ほとんどの人は朝、歯を磨くことを習慣にしていると思います。ただ、朝のどのタイミングで歯磨きをするのかは人によって違い、大きく分けると「起床後すぐ」「朝食後」のいずれかのようです。朝食を取る人が多いことを踏まえると、歯磨きのタイミングは「朝食後」がベストだと思うのですが、「起床後すぐ」に歯磨きをする人も少なくないようです。

 朝の歯磨きのタイミングとしてベストなのは「起床後すぐ」でしょうか。あるいは「朝食後」でしょうか。歯科医師の中村貢治さんに聞きました。

起床直後は唾液が少なく

Q.朝の歯磨きのタイミングとしてベストなのは「起床後すぐ」でしょうか。あるいは「朝食後」でしょうか。

中村さん「朝の歯磨きのタイミングは『朝食後』がベストです。基本的に、起きてすぐの歯磨きはあまり推奨できません」

Q.起床後すぐに歯磨きをする人も少なくありません。なぜ、朝食後がベストなのでしょうか。

中村さん「起床直後の口の中は殺菌・抗菌作用がある唾液が少なく、乾燥していて、虫歯の原因菌など多くの細菌が存在しています。そうした唾液が少ない状況で歯磨きをすると、食べかすなどの歯の汚れは落とせても、細菌はほとんど減らすことができないからです。つまり、朝食を取って、殺菌・抗菌作用がある唾液を分泌させ、口の中の乾燥を改善してからの方が、歯磨きの効果が高まるということです」

Q.起床後、口の中が乾燥した状況で朝食を取ることを気持ち悪いと思う人もいると思います。その場合、起床後すぐに歯磨きをしても大丈夫でしょうか。

中村さん「もちろん、起床後すぐに歯磨きをしても悪影響はありません。ただ、先述した理由で、せっかくの歯磨きの効果が薄れてしまう可能性があります。気持ち悪さを感じるのであれば、うがいをしたり、洗口剤で汚れを洗い流したりすることをおすすめします」

Q.朝の歯磨きまでのプロセスとしては、どのような流れが理想でしょうか。

中村さん「口の中が乾燥したまま、朝食を取るのは気持ち悪いと感じる人もいると思いますので、基本的には、起床時にうがいをしたり、洗口剤で汚れを洗い流したりして、口の中の乾燥状態を打開しましょう。そして、朝食を取った後、15~30分以内に歯磨きをするのが理想的です」

Q.忙しい平日の朝は歯磨きの時間が短くなる人もいると思います。最低でもどれくらいの時間をかけて、歯磨きをする必要があるでしょうか。

中村さん「本来であれば、1本の歯に10~30秒程度かけて、しっかり磨くことが基本です。全ての歯を磨くために5~10分程度を使ってほしいのが歯科医師の本音です。しかし、忙しい朝にそこまで時間をかけて、念入りに歯磨きをするのは現実的ではないかもしれません。少なくとも全ての歯を2~3分かけて、歯磨きすることを目安にすればよいと思います」

オトナンサー編集部

朝の歯磨き、タイミングは?