Prime Videoで12月17日より配信が開始される連続ドラマ『No Activity/本日も異状なし』。本作は、豊川悦司演じる出世を諦めた万年ヒラ刑事・時田信吾と、中村倫也扮する人たらしな新米刑事・椎名遊のバディが、とんでもない騒動を巻き起こす姿を描いた新感覚のコメディ刑事ドラマだ。
ハードボイルドからコミカルな役まで幅広い演技力でファンを魅了する豊川と、同じくどんな役でも説得力を持たせる確かな演技力が魅力の中村。そんな二人は2018年に放送された連続テレビ小説『半分、青い。』で作品を共にしているが、ガッツリと対峙するのは初となる。共に「共演を楽しみにしていた」という豊川と中村が蜜月トークを展開した。
「豊川さんの家のお風呂掃除をしたい」(中村)
――豊川さんは、オフィシャルのインタビューで、中村さんと共演して「家に置いておきたい」と語っていましたが、どんな意図が?
豊川:『半分、青い。』という連続テレビ小説でご一緒したのですが、そのとき中村くんは“マアくん”という役を演じていて「素敵な俳優さんだな」という印象を持っていました。今回『No Activity/本日も異状なし』でしっかりとお芝居をしてみて、中村くんが与えてくれる安心感みたいなものが、すごく好きになっちゃったんです(笑)。彼が家に居てくれたら、なにか家でイライラすることがあっても、彼の顔さえみればスーッと癒されると思うので、枕元に置いておきたいなと……。
中村:一緒に取材させていただいて、『半分、青い。』のときに、そんな風に思っていただいていたんだということを初めて知りました。あのとき頑張って良かったなって思います(笑)。なんかすごく嬉し、恥ずかしって感じですね。豊川さんファンであるうちのオカンに「自慢の息子だろ」って伝えたいです。
――“うちに置いておきたい”という中村さんですが、実際中村さんが豊川さんのご自宅に行ったら、どんなことがしたいですか?
中村:えーなんだろう……。でもお風呂掃除してみたいですね。豊川さん家のお風呂掃除した役者なんて絶対いないですよね。「俺は豊川さん家のお風呂掃除したことあるからね」って墓石に刻みたいです。
――豊川さんは中村さんになにかしてもらいたいことはありますか?
豊川:子守唄かな?
中村:えー(爆笑)
豊川:このイケボで子守唄を歌ってくれたら嬉しいですね。きっとぐっすり眠れそう。
年下なのに安心する。どんな球を投げても全部受け取ってくれる(豊川)
――中村さんも豊川さんとのお芝居は楽しみだったそうですね。
中村:今回こうやってご一緒する以前から、僕はいろいろ豊川さんの作品を観させてもらっていましたので、すごく憧れの俳優さんでした。台本を読んだときから、時田という刑事を豊川さんがやったら、メチャクチャ面白いだろうなと漠然と思っていました。実際現場でお会いしたとき、想像をはるかに超えるぐらいチャーミングで……。豊川さんが演じる時田がいてくれるだけで、僕は椎名を演じる必要がないぐらい。役者をやっているうえで、とても幸せを感じる瞬間でした。また現場でご一緒したいですね。このドラマの続編もやりたいし、お風呂掃除も本当にやりたいです(笑)。
――豊川さんは先ほど中村さんに対して「安心感があった」と話していましたが、具体的には?
豊川:彼と一緒に芝居をしていると楽なんです。いい意味で僕自身があまり頑張らなくてもシーンがしっかりと成立していく感じがありました。すごく気持ちいいんです。不思議ですよね、彼は年もすごく下なのに安心する。どんな球を投げても全部受け取ってくれるみたいな……。
――ドラマを観ていると、二人の会話のキャッチボールを含めて、とても相性が良く感じられます。お二人もお芝居をしていて、相性の良さは感じましたか?
中村:ヌーディストビーチの話をするシーンが出てくるのですが、あのときの二人の空気感や話がスタートしたときの感覚は、きっと同じ思いだったんだろうなって実感できて嬉しかったです。
豊川:感覚的な部分ですが、与えられたお題に対して考えるベクトルというのが、似ているのかなとは思いました。
「豊川さんにしか出せない音色を持っている」(中村)
――互いに尊敬できる部分は?
豊川:中村くんは、空き時間の居ずまいや、メイクの準備をしているときの佇まいがすごく堂々としているんです。本人はどう思っているのかは分かりませんが、それがすごく格好いいなと思って見ていました。
中村:単純に男性としてスゲー格好いいですよね。そこはメチャクチャ憧れます。もちろん表現者としても、豊川さんにしか出せない音色をいろいろな作品で残されていて、やっぱりすごいなと思います。この人じゃないとダメだという存在感には強く憧れます。
――物語の多くを二人の会話劇が占めますが、演じていてどんな楽しさがありましたか?
