東京エレクトロン デバイス株式会社 (本社: 横浜市神奈川区 代表取締役社長: 徳重 敦之 以下TED)は、東京工業大学、フラウンホーファー応用科学・精密機械工学研究所、ヴィアラックスらの日本・ドイツ国際産学連携チームと協働し、可視光(RGB)と赤外光(IR)を同軸に位置合わせされた高速プロジェクタを開発しました。



【背景】
プロジェクタ技術において投影対象は、建物や部屋などの平面、剛体であり、動かないものあるいは比較的ゆっくり動くものであることが一般的でした。風でたなびく布のような、非平面、非剛体かつ非常に高速に動く対象に対してプロジェクションマッピングを行うことは従来、難しいとされてきました。プロジェクタが高速動作に対応していなかったことが理由です。
TEDは*1. 1秒間に最大1000回のフレームレート(fps)でプロジェクションできる世界最速レベルの高速プロジェクタ「DynaFlash」を東京大学石川グループ研究室との共同開発をベースに製品化しました。
しかしこのシステムにおいて、対象の位置・形状認識には対象にマーカーを付けなければならないといった制約がありました。

TEDら産学連携チームではこうした制約を解消するため、プロジェクタを映像提示だけでなく、センシング用途にも併用することに着目しました。
ロボットなどの産業応用においてプロジェクタとカメラを連携する三次元認識(3Dセンシング)は空間コード化法、位相シフト法と呼ばれ、計測、検査に活用されていますが、ダイナミックプロジェクションマッピングでは十分に活用されてきませんでした。そこでこのようなセンシングを導入し、マーカー不要で、動いている対象にも高度なプロジェクションマッピングが行えるプロジェクタの開発を目指しました。
*1 2015年7月29日 TEDニュースリリース 
東京大学 東京エレクトロンデバイス 世界最速レベルの高速プロジェクタDynaFlashを共同開発
https://www.teldevice.co.jp/news_release/2015/press_150729.html

開発の概要
TED、東京工業大学、フラウンホーファー応用科学・精密機械工学研究所、ヴィアラックスらの日本・ドイツ国際産学連携チームは、2018年9月1日より共同研究を行い、ダイナミックインタラクションに向けた高速マルチスペクトルプロジェクタ・センシングの開発を行ってまいりました。今回その成果として、目に見えるカラー画像と、人間の目には見えない赤外線を用いた画像を、個別かつ同時に制御しながら超高速で投影できる、プロジェクションマッピング用の高速プロジェクタを開発しました。

高速プロジェクタの主な特長
このプロジェクタは24bitカラー(RGB)画像と不可視の8bit赤外光(IR)画像を個別に制御しながら、1秒間に最大925回のフレームレート(fps)で同時投影が可能です。これにより人間の目に見えない赤外光(IR)で対象物や・空間の三次元認識(3Dセンシング)を行い、その対象にピッタリと重なるカラー映像(RGB)を瞬間的に投影するプロジェクションマッピングが可能です。また1秒間に最大925回のフレームレート(fps)で同時投影できることで、動くものを対象としたダイナミックプロジェクションマッピングでの利用も可能です。
本研究成果には、米Texas Instruments社DLP(R) (Digital Light Processing)投影方式を用いた高速制御回路とLED制御が搭載されたTEDの世界最速レベルの高速プロジェクタ「DynaFlash」の技術が応用されています。

1. 8bit階調の映像を最大925回のフレームレート(fpsで投影
今回開発した高速プロジェクタは、米Texas Instruments社のDLP(R)デジタルマイクロミラーデバイスを2基搭載し、24 bitのRGB画像と8 bitのIR画像を、同時に制御することができるようにしました。
超高速のデジタルマイクロミラーデバイスの制御と光源の変調を高精度に連携させ、最大925 fpsまでの高フレームレート投影を実現。さらに独自の通信インタフェースにより、映像データの転送も高速化し、わずか数ミリ秒でコンピュータからプロジェクタへの映像転送から投影までを完了することができるようしました。この制御回路部の設計はTEDが担当し、世界最速レベルの高速プロジェクタ「DynaFlash」の技術が応用されています。

2. RGB画像とIR画像の同軸位置合わせ光学系を新規開発
独自に開発した光学系システムにより、RGB画像とIR画像の照明光学系を分離し、デジタルマイクロミラーデバイスの反射後にRGB画像とIR画像を統合することで、正確な同軸位置合わせとコンパクトでかつ高輝度の投影を達成しました。この光学系の設計はフラウンホーファー応用科学・精密機械工学研究所が担当しました。

図: RGB画像とIR画像を、本プロジェクタを用いてスクリーン上に925 fpsで投影している様子。右側のモニタ上には、RGB画像のみを捉えるカメラで撮影した投影像(モニタ内右)と、IR画像のみを捉えるカメラで撮影した投影像(モニタ内左)が表示されている。このように、スクリーンには2種類の画像が投影されているが、IR画像は人間には見えないため、この不可視の投影像を空間センシングに利用することができる。

【今後の展開】
エンターテイメント、アート、広告などのビジネス分野、さらに作業支援や医療支援など、社会でのプロジェクションマッピングの応用範囲の拡大につながる技術として研究開発を行う予定です。製品化は現時点未定です。

【付記】
本研究成果は、日本のJST SICORP JPMJSC1808とドイツのBMBF 01DR18009A and 9Bの支援のもとで行われました。

【東京エレクトロン デバイス株式会社について】
東京エレクトロンデバイスは、半導体製品やITソリューション等を提供する「商社ビジネス」と、お客様の設計受託や自社ブランド商品の開発を行う「メーカー機能」を有する技術商社です。
URL:https://www.teldevice.co.jp/

また、日本唯一のDLP(R) Design Networkのデザインサービス プロバイダーです。
URL:https://www.inrevium.com/product/dlp/

<本サービスに関するお客様からのお問合せ先>
東京エレクトロン デバイス株式会社
EC技術本部 技術第3グループ 山下 徹
yamashita.th@teldevice.co.jp
※このニュース リリースに記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

配信元企業:東京エレクトロン デバイス株式会社

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