12月カレンダーを見て、「今月は祝日がないのかあ…」とため息をついている人はいないでしょうか。

天皇誕生日」の移動以降、12月は祝日がゼロの月になりましたが、各国の「祝日」について調べてみると「国民の祝日に関する法律」で定められた日本の祝日は「16日」で、フランスの「11日」(日本貿易振興機構資料、以下同)、米国の「10日」、ドイツの「9日」、英国(イングランド)の「8日」などより多く、先進国ではかなり多い方ですが、一方で「日本人は働き過ぎ」とされ、休みを取るように言われる人も多いのが現実です。

 なぜ、祝日が多いのに「働き過ぎ」なのでしょうか。社会保険労務士の木村政美さんに聞きました。

労働時間はOECDの平均以下だが…

Q.そもそも、日本で祝日が多いのはなぜでしょうか。

木村さん「『国民の祝日に関する法律』1条には『自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、または記念する日を定め…』と祝日を定める理由を挙げています。しかし、昨今では、祝日の意義が労働者の長時間労働を是正するための施策の一つとなっています。

会社側は2019年4月から、該当する従業員について、年間5日の有給休暇を取得させることが義務になりましたが、これまでの慣習や人手不足の影響などもあり、有給休暇取得率の向上が難しい会社も多いのが現状です。そのため、国が祝日を増やすことで、強制的に休みを取らせているという考え方もできるでしょう」

Q.祝日が多いのに、日本人があまり休んでいないという印象があるのはなぜでしょうか。

木村さん「まず、理由として挙げられるのが、企業における有給休暇の取得率が国全体で約56%で諸外国よりも低いことです。有給休暇の取得は本来、労働者に与えられた権利であり、国も働き方改革の一環として有給休暇の取得率を上げるための施策を行っています。しかし、上司や周囲から嫌な顔をされたり、自分自身が罪悪感を持ったり、仕事が忙しくて休めなかったりして、有給休暇が取りづらい状況にある労働者が多いためだと思われます。

休暇は自分自身の働き方に合わせて、自主的に取得するものであり、国や会社がお仕着せで決めるものではありません。そのためには、祝日を増やすより、有給休暇の取得率を上げるのが先決であり、さらには、従業員が自分の都合に合わせて、フレキシブルに有給休暇を取得できるよう、会社の環境を変えていくことが重要なのですが、現実にはそこまで至っていない企業が多く、休んでいない印象があるのでしょう」

Q.祝日以外にも年末年始休暇やお盆休みもありますが、それらを含めても「働き過ぎ」の印象があります。

木村さん「以前から、『日本人は働きすぎだ』と言われていますが、経済協力開発機構(OECD)の2020年労働時間調査でみると、加盟国全体の年平均1687時間に対して、日本は1598時間で統計上は平均を下回っています。しかし、この数値にはサービス残業が含まれておらず、さらに、男女の労働時間が混在しているため(女性はパートなど短時間労働者が多い)、実態を表していません。

実際は時間外労働やサービス残業で、統計上の時間より長時間働いている労働者が多いのではないでしょうか。仕事が終わらずに祝日や休暇中に出勤している社員がいることも考えられます。残業が多い理由の一つとして、諸外国と比較した労働者の生産性の低さが考えられます。その原因としては、各人の仕事の範囲が曖昧で、担当外の仕事まで抱え込みやすいことなどが挙げられます」

Q.祝日が多いこと、年末年始やお盆休暇があることは日本人にとって、よいことなのでしょうか。

木村さん「祝日や年末年始、お盆休暇など休日が多いことは、仕事から離れて、プライベートな時間を充実させることができ、ひいては、国が推奨するワークライフバランスの促進にもつながりますが、半面、休日が増えれば、次の弊害も考えられます。

(1)業務量が減らない限り、平日の仕事が忙しくなり、その結果、社員が疲弊し、その状態で有給休暇を取得すると休暇明けの業務量がますます増えてしまうので、有給休暇の取りづらさにつながる。
(2)特にサービス業では、祝日や年末年始、お盆などの休日が『書き入れ時』の業界や業種も多く、一斉休日の恩恵を受けづらい。
(3)非正規社員など、日給月給や時給で給料を計算されている労働者が増加しており、休日が増えればその分、給料が減り、生活に支障が出る。

やはり、有給休暇を取りやすい環境を労使が協力して、つくっていくことが大切でしょう」

オトナンサー編集部

12月の祝日はゼロ