薄給の20代、激務の30代を乗り越えてきたのに、終身雇用は崩壊し役職はつかずに給料も頭打ち。転職しようにも、社内で再評価されようにも外されたはしごを掛け直してくれる味方はいない。“無理ゲー”と化した会社で中年社員が生き抜く術はどこにあるのか。

 かくも厳しい中年社員たちの現状。周りを見渡せば敵だらけ、四面楚歌ともいえる戦場に立ち尽くす諸兄には今を生き抜くための戦略が必要だ。

 会社は幻想であることを受け入れ、自己評価をやめ、会社に依存しない生き方を模索することこそが、現代の中年社員のサバイバル術。今回は会社との正しい距離のとり方について解説していく。

◆会社や人事評価なんてしょせんは幻想

 多くの会社員が大なり小なり会社への不満を溜め込んでいるわけだが、人事・キャリアコンサルタントの楠木新氏は「会社を敵と見なす」ことの浅はかさを説く。

「会社や人事評価なんてしょせんは幻想。人が人を評価しているのだから、常に正しいなんてことはあり得ない。不満を正面からぶつけるだけ無駄です。ましてや闘うなんて発想はありえない。むしろ、どうすれば会社をうまく使えるかの発想をすべきです」

◆建設的な会社との付き合い方を考えるべき

 抗おうなどと考える前に、建設的な会社との付き合い方を考えるべき、という楠木氏の教え。とはいえ、これまで会社をうまく使ってこれなかった中年社員は何から始めればいいのだろうか。

「そのためには、まず自分の幸せという観点から、何をすれば他人に喜んでもらえるかを検討する。『顧客』を見つけることができれば、会社の良さが見えるとともに、会社とどう協調するかがわかってきます」

◆期待値の調整が大事

 産業医の大室正志氏も「会社を信頼しすぎない」という意見に同意する。

「頼りにできないけど敵でもない。そのくらいの期待値で生きていれば、会社に対してムカつくこともそうそうないはず。むしろそうでも思わないと多くの人にとって『会社は極悪非道な組織』と映りますよ。期待値の調整が大事です」

◆会社に寄りかかった期待は捨てるべき

 組織コンサルタントの安藤広大氏も会社に寄りかかった期待は捨てるべきだと同調する。

「どんなに優秀な人材でも、うまくいかない時期はあります。その時『会社は家族も同然』なんておめでたい考えでは『会社に裏切られた』と感じてしまう。今どきそんなこと言っていたら、先に会社がつぶれてしまいますよ」

 松下幸之助が創業したパナソニックですら白旗を掲げた今、かつての共同体幻想は完全についえたと思ったほうがよさそうだ。

★中年社員の生存戦略「会社は敵でも味方でもない。会社への期待値を調整せよ」

【人事・キャリアコンサルタント 楠木 新氏】
神戸松蔭女子学院大学人間科学部教授。生命保険会社で人事部、支社長などを経験。50歳から「働く意味」をテーマに執筆・講演に取り組む。著書『定年後』(中公新書)ほか多数

【産業医 大室正志氏】
医療法人社団同友会産業医室勤務で専門は産業医実務。メンタルヘルスや生活習慣病の対策など企業における健康リスク軽減に従事。NewsPicks動画OFFRECOに出演中

【組織コンサルタント 安藤広大氏】
識学代表取締役。組織マネジメントの専門家として数々の企業の業績アップに貢献。コンサルティングの実績は2000社超。著書『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)はベストセラーに

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[中年社員vs.会社]仁義なき戦い]―