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男児偏重や男尊女卑の精神が根強く残るインドでは、「結婚時にひどくお金がかかる女児が生まれるのは困る」とばかりに、胎児の性別が女の子だとわかった途端、人工妊娠中絶を受ける家庭もあるという。

その偏った考え方が、また新たな殺人事件を引き起こしてしまったことを『Times Now News』などが報じている。


■誘拐されたと説明した母親

11月30日、ムンバイ市カラチョウキ地区のフェルベンデルという住宅地の民家にある大きな水槽の中で、女の赤ちゃんが溺死しているところを発見された。

赤ちゃんは生後3ヶ月で、36歳の母親は警察に「見知らぬ女が現れ、鎮静剤で私は眠らされてしまい、その間に娘が誘拐された」と泣きながら説明した。


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■「なぜ息子を産まないんだ」

だが話のつじつまが合わず、警察に町の防犯カメラの映像との矛盾点を指摘されると、母親はついに自身が殺害したと認めた。

犯行の動機を問われると「2011年に結婚し、2013年に長女が生まれたが、そこから『なぜ息子を生まない。ロクでもない嫁だ』と夫からひどく罵られるようになった。今年また女児が誕生し、これ以上もう耐えられないと思った」などと話したという。

■黒魔術で勝手に性別判断

インドでは女児が生まれた家庭で夫婦仲が険悪になることはままあるが、このたびの事件では、義理の両親をはじめとする夫の親族も深く関与していた。

親族はそろって「男児を産め」と嫁へのプレッシャーとモラル・ハラスメントを繰り返し、妊娠するたびに黒魔術の恐ろしい儀式を受けさせていた。さらに、医学的根拠もないなか「胎児は女の子だ」と決めつけ、人工妊娠中絶を3回も強要したのだった。


■夫と親族の起訴も検討

母体の安全上、これ以上の中絶を繰り返すわけにはいかないと言われたなか、今年8月に帝王切開でまた女児が誕生。夫と義理の両親は激怒していたという。

容疑者は、夫やその親族のせいで精神的に追い詰められていたことが考えられるといい、警察は「起訴を視野に入れ、彼らについても捜査を始める予定だ」としている。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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