中村:僕はもともと演劇ばっかりやっていた人間なので、長いシーンやセリフというのは、慣れているので気は楽なんです。今回も結構長回しの撮影が多くて、やりやすかったです。
豊川:最初にシナリオを読んだときは、セリフを覚えるのが大変そうだなと思ったのですが、(脚本を担当したシソンヌの)じろうさんが書くセリフがすごく頭に入りやすくて、思っていたよりは苦労しませんでした。実際の撮影でも、中村くんのセリフに乗っていくと、自然と次のセリフが出てくるんです。いいリズムができていたので、すごく心地よかった、とても楽しかったですね。
――監督はヒットメーカーの英勉さんでした。なにか現場で印象に残っている演出はありましたか?
中村:こちらがしゃべっているのを楽しそうに見守りつつ、技術的な部分でより良く見えるように差配してくれていた印象です。自由にのびのびとやらせていただきました。
豊川:一番の応援団というスタンスで現場にいてくださっていました。俳優と監督にはいろいろな関係性がありますが、英監督は常に僕らの最初の素晴らしい観客でいようとしてくださっていましたね。そういう姿勢は僕らのエネルギーになりました。
――シソンヌじろうさんの脚本も魅力の一つですが、お二人はシソンヌさんのコントを観たことはありましたか?
豊川:僕はこのお仕事をするまで、正直拝見したことはなったのですが、今回観させていただいて、独特の世界観があるなと感じました。コントを観たあと、改めてシナリオを読むと「なるほど!」と思えるところがたくさんありました。
中村:芸人さんのコントや漫才って、自分のなかにあるものをダイレクトに表現しているものだと思うんです。自分に合った笑いで勝負して、それが評価されるというのはすごいですよね。シソンヌさんのライブも、とても定評があって面白い。観てすぐに彼らの世界観が分かる。そんなじろうさんが書いている本なのですが、自分が演じるのではなく、僕たちがやった方が面白くなるように書いているんですよね。それってすごいなと思います。
業界あるある「1日中カメラ回してもオンエア10分みたいなことがある」(中村)
――刑事の常識に捉われない破天荒なバディですが、お二人が芸能界に入って驚いた業界ルールみたいなものはありましたか?
豊川:最初に仕事を始めて思ったのは、夜でも「おはようございます」っていうことですね。あれはどこからきたしきたりなんだろうね。いまだになんで「おはようございます」って言うんだろうと思うことがあります。
中村:いろいろあるんだけれど、書いちゃいけないことばっかり浮かんでくる(笑)。まあ不思議なルールではないかもしれませんが、僕が映像の仕事で驚いたのは「こんなに撮れ高悪いんだ」ということかな。一日中カメラ回しても、オンエアだと10分ぐらいということって結構あるんですよね。自分が視聴者のときは、そこまでカメラ回していると思わなかったので、びっくりしました。
――そういった驚きは経験を重ねて常識になってきましたか?
中村:いまだに慣れない部分はありますね。ドラマや映画でも相当カット数を撮っても、実際バッサリと切られて使われないことってすごくあるんですよね。どこいっちゃったんだろうって思うことは多々あります(笑)。
――作品タイトルが「本日は異状なし」ですが、平穏な一日とスリリングな一日だったらどちらがお好みですか?
豊川:僕は平穏な一日がいいです。
中村:僕もです。
豊川:毎日スリリングだったら疲れちゃうよね。
中村:この仕事自体、異状なことと異常者だらけじゃないですか!(笑)。日常の暮らしは平穏がいいですね。
――Amazon Prime Videoのドラマですが、地上波作品との違いを感じましたか?
中村:逆質問になってしまいますが、視聴者側からなにか違いがありましたか?
――CMがないことや、非常に長い会話劇、さらに扱う題材も違うのかなと。
中村:題材に関しては、地上波でもやろうと思えばできるのかなとは思うんですけれどね。まあ予算や時間みたいなものは、全然違うのかなというのは感じました。でもやっている側は、配信だろうが地上波だろうが、全力で役と向き合うだけです(笑)。
豊川:現場にいる俳優という仕事においては、どんな視聴方法でもやることは変わらないです。ただ企画という意味で考えると、やっぱり自社で完結している作品のフットワークは軽いのかなとは思いました。
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— ドワンゴジェイピーnews (@dwangojpnews) December 13, 2021
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取材・文:磯部正和
【豊川悦司】
ヘアメイク:山﨑聡
スタイリスト:富田彩人
【中村倫也】
ヘアメイク:Emily
スタイリスト:小林新 (UM)
『No Activity/本日も異状なし』
配信開始日:2021年12月17日(金)
話数: 本編6話一挙配信
出演:豊川悦司、中村倫也/木村佳乃、清野菜名/岸谷五朗、岡山天音、岸井ゆきの
監督:英勉
脚本:じろう(シソンヌ)、土屋亮一
音楽:松本晃彦
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