人間そっくりのヒューマノイドロボットを作るのに乗り越えなければならないのは「不気味の谷」現象だ。人間に近づけば近づくほど嫌悪感を覚えるが、人と見分けがつかないほど似せることができれば、再び親近感が勝ると言われている。
ロボット研究者はその壁を乗り越えるために日夜開発にいそしんでいるわけだが、新たに開発されたアンドロイドロボット「アメカ」は、かなりリアリティのある表情を作り出すことができる。
驚く顔やドヤ顔など、まるで心があるようかの振る舞いはかなり人間に近づいたはずなのだが、なんだろう?ちょいちょいイラッとさせる部分もあるようだ。
【画像】 まるで心を持ったかのような表情を見せるヒューマノイド「アメカ」
「はっ! 私は一体?」そんな表情で目を覚ましたそのロボットは、困惑した様子で、自分の両手を眺めては、おずおずと腕を動かす。
さらに隣から自分を映しているカメラに気づくと、驚くような仕草も見せる。まさに、今この瞬間に意識が芽生えたといった雰囲気だ。
そして最後に「どんなもんだい?」とばかりにドヤ顔してみせる。この不自然なほど自然なロボットの名は「Ameca(アメカ)」という。
Ameca Humanoid Robot AI Platform
・合わせて読みたい→はじまっちゃった?人工知能(AI)が人間に理解できない独自の言語を生み出し会話を始めた(米研究)
ヒューマノイドが汎用化する未来に向けて
アメカは英国のロボット企業「Engineered Arts」社が、「将来のロボット技術開発向けのプラットフォーム」として作り上げたヒューマノイドだ。
自律的に動作しているのではなく、一連の動作はすべて事前にプログラムされたものだと推測されている。また、今のところ歩くこともできない。
それでも、ご覧の通り、一瞬CGと見紛うほど、表情や仕草は人間らしい。
将来的にロボットが社会に普及するのだとしたら、こうした機能は人間と一緒に暮らすうえで不可欠だろう。アメカはそれを研究するためのものだ。
ディストピアを予感させるリアリティ
なんだろう、確かに人間っぽい表情なんだけど、背筋に冷たいものが走る。
リアルな表情を見せる灰色のロボットを目にして、嫌な予感を感じたとしたら、それはあなただけではないかもしれない。
[もっと知りたい!→]ロボットが人間に近づく過程で起きる「不気味の谷」現象。いったいなぜ起きるのか?子供たちも起きるのか?
たとえば、あのイーロン・マスク氏も、「やっべぇな」とツイートしている。
Yikes
— Elon Musk (@elonmusk) December 2, 2021
海外の反応は、「私より表情が豊か!?」とロボットに嫉妬を感じる人や、人工知能が人間の脳を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」の到来を予感した人もいるようだ。
単に不気味と怯えるだけでなく、「『ウエストワールド』(アメリカのSFスリラーテレビドラマ)から何も学んでいないのか!?」と、ロボットの暴走を描いた映画に触れて、いきすぎた技術に警戒する人もいる。
もちろんアミカに好意的なコメントもある。ギクシャクとしたロボットのイメージを覆す技術なだけに、当然だろう。
だが、ネット民が一番連想したのは『ターミネーター』だったようだ。
他にも、「こいつはハンターキラー? インフィルトレーター?」という声も。
前者は、人工知能を搭載した掃討用移動戦闘マシーン、後者は人間そっくりの姿で社会にこっそり紛れ込む殺戮者。どちらであっても大問題だ。
なお、Engineered Arts社はアメカの販売やレンタルを行なっているそうだが、価格については今のところ不明とのことだ。
References:Ameca - Engineered Arts/ / written by hiroching / edited by parumo
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