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 もしも人類の文明が崩壊したら何が残るだろうか?科学の痕跡、テクノロジーの残骸は残されたままかもしれないが、人類が何を成し遂げたのか、あるいは何が原因で滅亡したのかを示す証拠が消え去ってしまうかもしれない。

 そこで発足したのが、人類の記録を破壊不可能な巨大なスチール製のモノリスに保存するプロジェクト「アースブラックボックスEarth's Black Box)」だ。

 これは飛行機墜落事故に備えてデータを記録するブラックボックスのようなもので、万が一文明が滅んだ時に、これまでの状況を後世に伝えるためのデータ・ストレージとなる。

【画像】 文明が崩壊した時に備えて

 現代文明が滅亡としても、おそらく都市の一部や、大きなモニュメントは100年後、1000年後にも残っているだろう。

 しかし、運よく生き伸びた私たちの子孫が、それを見てただ単に「大昔には謎の文明があったようだ」と不思議に思うだけでは意味がない。

 今の人類が一体何を行い、地球に何が起きたのか、きちんと伝えなければ、我々の滅亡はただの無駄ということになる。

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photo by Pixabay

地球のブラックボックスとなる巨大モノリスを設置

 オーストラリアイギリスのグループは、その時に備えて「Earth’s Black Box(アース・ブラックボックス)」というプロジェクトを始動した。

 タスマニア大学、マーケティング企業「Clemenger BBDO」、クリエイティブ企業「The Glue Society」のコラボによって実現した同プロジェクトでは、オーストラリア南部の海に浮かぶタスマニアの荒野に、巨大な鋼鉄製のモノリスを設置する。

 モノリスは巨大なデータ・ストレージだ。大気中の二酸化炭素・海水温・エネルギー消費量といった気候関連データのほか、ニュースやSNSの投稿のような文脈のある情報も収集され、それらが記録される。

 万が一、温暖化によって地球がクラッシュしてしまったとき、生き残った人たちはアースブラックボックスから教訓を学ぶことができる。まさに飛行機ブラックボックスと同じ役割を果たすのだ。

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破壊不可能な鋼鉄製の頑丈なモノリスがデータを守る

 アースブラックボックスは、厚さ7.6センチの鋼鉄製で、花崗岩の上に「片持ち梁」(一方の端のみが固定され、もう片側は固定されない構造)で設置される。

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 大きさは10×4×3メートル。屋上にソーラーパネルがあり、ここから内部のストレージに電力を供給しつつ、インターネットを通じてデータを収集する。

 The Glue Societyのジョナサン・ニーボーン氏によると、その構造は頑丈で破壊不可能。万が一最悪の事態が起きたとしても、送電網がストップした程度のことでは、びくともしないという。

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すでに記録は始まっている

 なお、モノリスの建設が始まるのは来年からだ。しかしデータの記録自体は、今年11月に英グラスゴーにおけるCOP26開催と同時にスタートしたという。

 そのデータが必要とされる日が永遠に来ないことを祈ろう。

References:Scientists Are Building a “Black Box” to Record the End of Civilization / / written by hiroching / edited by parumo

 
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来るべき文明崩壊に備え、人類の記録を保存するための「ブラックボックス」を設置するプロジェクトが発足