国会議事堂内の女性用トイレで盗撮をしたとして、書類送検されていた経済産業省の職員に、停職9か月の懲戒処分がくだされた。被害女性に好意を寄せていたという犯人の素性や、「余罪」の疑いについて報じた「週刊文春 電子版」の記事を全文公開する(初出:2021/06/30、年齢、肩書等は掲載時のまま)。

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「よりによって国権の最高機関である国会内のトイレで盗撮だなんて、とんでもないことをしてくれたもんだ……」  

 

 そう溜息をついて肩を落とすのは、「家賃支援給付金」の詐欺事件でも揺れる経済産業省の幹部職員である。

 国会議事堂内で盗撮事件が起きたのは、4月23日午後5時47分頃。現場は、衆議院本館2階の第16控室の脇にある女性用トイレだった。

「盗撮被害にあったのは20代衆議院事務局の女性職員で、隣の個室の上からスマートフォンで撮影されていることに気がつき、声を上げました」(社会部記者)

 その声に驚いた“犯人”は、すぐさまその場から逃走。恐怖を感じた女性は警視庁麹町署に被害届を提出した。

5月1日の未明、衆議院議長の承認のもと、警察が国会内で実況見分を行いました。しかし、トイレ周辺には防犯カメラ等が設置されておらず、指紋も検出できなかった。そのため、なかなか犯人特定に至らなかったのです」(同前)

「どうやら女性への盗撮は今回が初めてではなく…」

 ところが、事件から約2カ月がたった6月25日衆議院警務部が「政府職員が(盗撮の)犯行を認めた」と発表し、後にその職員が経産省の役人であることも判明した。

「男は以前から被害女性に好意を寄せており、女性がトイレに入るのを入口近くで待ち伏せていたようです。警察がこうした目撃情報等をもとに男の出頭を要請したところ、観念して自供を始めたというわけです」(同前)

 では、この経産省職員Aとは一体どんな人物なのか。

 前出の幹部職員が語る。

「Aは、バツイチ独身の33歳。宮崎出身でノンキャリアの職員です」

 Aは、宮崎の県立高校を卒業後、公務員を目指すための専門学校に入学。2014年6月から17年5月まで原子力規制庁で勤務していた。

「17年6月から本省勤務で、犯行当時は大臣官房総務課国会連絡室の係長。国会内を自由に行き来できる通行証を持っており、主に国会議員や議員秘書の問い合わせに対する窓口業務に従事していました」(同前)

 Aは、警察の取り調べに対し全面的に犯行を認める供述をしているというが、

「どうやら女性への盗撮は今回が初めてではなく、Aは複数回に渡って女性が用を足すところを撮影していたようです。また、過去には地下鉄の駅構内で同じように盗撮していたのが見つかり、警察沙汰にもなっています」(国会関係者)

 Aに事実関係を聞くため自宅マンションを訪ねるも、インターホンを何度押しても応答せず、ポストに取材依頼の手紙を投函したが返答はなかった。

 衆議院事務局はAを国会内への「出入り禁止」としたが、警視庁はさらなる「余罪」を含め捜査を進めているという。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年12月9日号)