子どもの頃、母にかけられた言葉を描いた漫画「惜しい子」がSNS上で話題となっています。子どもの頃、母親に事あるごとに「やればできる子」と言われていた女性。当時は自信を失う言葉として受け止めていましたが、母親になった今…という内容で「共感しました」「親の心、子知らずですね…」「私も言われていました」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。

子育てを通して、母の気持ちに気付いた

 この漫画を描いたのは、なかのいと(ペンネーム)さんです。漫画家・イラストレーターとして活動しています。育児漫画やエッセー漫画などをインスタグラムで発表しており、ウェブメディア「CHANTO WEB」では、漫画「ひとづきあい練習帳」を連載中です。

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

なかのいとさん「『自分の子ども時代と子育てが重なるところ』というテーマで考えていたときに生まれた漫画です」

Q.いつごろ、お母さまの言葉が「愛」だったことに気付いたのでしょうか。

なかのいとさん「具体的なきっかけがあったわけではありませんが、子育てをしていく中で『苦労しないように』『つらい思いをしないように』と布石を打ちたくなる場面は多々あります。その中で自然と察していったように思います」

Q.「愛」だと気付いてから、お母さまとの親子関係に変化はありましたか。

なかのいとさん「特に言及はしていないので変化はありません。一場面だけ切り取って描いているので、伝わりきらない部分もあるかと思いますが、意見がぶつかることもあれば、仲良くおしゃべりすることもある、普通の親子関係だと思います」

Q.ご自身は「惜しい」部分をいとおしく思う気持ちをお子さんに伝えていますか。

なかのいとさん「意識して伝えてはいませんが、言い間違いは『かわいいからそのままで』とよく言っているかもしれません。まだ言葉を覚える前に『抱っこ』を『にょいにょ』と呼んでいた時期があって、今でも『抱っこしてあげるから“にょいにょ”って言って』とお願いすると、仕方なく、『にょいにょ』と言い直してくれます」

Q.お子さんの今一番、「惜しくていとおしい部分」を教えてください。

なかのいとさん「長女がダンスを習っているのですが、まだ、先生の左右などの指示が通らず、ダンス自体も理解できておらず、それでも音楽が流れると反射で踊り出すのがかわいいです。先生の見よう見まねで雰囲気で踊っているのですが、それが絶妙にかわいくて…『ずっとこのままで踊っていてほしいね』とお母さん仲間と話しています」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

なかのいとさん「共感してくださるお声を頂きました。『日常の中では、惜しい部分をめでる余裕がなくなりがちで、なかなか難しいね』というところも含めて、共感してくださる方が多かったです」

オトナンサー編集部

漫画「惜しい子」のカット=なかのいと(nakano_ito)さん提供