九州発のガールズグループ・九州女子翼が、AKIBAカルチャーズ劇場にて月一恒例の定期公演「九州女子翼定期公演 第四十三片 in TOKYO」を開催した。今回も、前回(10月)に続いての3幕構成となっており、10月に結成4周年を迎え、5年目に入って一発目となる今回の定期に、メンバー4人の気合も充分、といった感じであった。


さて、1幕目の出し物は、秋ということでメンバーそれぞれが持つ芸術センスを競う、「芸術の秋3本勝負」。お題は「絵画」「俳句」「音楽」であり、絵画ではさっそく実玖が画伯ぶりを発揮し、会場を大いに沸かせていた。最後の音楽では、いわゆるイントロ勝負なのだが、ベース音だけのメロディで持ち歌のイントロが再生されることもあり、まるで別の曲のようでもあり、これがまた超難問。……という条件下で才能を発揮したのは鈴川瑠菜。メンバーがほぼ分かっていない状態でも次々と正解し、すわMVPかと思いきや、天の声の采配で、最終勝者は詩絵里に。景品(?)は、当日の夜ごはんを自由に選択できるというものであったのだが、当初メンバーが注文していたのはいつものアレ(笑)。さすがに天の声も「なんでもいいよ」とサポートしたことで、結果はイタリアンとなっていた。サラダが苦手(?)な鈴川は、最後まで駄々をこねていた。


続く2幕目は恒例の「ソロカバー曲コーナー」だ。メンバーはいつもの真っ赤な女子翼衣装とは異なる、自分がカバーする楽曲のイメージに合わせたポップなものを身にまとい、多彩な歌唱を駆使して見事な歌声を聴かせてくれた。鈴川はLiSAの名曲を、声量・音程・強弱・力強さ、いずれも高次元でまとめたパフォーマンスで披露。気合が入りまくりだ。山本愛理は、女子翼の楽曲では聞かない、早口的な歌い方、叫ぶような歌い方を駆使し、オリジナルの雰囲気を見事に再現していたのが印象的。詩絵里はまた、いつものように歌いにくそうな楽曲を選んでいたが(笑)、アコースティックで鍛えた美声で、メンバーを従えながら歌いこなしていた。実玖は、TIF企画のドラマ「実写版『私、アイドル辞めます』」の撮影も無事に終わったそうで、それとかけつつ、女子翼の母体ともいえるアイドルグループ「I’S9(アイズナイン)」に加入して、アイドルになって7周年ということで、同グループの代表曲「私がアイドルになった日」を、メンバーを従えて歌唱。最後は、定期公演恒例の「ぎゅっと手をつないで」を賑やかに歌唱して終了だ。


最後の3幕目は、待望のライブ本編だ。冒頭で述べたように、結成5年目に突入して最初の東京定期ということもあり、メンバーの気合も入りまくりの熱いもので、中でも山本愛理のコールは、I’S9時代の「ネェクスゥトォー」の掛け声を思い出すようでいて、それをはるかに超える大きな進化を果たした見事なもの。鈴川も1幕目、2幕目の好調さというか勢いを存分に活かしたパフォーマンスで、情感のこもった素敵な歌声を聞かせてくれた。実玖は、何かが吹っ切れたというか、迷いがなくなったような表情をしているなと感じたが、それはライブ後に語った――「ドラマの撮影を無事に終えたことで、自分に自信が持てるようになった」――を、全身で表現しているようでもあった。アイドルになって7周年を迎え、これまでの泣き虫・実玖を放逐し、エース実玖としての存在感をより大きく発揮してくれることだろう。詩絵里の歌声も、山本と同じように語尾の消え際の声の響き・余韻が美しくなっており、歌手として大きな進化・成長を果たしているのが実感できた。


曲目

「赤の流れ」「LOCKON」「Starry Night」「私だけのArmor」「fair wind」「I Am Love」「空への咆哮」 ~アンコール「TAKE WING」


本編終了後の各自のコメントは下記の通り。

詩絵里

先日、ファンクラブ通信で2年前に流した悔し涙の話をしましたが、それがあるからこそ今、頑張れているんだと思います。それをバネに、もっともっとパフォーマンスを磨いて、皆さんに感動や力を与えられる存在になりたいです。


鈴川瑠菜

いよいよ5年目の活動がスタートしました。すべての感情をぶつけられるライブ空間が大好きです。喜び、嬉しさ、楽しさを皆さんと共有しながら、もっと愛される存在になれるように頑張ります。


山本愛理

女子翼のライブを見て、明日も頑張ろうって思ってもらえたら嬉しいです。5年目に入りましたので、皆さんともっといろいろな景色を見ていきたいです。


実玖

主演ドラマの撮影も無事に終了し、来年の1月にはいい作品を皆さんにお届けできると思います。(ドラマを見て)アイドルって何だろう、応援するってどういうことだろうって考えるきっかけにしてほしいです。ただ、前回の定期で(ドラマ撮影に向けての)弱音を吐いてしまった自分が、とても嫌でした。23年生きてきて一番つらかったし、プレッシャーに押しつぶされそうでしたけど、たくさんの人たちに支えられて、今は、それを乗り越えることができたと、成長することができたと、自信を持って、胸を張って言えます。(これからの活動を通して)皆さんが見たことのない景色をお見せします。約束します。ついてきてください。


本編終了後は、会場で鳴りやまない大きな拍手に答えてアンコールとして「TAKE WING」を披露して、この日の定期は終了した。


ドワンゴジェイピーnews