自分がどんなに興味を持っている事でも、他の人にとってはまったく興味がないどころか、その情報を知りたくないと思う人もいる。
その情報が本人に関係するかどうかではない。関係があっても興味が持てないものは持てないのだ。人によって求める情報がこうも違うのはどうしてなのか?
『Nature Communicaions』(21年12月3日付)に掲載された研究によると、人が情報を取捨選択するとき、3つの要因が関与しているという。
それは「自分の感情にどのような影響を与えるか」「役に立つかどうか」「日頃から考えている事柄かどうか」の3つだ。どの基準で情報を選んでいるかは人によって異なるのだそうだ。
だから大勢が関係する大切なメッセージがあったらば、それぞれのタイプにあった伝え方をすれば、効果的に伝えられると考えらえるそうだ。
社会問題、政治経済、新型コロナ、健康、温暖化、SDGsなどなど、日々さまざまな分野のニュースが伝えられている。
その多くは、ほとんどの人に関係していることだ。だが、それらの情報を積極的に求める人がいる一方で、まったく関心を示さない人たちもいる。
一体なぜそのような違いがあるのか? この人間の不思議な性質について、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのタリ・シャーロット教授はこう述べている。
・合わせて読みたい→一度信じてしまった情報を訂正するのは難しい。だが繰り返して正しい情報を共有することで訂正可能となる(米研究)
普段触れている情報は、健康・経済・人間関係などに重要な影響をおよぼします。
ある人がある情報に触れようという気になる理由について理解が深まれば、人々にもっと知ろうと納得させる方法を考案できるかもしれません
人によって異なる、情報を取捨選択する3つの基準
シャーロット教授らは、人々が情報を求める動機を知るために、次のような調査を行なった。
まず、参加者にいくつかトピックを例示して、それに関心があるかどうか聞いてみた。
たとえば、「アルツハイマー病にかかる遺伝的リスクがあるかどうか」「為替などの金融情勢」「自分の知性などについて家族や友人からの評価」といったことだ。
それに関する情報を知りたいかどうか聞いたうえでさらに、それが「役に立つと思うか?」「どう感じると思うか?」「普段からどのくらい考えているか?」など質問した。
[もっと知りたい!→]情報は脳にとってお金や食べ物、麻薬のようなもの。脳の報酬系を刺激するのでやめられない(米研究)
その結果、どんな情報を得たいかを取捨選択をする際、次の3つの基準があることが判明したという。
・その情報が役に立つか?
・それを知ることでどのような気分になるか?
・それはいつも考えている事か?
そして、これらの基準のうちどれを優先するかは人によって違うのだ。
役立つと思える情報を優先的に求める人がいる一方、普段から考えている事柄についての情報を主に求める人がいる。
そうした傾向は、時間が経っても、場所が変わってもそれほど変わらない。ゆえに情報を取捨選択する基準は、人それぞれにユニークな特徴と言うことができる。
大事な情報をうまく伝えるために
新型コロナ情報や、食品のラベルに記載されている内容など、ほぼ全員に関係する事柄でありながら、人によって関心の度合いはさまざまだ。
それはもしかしたら、せっかくのメッセージがその人の"情報の琴線"に触れていないことが原因なのかもしれない。
シャーロット教授らによれば、人々が情報を求める動機がわかれば、大切な情報を効果的に伝えるヒントになるだろうとのことだ。
References:Whether people inform themselves or remain ig | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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