2021年(1月~11月)、日刊SPA!で反響の大きかった記事ベスト10を発表。高額な商品を買うときの参考になった「家電・趣味」部門の第5位は、こちら!(初公開日 2021年7月18日、価格等は取材時)。
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◆「買うシリーズ」の総額は1億円

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。

とんねるずのみなさんのおかげでした」という番組で有名な「買うシリーズ」。番組は2018年に終了したものの、今でも記憶に残っている有名な企画だといえます。そんな「買うシリーズ」の「買わされた」総額は1億円にも達するそうです。「買うシリーズ」は、高級腕時計クルマなど、「高いモノ」をゲストに半ば強制的に買わせるという内容だったのですが、その「時計部門」で最も高いアイテムを買ったのがスギちゃんであります

 スギちゃんが購入したのは、ロレックスの「デイトナレパード」と呼ばれるモデル。購入額は648万円で、2位に圧倒的な差をつけての1位とのことです。この648万円という金額もすごいことながら、その選択もまた強烈。まさに、スギちゃんらしい「ワイルド」な選択だったわけですが、当時の放送を見ると、共演者が驚いている様子が見受けられ、実際「スタッフさんが驚いている」とスギちゃん本人が発言していました。

◆クセがスゴい腕時計

 最近では、腕時計は「買った値段よりも高くなる」という事例がそれなりに知られていますが、そうはいっても、「デイトナレパード」のような特殊なモデルは、「買った値段よりも高くなる」ということは難しいといえます。

 このデイトナレパードという腕時計は、その「レパード」という名の通り、まさにヒョウ柄腕時計。ストラップ部分はもちろん、文字盤にも「ヒョウ柄」が施されており、その周りをダイヤモンドイエローサファイアで埋め尽くされている、クセがスゴい腕時計であるわけです。

 つまり、このデイトナレパードは、超高値なモデルでありながら、人を選ぶような1本であるといえます。個人的には、日本人でこの腕時計が似合うのは、マダムシンコさんぐらいしか思い浮かびません。そういったことから、デイトナレパードの需要は限られる傾向があるといえ、その結果、「買った値段よりも高く売る」という難易度は、いわゆる“人気モデル”と比べると格段に高いといえます。

◆買った値段より高くならない状態が続く

 実際、同じ「買うシリーズ」で、“人気モデル”に該当する腕時計を選択した有吉弘行さんは、今から4年前の段階で、すでに「買った値段よりも高くなる」状態を達成しています。詳しくは、2017年5月の記事に書いたとおりですが、2011年に約80万円で購入したロレックスシードエラーは、2017年5月の段階で約95万円という中古相場になっていたのです。そして、今では有吉さんが買わされたシードエラーは、さらに上昇。本日の中古最安値は、約124万円という状況です。

 その一方で、スギちゃんが買ってしまったデイトナレパードは、2017年頃の段階では、中古が480万円程度といった価格帯でした。スギちゃんが購入した額は648万円ですから、買った値段よりも高くなるという現象は全く起きていなかったわけです。

 ただ、2017年以降、多くの腕時計は、年々高くなるという傾向があったため、デイトナレパードも、その後しっかりと上昇していました。とはいっても、デイトナレパードの中古最安値は、2018年4月が約580万円、2019年4月が約593万円、2020年12月が約615万円。年々高くはなっていたものの、スギちゃん購入額の643万円には、なかなか届きませんでした。

 しかし今年、デイトナレパードの相場に異変が起きたのです。

◆最高値1000万円にも 

 デイトナレパードは、今年3月中旬頃まで600万円台という中古最安値だったのですが、3月下旬には、700万円台に上昇。そして、4月には、なんと1000万円以上という状況に変化したのです。ただ、1000万円以上となっていたのは、つかの間のことで、すぐに800万円台に落ち着いてしまいます。そして、しばらくその水準が続いた後、5月末に900万円台に変化。それから、7月現在までにかけて900万円台という状況が続いているのです。

 一旦1000万円以上になったのが、800万円に下落し、900万円台に回復という動きはあるものの、いずれの水準も、スギちゃん購入額を大きく上回っているわけです。

 ですから、今まさにスギちゃんは、「買った値段よりも高くなる」ということを実現できている状況だといえます。

◆「売るシリーズ」も是非!

 もちろん、これは「売値」であるため、実際の「買取額」ではありません。しかしながら、中古相場が900万円台となった今、「買取額」という観点でも、スギちゃん購入額を上回る可能性は多いにあるといえるでしょう。

 ちなみに、番組内でスギちゃんは、他の腕時計も勧められていました。それらの販売額は、278万円と428万円という価格。デイトナレパードよりもかなり安いといえたのですが、スギちゃんデイトナレパードという「ワイルド」な選択をしたわけです。その278万円と428万円のモノは、他ブランド腕時計でしたが、実はスギちゃんが、それらいずれかを選んでいたならば、現在でも「買った値段よりも高くなる」ということは難しかったといえます。

 そういった意味では、スギちゃんワイルドな選択は「正しかった」といえるわけです。

 というわけで、私個人としては、とんねるずさんに「売るシリーズ」をつくっていただき、スギちゃん腕時計を査定するという番組を期待しています。<文/斉藤由貴生>

斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[2021年ベスト10「家電・趣味」部門]―


ロレックス デイトナ 116598SACO(デイトナレパード)