東京都練馬区の中学校で、学校側が、生徒の利用するSNSのパスワードを書かせた書類を提出するようもとめていたことがわかった。

練馬区教育委員会は12月3日個人情報の不適切な取り扱いがあったとして謝罪した。情報漏洩は確認されていないという。

先立って、問題を指摘するツイッターの投稿があり、情報漏洩のリスクなどを懸念して批判の声も上がっていた。

●「SNSパスワードを書け」って欄があるんだけど

話題になっているのは、11月30日ツイートだ。

〈中学校からのプリントで、「我が家のSNSルールを保護者と話し合ってかけ」「終わったら学校に提出しろ」ってやつに、「SNSパスワードを書け」って欄があるんだけど。〉

この投稿は5000件近くリツイート12月3日時点)され、「こんなことをしたら不正アクセス情報漏洩などのトラブルが起こり、取り返しのつかない事態に発展する可能性がある」と問題視する意見などが集まっていた。

●学校からの説明ミスだった

このような流れをうけて、練馬区教委は12月3日、経緯を説明した。

区教委では、家庭でのSNSルールづくりの啓発や、家庭で作成したルールづくりの確認のために、「SNS練馬区ルール」のリーフレットを生徒に配布している。このリーフレットには、SNSのパスワードの記入欄がある。

そのため、教委はパスワードを記載せずに提出することを各学校に通知していたが、区立中学校の一つで「学校への提出にあたってSNSのパスワードの記載は不要との説明を失念したため、提出した生徒のパスワードを学校が知り得る事態が判明」したという。

11月30日に保護者からの連絡で、ミスに気づいたものの、すでに276人から提出を受けたという。他校では同様のミスはなかったそうだ。

対策として、これからの発行分は、パスワード記載箇所を削除するという。なお、提出された生徒のリーフレットは、学校の「鍵のかかる場所」で保管し、各家庭に直接返却をおこなっているため、パスワードの漏洩は発生していないとしている。

堀和夫教育長は「当該校の生徒や保護者、関係の皆様には大変ご迷惑とご心配をおかけしたことをお詫びしたい」と謝罪した。

●「パスワードをここに書いては、意味がないのではないかと」と指摘されていた

リーフレットをめぐっては、2020年8月20日にパスワード不記載の通知が各校にされている。

リーフレットのパスワード取り扱いの変遷について、区のいじめ対策協議会でのやりとりに経緯があった(2020年10月21日の議事録)。

事務局によると、「パスワードをここに書いては、パスワードの意味がないのではないかと。まして、これを学校が集めるというのは、提出して集めるというのはいかがなものか」との指摘を受けて、該当箇所を「未記載」もしくは「マスキング」した状態で提出するよう促していたという。

生徒に「SNSのパスワード」を提出させる…練馬区の中学校でミス、教育委員会が謝罪