埼玉県の県立高校に勤務する50代の女性教師が、長男の通う別の高校の入学式に出席するため、担任を務める1年生の入学式を欠席していたことが報じられ、議論が起きている。

埼玉新聞によると、女性教師は4月8日に行われた入学式を欠席。式の途中で校長が女性教師の欠席理由を説明した。女性教師は文書を事前に作成し、当日、他の教師が生徒たちに配布したという。

「入学式という大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします」
ネット調査では「問題だと思わない」がやや優勢

しかし、関根郁夫県教育長が11日の校長会で、担任のいないことに気づいた新入生や保護者から心配の声が出た、と報告。「生徒が安心して高校生活をスタートできる体制づくりと心配りに努めてほしい」と注意したという。

子どもの学校行事が仕事と重なり、悩んだことのある人も多いはずだ。ネットでは「教師だとしても私生活を優先するのは当然」という意見が多い。人気ブログ「脱社畜ブログ」は、教師は率先して「仕事よりプライベートを優先」する姿勢を見せるべきと題し、

「担任とは今後も一年ぐらいずっと顔を合わせることになるのだから、初日いなかったとしてもそこまで問題ではないだろう」

コメントしている。教師がこのような行動を取ることで、生徒が大人になって働き始めたときに「自分も同じようにしていいんだ」と思えるようになる、という。

ヤフーの意識調査でも、14日16時半現在、女性教師の行動を「問題だと思わない」(約13万6000票)とする意見が49.3%、「問題だと思う」(約11万8000票、42.9%)を若干上回っている。

その一方で、入学式の出席をそこまで重視する必要もないという声もある。「高校生はもう大人。入学式に親なんか来て欲しくないだろ?」というわけだ。

担任を確認しに来た親たちは「肩透かし」?

教師を批判する側からは、「教員としての自覚が足りない」「自分の子供の式が大切なら担任するクラスの数十人分の気持ちも大切」といった声が多い。

子どもの入学式に出ることで、喜ぶのは自分の子ども一人。しかし、それによって迷惑を被る自分の生徒は40数名。数を考えれば、生徒の方を優先すべきだという。

入学式には、単に子どもの晴れ姿を目にするだけでなく「自分の子どもが学ぶのは、どんな学校なのか」を確認しにくる親もいる。そのときに担任が不在だと「何のためにわざわざ来たのか」と、肩透かしを食らったことに憤る人もいるかもしれない。

反対に、「担任に代わりはいるが、親に代わりはいない」という意見もある。担任がいないとしても、副担任や学年主任がいるし、初日の連絡事項などは他の教師が代わりに伝えることは可能だ。

「『倫理観』なんて曖昧な言葉で断罪すべきではない気がします。子どもたちに『自分のお母さんだったらどう?』と聞いてみて欲しい」
「そこまで『崇高な責務』を負わせたがるくせに、世の中の人って教職員を大事にしないし、敬わないよね」
学校は「時季変更権」行使できたはず

女性教師に対する批判もある中、「責任は学校や校長が負うべきだ」という意見もある。

そもそも女性教師は、学校に事前に伝えた上で休んでいる。有給休暇をいつ取得するかは、労働者の自由だが、労働基準法では、希望通り有給を取得すると業務に支障が出る場合、使用者側は「時季変更権」によって有休取得日を変更することができるとされている。

もし学校側が「入学式には担任出席が必須」とするのなら、時季変更権を行使して「別の日に休んでください」と命令すればよかっただけだ。今回は「入学式に担任がいなくても問題ない」と学校が判断した、と考えることもできるだろう。

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