AIRDOからデビューした「ポケモン」塗装機「ロコンジェット北海道」は、全席普通席扱いながら、他と比べて明かに豪華な座席が配置されている一角があります。実はこの座席は、「元上位クラス席」。どういう経緯でこの席が生まれたのでしょうか。

10席設けられた「プレミアムクラス」

北海道を拠点とする航空会社、AIRDOが2021年12月にデビューさせた『ポケットモンスター』のキャラクター「ロコン」の特別塗装機「ロコンジェット北海道」。この機体は「ロコン」たちを全面にあしらった可愛らしいデザインはもちろんのこと、航空ファンからもうひとつの意味で注目を集める機体でもあります。

端的にいえば、「ロコンジェット北海道」では、「他社で上位クラスとして使われていた座席が、普通席として使用されている」のです。

ロコンジェット北海道」となった旅客機は、ボーイング767-300ER「JA607A」。2002(平成14)年にANA(全日空)へ導入され、国際線国内線で活躍。「ロコンジェット北海道」としてデビューすると同時に、AIRDOでの第2の人生が始まったというわけです。

AIRDO転籍直前の同機の座席仕様は2クラス計270席で、ANA国内線上位クラス「プレミアムクラス」が10席、普通席が260席となっていました。プレミアムクラスは、座席の前後配置も広く、横配置も、プレミアムクラスが2-1-2席、普通席が2-3-2席と、かなりのゆとりがあります。その仕様のまま、同機はAIRDOへ引き継がれ、全席普通席扱いとなりました。

ロコンジェット北海道」への改修は、11月の初頭から那覇空港内の航空機整備事業会社「MRO Japan」で実施されました。同機はこの地で、機体の塗装の乗り換えのほか、機内の改修も実施されたといいます。

機内はどう変わった? 「元上位クラス」に乗るには…

AIRDOの広報担当者によると、内装は「普通席のシートカバーを”北海道の自然"を表現したAIRDO仕様に」「カーペットを新たなものに」「機内エンタメシステムをAIRDO仕様に」という3つの作業が実施されたそう。「元ANAプレミアムクラス席」は大きな改修が施されていないということになります。

では、その席は「狙って乗ること」はできるのでしょうか。

AIRDOによると「元ANAプレミアムクラス席」は、「お体の不自由な方などを優先的に案内する方針」とのこと。つまり、鉄道でいうところの”優先席”的な扱いとする方針でしょう。

なお、同社公式ページではこの席について、「離陸後、上空にて『AIRDOカード』会員の方に限定し座席変更を承ることができる場合がありますので、客室乗務員へご確認ください」と公表しています。つまり、あくまで”優先席”扱いなので、多くの旅客にとっては「乗れたらラッキー」といった位置づけになりそうです。

なお、「ロコンジェット」ではないものの、ANAからの転籍はもう1機あり、機内仕様も同じ。ただし「元ANAプレミアムクラス席」はともに“期間限定”となる見込みです。AIRDOの担当者はこの席を、「将来的には、他の座席(普通席)と同じものに」としています。

AIRDOで就航した「ロコンジェット北海道」(乗りものニュース編集部撮影)。