・ケニーのもの、“ビリー・レイ”という個人から提供されたものもあったという。

 今回新たに、業界のベテラン武器担当者で、ハンナ・リードの父親でもあるセル・リードが捜査に協力している。彼の宣誓供述書によると、以前、ケニーとほかの作品で一緒に仕事をした際、俳優たちの訓練のために、実弾を用意したという。この時の銃弾は、今回の撮影現場で使用されたものと同じものだったが、撮影終了後、残った実弾の回収を求めたものの、ケニーに忘れてくれと言われ、返却されていなかったことを証言しているそうだ。

 これを受け、警察からPDQ Arm & Prop LLC社に対し捜査令状が出されたという。

 事故直後には、600点以上の証拠品が押収され、中には銃3丁と、約500発の弾薬が含まれ、模造弾や空砲に混じり、実弾とみられる物もあったという。

アレック・ボールドウィン主演映画の死亡事故、武器担当者が「あまり確認していなかった」と証言 (C)AFLO