【心がまあるくなる話・10】 お気に入りだったシマトネリコの木を泣く泣く抜くことになってしまった。新しい木を購入するために選んだ店で受けた接客は、プロ意識がにじみ出ていた。後日配達にきた人も笑顔で丁寧に説明してくれた。頼もしさや安心を感じる対応は「また行きたい、またお願いしたい」という気持ちにさせてくれる。

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 先日、自宅の玄関横に地植えして大きく育ったシマトネリコの木を抜くことになった。小さな家にそびえるシマトネリコは一年中、葉がフサフサしていて木漏れ日ができたりと、私はとても癒されていた。

 ただ、癒しとは別に、成長が早く根が張ることから剪定も頻繁にしないといけない。地植えすることの注意点として、ガス管や水道管の近くに植えると支障をきたす可能性もあるということも言われていた。

 ある日、地植えしている真横のタイルにヒビが入り、タイルが少し盛り上がっているのを家族が見つけ、近くにガス管などがあることなどを考え、泣く泣く抜くことになった。抜いた後の風景は、想像以上に寂しく目に映った。

 その後、地植えはできないけれど、大きな鉢植えで木を育てようと思い何の木を植えるのか、大きさや、種類を多く取り扱っている店探しに取りかかった。

 まずは、木の種類を決め、その木をたくさん取り扱っている店を見つけた。大きな店だったこともあり、種類も充実していて、初日は十分下見をして後日決めることにした。

 数日後、再度店に足を運び、心に決めていたオリーブの木をカウンターにいた女性従業員に伝えた。

 その店には沢山の従業員がいて、植物のことに詳しそうな60代くらいの男性従業員が土や植物をはつらつと運んでいた。女性従業員が手続きにあたってその男性を呼んだ。私の質問にも丁寧に答えてくれて、何だか安心感があった。

 数日後、購入した木を配達してもらい、大きいこともあって鉢植えをお願いしていた。配達に来た人も60代くらいの男性。笑顔で挨拶した後、鉢植えをするにあたって植物の正面、幹が伸びる方向を予測して位置を決めるなど、丁寧に説明してくれる様子は店で対応してくれた男性同様、頼もしく安心感があった。

 特に、生き物や植物を購入する時はこういったプロ意識の高い人に出会うと安心して買い物ができる。

 普段、何気なく買い物をしているが、店や従業員に頼もしさや安心感を覚えるという体験は決して多くできることではない。

 また行きたい、またお願いしたい。そういう気持ちにつながる「プロ意識」をはつらつと働く60代の従業員から強く感じる経験だった。(蓮花)

■Profile

蓮花(はすはな)

暮らしまわりを物語る「暮らしクリエーター」。日々の中で心がまあるくなるような暮らしに寄り添うモノを探し、毎日を手づくりしていくようなライフスタイルを提案している。

頼もしさや安心感が伝わる接客って何が違うのだろう