最近、スマホで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明の文章や非礼な文章が増えたように思います。その影響か、語彙(ごい)力に関する書籍を見かけることが増えました。11月26日に「伝わる! バズる! 稼ぐ! 文章術」(秀和システム)を出版しました。読者ニーズを探るため、数カ月前からQ&A形式のツイートを重ねてきました。その中で反響の大きかったものを10本紹介します。皆さまはお分かりですか。

読者の皆さまも一緒にお考えください

(1)「破天荒」の間違った使い方

A氏:取引先の松田専務が転勤されるそうだ。
B氏:「破天荒」な方でしたね。

破天荒」は「豪快で大胆な様子」「慣習などに縛られない」といった意味で使われがちです。本来は「今までできなかったことを成し遂げること」や「前人未到の境地を切り開くこと」を意味します。つまり、ホメ言葉です。

(2)「さわり」の間違った使い方

A氏:明日のプレゼンの役割を決めよう。
B氏:最初の「さわり」の部分は僕がやります!

「○○のさわり」は「最初の部分」という意味だと思われがちです。しかし、本来は「話が盛り上がるポイント」のことをいいます。つまり、要点や最も印象に残るところを指します。

(3)「敷居が高い」の間違った使い方

A氏:昨日、社長と赤坂の料亭に行ってきたよ。
B氏:赤坂ですか。僕には「敷居が高い」です。

「敷居が高い」を「レベルが高くて自分には分不相応」という場合に用いるのは間違いです。後ろめたいことがあって、「もう一度行くには抵抗がある」ことを表します。

(4)「檄(げき)を飛ばす」の間違った使い方

A氏:最近の営業は気合いが入ってない!
B氏:「檄を飛ばし」ますか。

檄を飛ばす」は「激励する」という意味ではありません。「広く世間に知らしめること」です。この文脈なら、「活を入れる」が適切です。なお、某番組での張本さんの「喝!」は誤用になります。

(5)「憮然(ぶぜん)」の間違った使い方

A氏:ウチの逆転勝訴だ!
B氏:被告は怒りで「憮然」としていました。

「憮然」は「腹を立てている」という意味で使われがちです。本来は失望、落胆している状態を表します。この場合は「憤慨」や「激怒」を使いましょう。

(6)「煮詰まる」の間違った使い方

A氏:なかなかアイデアが浮かばない。
B氏:さすがに「煮詰まって」きますね。

「煮詰まる」は、成果やいいアイデアが出ない手詰まりな状況で使われがちです。本来は、議論や考えが出尽くして、結論が出る状態のことです。なので、結論が出る寸前に使うのが正解です。

(7)「やぶさか」の間違った使い方

A氏:社長から出張依頼。今回は土日を返上だ!
B氏:社長命令なら「やぶさかでない」のでは?

やぶさかではない」は「やむを得ない」の意味に使われがちです。正解は「喜んでする」こと。この文脈では「土日返上でうれしい」という意味になってしまいます。

(8)「お眼鏡にかなう」の間違った使い方

A氏:君の企画はとても良かった。
B氏:「お眼鏡」にかなって光栄です。

「お眼鏡にかなう」とは「目上の人に評価される」という意味です。もともとは「お眼鏡=拡大鏡」で是非を判断したことから派生した言葉です。なお、よく聞く「お目にかなう」は誤用です。

(9)「きら星のごとく」の間違った使い方

A氏:あそこにいるのは当社の経営陣です。
B氏:「きら星のごとく」ですね。

「きら星のごとく」は「きら、星のごとく」と読むのが正解です。「地位や権勢」を意味しますが、同時に「うわべだけの人」にも使います。「きら」とは薄い絹糸の服のことです。

(10)「合いの手を打つ」の間違った使い方

A氏:前奏が始まったら「合いの手を打つ」ように。
B氏:合いの手を打つのは難しいです。

このように「合いの手を打つ」を使う人がいますが、この場合の正解は「合いの手を入れる」です。手拍子や声かけのことです。合いの手は手拍子ではなく、楽曲そのものを指します。

ニーズの背景には

「大人にふさわしい語彙力をつけたい」というニーズがあるように思います。例えば、お客さまに迷惑をかけてしまい、憤慨しているならば、普段よりは丁寧な言葉を使って謝罪する必要があるでしょう。このときに大切なのが語彙力です。正しく、言葉を使い分けるスキルが必要になります。

 言葉はコミュニケーションの手段として、なくてはならないもの。あなたの評価を高めるためにも使い方を覚えておきましょう。ツイッターは短文であるがゆえに、文章力アップに理想的なツールといえます。今回紹介した10事例はすべて140文字以内です。リライトして発信すると意外な効果があるかもしれません。

コラムニスト、著述家 尾藤克之

あなたの「語彙力」は大丈夫?