コロナ禍で業績が悪化、一向に回復しない企業は今冬のボーナスも“厳冬回答”が多い。一方で、業績が落ち込んでも前年と同額、微減で歯を食いしばる企業もある。ローンの支払いは滞り、日常生活もままならなくなると、支給額に一喜一憂する……有名企業の正社員が、プライドをかなぐり捨ててボーナスにまつわる「素直な胸の内」を明かしてくれた! 今回はヤマト運輸の40代現役社員を取材、彼の場合は――。

テレワークで個人の需要増も法人が減り……。ボーナスに反映されず

 コロナ禍では、外出を控えた人々がインターネット通販を利用する巣ごもり需要が注目された。

 それを支えた宅配業界の最大手・ヤマト運輸(HD)は、’20年4月からの1年間で宅急便の取扱個数が初めて20億個を超え、過去最高の567億円の利益を稼いだという。

 だが、それもはかないバブルだったのか、今年の冬のボーナスは、大幅に減るようだ。この道10年以上で年収670万円、宅配ドライバー・牛込貴志さん(仮名・44歳)に、業況の移ろいを聞いた。

テレワークの影響で、法人オフィスからの荷物はかなり減少しています。その逆に住宅街では、夕方以降の在宅率が、コロナ前よりも高いです。置き配や宅配ボックス指定が浸透したことにより、再配達の手間は減っていますね」

Amazonとのせめぎ合い

 ヤマト運輸の荷物を語る上で、Amazonとのせめぎ合いは避けて通れないだろう。ヤマトはこれまでAmazonとシビアな価格交渉をしてきたが、今年11月から宅配の荷受け量を増やし、一部運賃の値下げに踏み切っている。

Amazonは、おいしい荷物は自分で配達して、かさばって重たい荷物や、不在時再配達率の高い荷物ばかり当社に送り込んでくる。はっきり言って迷惑ですね」

ボーナスは約3か月分も、昨年から約9万円減

 約3か月分の冬のボーナスが昨年の72万円から63万円と約9万円減となったことについては、納得いかない様子だ。

「AI活用で輸送・配送工程を最適化するだとか、ロボットで荷物仕分けするだとか、設備投資にばかりお金をかけている印象です。働き方改革は掛け声ばかりで、浮いた人件費を社員に還元していないと感じています」

◆根深いブラック体質も「同業他社よりマシです」

 ’17年に多額の残業代未払いが発覚し、230億円もの支払いに応じた。それに伴う一連の改革で、労働環境は向上したはず……。

「それでも昼休憩を取得できていないドライバーは多いし、サービス残業はまだある。根深いブラック体質は、完全に払拭できていない。でも、公休日数、労働時間、年収、企業ブランドなどを総合的に見れば、同業他社よりマシです」

ボーナスの使い道は?

 ボーナスは27万円を住宅ローンの返済に充て、あとは子供の教育費へ回すという牛込さん。

「これでも給与水準は最高クラスなんです」

 業界最大手の誇りを感じた。

◆冬のボーナス大調査

●牛込貴志さん(仮名・44歳・既婚)宅配ドライバー

昨冬 72万円 ⇒ 今冬 63万円

※1人の社員に聞いた一例であり、全社員が同じとは限りません

<取材・文/松嶋千春(清談社) アンケート協力/パイルアップ>
※週刊SPA!12月7日発売号の特集「冬のボーナス大調査」より

【松嶋千春(清談社)】
様々なメディア媒体で活躍する編集プロダクション「清談社」所属の編集・ライター。商品検証企画から潜入取材まで幅広く手がける。

―[冬のボーナス大調査]―


各支店内で掲げた数値目標に対する達成率と同僚間での相互評価で基本給の査定があるという同社。先進的な取り組みではある(※写真はイメージです。今回の取材とは直接関係ありません)