南アフリカで2001年、誕生間もない女児が誘拐される事件が発生した。家族は「二度と会うことは叶わないだろう」と諦めていたが、このほど奇跡的に見つかったという。発見したのは、誘拐された女児の弟にあたる19歳の少年だった。ドラマのような奇跡の出来事を『eNCA』などが伝えた。

2001年3月23日南アフリカのムプマランガ州エルメロ(Ermelo)に住む当時16歳の少女が病院で女児を出産した。少女は出産したその日に退院し、誕生したばかりの女児や付き添いの姉とともに家に帰ることとなった。しかし出産直後の少女にとって道中は厳しく、痛みやめまいが襲ってきたという。

姉が買い物のために店に入っていくと、女児を抱いてじっとしていた少女のところに「赤ちゃんを抱っこしてあげる」と見知らぬ女性が近づいてきた。その女性は先に姉に話しかけていたので、少女はてっきり姉の知り合いだと思ったそうだ。女性は「ちょっと(店に入った姉を)見てくるわね」と言うと、女児を抱っこしたまま姉の歩いて行った方向へと消えた。しばらくして買い物から戻ってきた姉が女児の行方を聞いてきたので、ここでようやく女性と姉は知り合いではなかったことが明らかになった。慌ててその女性を探したが、すでに女性は女児とともに姿を消していた。

新生児誘拐事件として捜査が開始されたが、女児は名前さえ付けられず、対面を待ち望んでいた父親にも会えずにいた。その後、少女は2人の息子をもうけたが、名前すらない娘の行方は全く分からないままだった。

そして20年後の2021年11月29日、事態は急展開した。19歳の長男が何気なくFacebookを見ていると、弟にそっくりな女性の写真を発見した。長男は祖母にそのことを伝えると、祖母は「あなたの母親に似ている」と言い、ふと誘拐された女児なのではないかと思い当たった。そこで家族はソーシャルメディアを通じて女性とコンタクトを取り始めた。女性にどこに住んでいるのか、年齢、何をしているのかなどを問い合わせたところ、家族が住んでいる場所から30キロほどしか離れていないキャロライナ(Carolina)という町に住んでいることが分かった。20年前に誘拐された女児の可能性が高いと感じた家族は、警察に通報した。警察はDNAテストなどを行い、当時16歳で女児を生んだ母親とキャロライナ在住の女性の親子関係が判明すると、50代の女を誘拐の罪で逮捕するに至った。この50代の女は、誘拐した女児を自分の子供として育ててきたのだった。

『eNCA』の取材に応じた生みの母親は、20年間会えなかった娘と一緒に暮らしたいと願っているものの、育ての親のもとに行くことを禁じることはないとして「これは私が決めることではなく、彼女が決めること。私と暮らすことを強要することもできない」と語っている。また今回の発見に貢献した19歳の長男は「姉が見つかってとても嬉しい。これから姉との思い出を作ることができる」とコメントした。

なお警察によると、20歳になった女性は安全な場所に確保されており、精神的なサポートを受けた後に生みの母親と再会することになるそうだ。

画像は『eNCA 2021年12月8日付「WATCH | 20-year-old baby abduction mystery solved via Facebook」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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