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 チリの最南部で発見された長さ2メートルほどの恐竜は、鎧のような硬い皮膚を持ち、アステカの戦士が使っていたような恐るべき武器で武装していたそうだ。

 尻尾の形状が、7対の刃を持つ剣のようになっており、これで敵から身を守っていたという。

 「stegouros elengassen(ステゴウロス・エレンガッセン)」と名付けられたその恐竜は、チリでは珍しい「アンキロサウルス」の仲間であることが明らかになっている。

【画像】 尻尾に武器をたずさえた7200万~7500万年前の恐竜

 アステカの戦士は、「マクアフティル」と呼ばれる剣のような、棍棒のような武器を身に着けていたが、7200万~7500万年前に生きていた「stegouros elengassen(ステゴウロス・エレンガッセン)」の尻尾にも、それと似たような武器がついている。

 7対の刃のような皮骨が横に並んでおり、これまでの恐竜とは一味違うユニークな形状になっているのだ。

 その為、研究チームはステゴウロス・エレンガッセンの尻尾の解剖学的構造を「マクアフティル」と命名した。

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Tail Weapon - Credit: Jose Palma and Joao Francisco Botelho

 恐るべき武器で武装してはいるものの、ステゴウロス・エレンガッセンは草食恐竜だ。

 いかつい尻尾は、おそらく大型の捕食恐竜から身を守るためのもの。それに加えて、鎧のような硬い皮膚、背中から鎧のような骨が突き出ていたおかげで、獰猛な肉食恐竜もさぞ噛むのに難儀したことだろう。

Stegouros elengassen's discovery: Dinosaur tail found in Chile stuns scientists • FRANCE 24

アンキロサウルスの仲間

 その恐ろしげな尻尾や背中の形状がどこか「ステゴサウルス」にも似ていることから、恐竜学者らは「ステゴウロス・エレンガッセン」と命名した。

 しかし頭蓋骨のかけらやDNA解析の結果からは、ステゴサウルスとは遠縁であることが判明した。 実際のところは、南半球では珍しい「アンキロサウルス」の仲間であったのだ。

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 研究グループは、ステゴウロス・エレンガッセンを「失われたアンキロサウルスの系譜」と呼んでいる。

 ステゴザウルスステゴウルス。実に紛らわしいので勘違いしちゃいそうなので、長くてもエレンガッセンまで記述しなきゃならないな。

 ちなみに「ステゴウロス(stegouros )」は「 屋根に覆われた尾」という意味だ。エレンガッセン(elengassen)は、南アメリカ、パタゴニア地域の先住民の神話に登場する鎧の獣を意味する。

 ステゴウロス・エレンガッセンは、鳥のような口先から尻尾の先端まで2メートルとかなり長いが、背丈は人間の太ももの高さほどで、大型犬サイズだ。

 その化石が発見された時、お腹が真っ直ぐだった一方、下半身は低く下がっており、まるで流砂にでも飲まれたかのような姿だったという。

 はたして太古の時代にどのようにして命を落としたのだろうか? 今後様々な研究が進むことで興味深い事実が判明することだろう。

 2021年12月1日よりチリの首都、サンティアゴでステゴウロス・エレンガッセンのミニチュアモデルが展示されているという。

Hallan en Chile un Stegouros elengassen, nueva especie de dinosaurio acorazado

 この研究は『Nature』(21年12月1日付)に掲載された。

References:Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile / written by hiroching / edited by parumo

追記:(2021/12/08)リンクを一部訂正して再送します。

 
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古代アステカ兵士の剣のような武器を尻尾にたずさえた、新種の装甲恐竜がチリで発見される