地方競馬を舞台に、人生を諦めていた人々が桜花賞を目指して奮闘していく姿を描くスペシャルドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」の後編が、12月25日(日)に放送される(夜9:00-10:13、NHK総合)。主演の平手友梨奈は、中央の競馬学校を卒業するも成績が上がらず悩む女性騎手・芦原瑞穂を演じた。

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「正直、競馬については本当に分からない状態だったのですが、この作品と出合い、いろんなことをたくさん知ることができました。とくに、私は騎手の役だったので、少しではありますが騎手の方の大変さとかを実際に味わって、感じ取れたものもあるかなと思っています」

中央から地方競馬に移った傷心の瑞穂を受け入れたのは、廃業寸前の緑川厩舎。そこには、頑固でクセのある厩務員ばかりが集っていた。

「瑞穂は、最初は何が何でも勝ちたい子だったのですが、次第に緑川厩舎のために勝ちたいと思うようになっていき…。同じ“勝ちたい”でも意味が変わっていきます。成長物語としてもすごくすてきだと思いますし、この人間関係が作品の魅力のひとつだと思います。“誰かのため”という感覚はすごく共感できました」

撮影は実際の競馬場を使用し、牧場や厩舎などでも行われた。

「馬に関しても、乗ること自体が初めてだったので2カ月ほど前から少しずつ練習をして撮影に臨みました。最初からうまくはいかなかったですが、準備段階で競馬学校の先生に直接教えていただいたり、動画を見て学んだり、本当に貴重な経験をさせていただきました

元々動物が好きだったのですが、お馬さんは本当にかわいいと思いました。また機会があれば、大好きなお馬さんに乗ってみたいです」

人馬一体”の瑞穂を演じるため、常に馬のそばにいたそう。

「瑞穂は幼いころから馬と一緒に暮らしてきた女の子なので、撮影中も休憩時間もできるだけずっと馬のそばにいることを心掛けていました。これは、意識してやっていたわけではなく自然とそうしていて。だからか、お馬さんがいない日やスタジオでの撮影の日は逆に不安になったりして…。

いつの間にか、そばにいる方が安心できるようになっていました。一緒に走っているときは本当に楽しかったです。言葉が通じないからこそ、気持ちがひとつになった喜びを感じられたと思います」

2021年は映画2本とドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)に出演するなど、女優としての活動も多かった平手。

「歌やダンスとお芝居はやっていること自体は違うのですが、表現することに関しては自分の中ではそこまで変わらないと思っています。手段や方法が違うだけなので。だから“お芝居だから難しかった、大変だった”ことはないです。今回も脚本をいただいたときに感じたインスピレーションを大切にしながら、その場で変化する楽しさも感じつつ作りあげていきました。

そして作品に取り組む姿勢はもちろん、自分たちの気持ちを伝えるためのディスカッションの仕方などを含め、今回は俳優の先輩方やスタッフさんからもたくさん学ばせてもらいました。本当に学びのある現場でした。まだ自分のことさえも分からず彷徨っている状態の私ですが、いろいろ経験するのは楽しいです」

取材・文=玉置晴子

「風の向こうへ駆け抜けろ」に主演する平手友梨奈/ 撮影=富田一也/スタイリスト=清原愛花/ヘアメーク=Mao