駅名には複数の地名や単語を合成して作られたものがあります。その中でも、「そこで区切るのか!」と意外に思うかもしれない駅名をピックアップしました。

複合駅名、実はそこで区切っていた

鉄道駅の駅名には、複数の地名や単語を合成して生まれたものもあります。そのなかで、何と何を組み合わせたのか、一見して正しく当てることが難しいものも。そうした駅名で、いくつか代表的なものを紹介します。

●泉外旭川駅秋田県秋田市、JR奥羽本線

2021年3月、秋田~土崎間に開業したばかりの新駅です。つい「旭川」の2文字が目に入ってしまいますが、実は「泉+外旭川」が正解。「泉(いずみ)地区」と「外旭川(そとあさひかわ)地区」の中間地点に位置するため、両者の地名を合成して駅名としたのです。貨物駅を含む広大な鉄道敷地で隔てられた背景から、バス停も「外旭川駅前」など、個々の地区に即したものになっています。

梶栗郷台地駅山口県下関市、JR山陰本線

こちらも2008(平成20)年に開業した比較的新しい駅です。この駅名の由来は「梶栗(かじくり)」+「郷台地(ごうだいち)」。前者は戦前に存在した国鉄駅の駅名にちなみ、後者は周辺に広がる弥生時代の遺跡で、国の史跡にもなっている「綾羅木郷遺跡」のある台地にちなんでいます。また、駅の北側には梶栗町という地名もあります。

●森宮野原駅(長野県栄村、JR飯山線

長野県長野市新潟県長岡市を結ぶ飯山線の中間部、長野県新潟県の県境付近に位置するこの駅は、1945(昭和20)年に記録した「日本最高積雪地点」としても知られています。

この駅、付近に特別な野原があるわけではありません。駅名の由来は「森+宮野原(みやのはら)」で、駅周辺にある両県の集落名から採られました。

ハウステンボス駅長崎県佐世保市、JR大村線

オランダの街の風景が再現された遊園地「ハウステンボス」の最寄り駅です。この「ハウステンボス」という名称は古オランダ語で「Huis ten bosch」、英語にすると「House in the bush」、つまり日本語の意味は「森の家」です。「テンボス」という単語は無く、「ボス(森)にあるハウス(家)」という単語構造なのです。

てだこ浦西駅沖縄県浦添市沖縄都市モノレール

2019年に延伸開業した沖縄都市モノレールゆいレール)の新たな終着駅です。駅は浦添市の内陸部にあり、周囲は起伏に富んだ住宅地となっています。

このてだこ浦西駅、近くに「てだこ浦」があるわけではありません。駅名の由来は「てだこ」+「浦西」で、浦西は浦添市の西側という意味の周辺地区名、「てだこ」は「てぃだ・こ」で「太陽の子」を意味する沖縄方言です。「太陽の子」とは地元に由来のある、琉球王国の王のひとり「英祖王」に付けられた神号「英祖日子(ゑぞのてだこ)」から採られたといいます。

他にも、南阿蘇水の生まれる里白水高原駅熊本県南阿蘇村、南阿蘇鉄道)は「南阿蘇水」が生まれるのではなく、「南阿蘇」+「水の生まれる里」であったり、新所原駅(静岡県湖西市JR東海道本線天竜浜名湖鉄道)は「新所村の原っぱ」が由来であったりするなど、駅名には思わぬ「組み合わせ」で誕生していることがあるのです。

JR奥羽本線の泉外旭川駅(乗りものニュース編集部撮影)。