年が明け、4月になれば入園や入学を控えているお子さんも多いでしょう。「子どもが入園したら働き始めようかな?」と考えている女性も多いのではないでしょうか。

いまは共働きが主流となり、育児中でも女性が働くのは普通になりました。一方で、「専業主婦になりたい」と考えている女性がいるのもまた事実です。

専業主婦について語られるとき、しばしば取り上げられるのが男性側の年収です。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者数5245万人の平均年収は433万。年収400万円台の方がいわゆる「ふつう」なのですね。

日本の平均年収400万円台で専業主婦にはなれるでしょうか。専業主婦になりたい女性の本音も見ながら考えていきます。

20代の働く女性、約4割が「本当は専業主婦になりたい」

ソニー生命が全国の20歳~69歳の女性1000名に行った「女性の活躍に関する意識調査2020」(2020年10月27日公表)によると、有職女性594名のうち「本当は専業主婦になりたいと思う女性は29.8%でした。

これを年代別に見ていきます。

本当は専業主婦になりたい有職女性

全体29.8%

  • 20代:41.7%

  • 30代:26.6%

  • 40代:29.4%

  • 50代:27.0%

  • 60代:17.4%

ソニー生命調べ

総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」によると、2020年は共働き世帯が1240万世帯、専業主婦世帯が571万世帯です。

いまは共働き世帯が主流のはず、ですが、「ほんとうは専業主婦になりたい」と感じている働く女性は20代が最も多く4割を占めます。

20代といえば、0~6歳の乳幼児を育てている女性も多いでしょう。乳幼児の育児はお世話をするのが最も大変な時期。一日中危険がないか目を離せなかったり、夜間に授乳や夜泣きの対応などで何度も起きて寝不足だったりと、気力も体力も神経も使います。

はじめての育児に慣れず、家事も思うようにできない時期のため、仕事までは体力が持たないという女性も多いでしょう。

30~50代では20%台で推移しています。専業主婦になりたい人が最も少ないのは60代という結果になりました。

「LIMO[リーモ]の今日の記事へ」

日本の平均給与は433万円

それでは、専業主婦世帯の平均年収はいくらでしょうか。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」を参考にすると、「夫のみ有業世帯」の平均年間収入は677万円でした。

しかし、日本の平均給与は433万円です。先ほどの国税庁の調査の「第3表 給与階級別の総括表」より、年収400万円台の平均値をみると、平均給料・手当は「379万9000円」、平均賞与は「67万6000円」で、平均給与(年収)が「447万5000円」。

平均給料・手当を月額にすると、約31万6000円。社会保険料や税金を引くと、月の手取り額はおよそ25万円前後と考えられます。

手取り月収25万円で生活する場合、子どもが小さなうちは専業主婦でいながらやりくりをして貯金もできるでしょう。しかし子どもの人数が増え、習い事や塾に通い、食費や通信費、教育費の負担が増えてくるとだんだんと厳しくなります。

住む場所や生活水準、進学先等によってはゆとりがあるとは言えないでしょう。

「専業主婦になりたい」と思うその気持ちは?

専業主婦になりたいーそう思う理由は人それぞれです。筆者の周囲にも専業主婦の女性はいますが、一番多いのは「育児と家事の負担が大きいから」です。

彼女たちの夫は帰りが遅く、実家も遠方で頼れないため、1人で育児を担うワンオペ育児です。やはり下の子が乳幼児で、「お世話が大変で体力がもたない」「子どもが小さい間は一緒に過ごしたい」という思いから、下の子が入園するまでは専業主婦と決めているようです。

仕事に復帰したところで、夫の帰りが遅いと平日の家事育児はほぼ女性がやることになります。「両立する自信がない」「すべてやるのは負担が大き過ぎる」「どれも中途半端になるから今は専業主婦」といった声も聞こえました。

仕事選びについても、育児中の女性は選択肢が少ない傾向にあります。育児と両立するためには一般的に「土日休み」「9~15時まで」「看病のために急な休みがとりやすい」「長期休暇はシフトの融通がきく」などの条件が必要でしょう。

シフト制の仕事が見つかっても、勤務時間が不規則で幼稚園の送迎時間に合わなかったり、土日や長期休暇に出勤が必要な場合もあります。仕事選びが家庭のスタイルと合わずに専業主婦という場合もあるようです。

また、そもそも家事や育児が好きで専業主婦が向いているという女性もいます。向き不向きはそれぞれなので、専業主婦が一番合っている方がいるのも事実です。

それぞれの選択を尊重しよう

そもそも、働くか働かないか、働き始めるならいつかは、その人自身が決めること。夫が高年収でも働く女性はたくさんいます。夫の年収で妻が働くかどうかを決めるというのは、少し時代遅れかもしれませんね。

今は専業主婦は過程であり、ライフプランに合わせて働き方を変化させる女性も多いです。おのおのの選択を尊重していきたいですね。

参考資料