東京商工リサーチは24日、コロナ禍の影響で経営破たんした国内事業者数が、累計で2,515件(負債1,000万円以上)に達したと発表。9月以降破たん件数が増加傾向にある中、12月もすでに128件が確認され、高い水準を維持。オミクロン型の感染が拡大する前に消費を楽しみたいとする動きから、足元の消費は好調。感染拡大後に再び低迷するリスクが懸念される一方、飲み薬が承認されるなど、消費者心理を下支えする材料が増えている。

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 東京都は24日、都内で新たに確認された新型コロナウイルス陽性者数が39人だったと発表。1週間前の金曜日より19人増え、7日連続で前週の同じ曜日を上回ったものの、69日連続で50人を下回った。また、都内で初となるオミクロン型の市中感染を確認したと発表。オミクロン型の市中感染はすでに大阪と京都で確認されており、国内では累計10人となった。

 オミクロン型の市中感染が広がる中、岸田首相が帰省や旅行を慎重に検討して欲しいと呼びかけるなど、警戒する動きがある一方、足元の消費は底堅い。首都圏や大阪などの繁華街では緊急事態宣言の解除以降、人出が右肩上がりで増加している。感染が再び拡大する前に消費を楽しみたいとする消費者が増え、家電量販店、百貨店、レストランの一部では12月上旬においてコロナ前を上回る売上を記録。

 厚生労働省は24日、メルク製治療薬「モルヌピラビル」をコロナウイルスの軽症・中等症用飲み薬として国内で初めて承認した。この週末に配送が始まり、対象者は18歳以上で重症化リスクのある患者。自宅でも使いやすい治療薬が承認されたことで、消費者の感染への警戒感が緩和されるものと思われる。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間25日午前9時時点で2億7,880万人超、死者数は539万人超。国別の最多は米国の5,192万人超、次いでインドが3,477万人、ブラジルが2,223万人。以下、イギリス1,195万人、ロシア1,016万人、トルコ926万人、フランス908万人と続く。日本は直近4週間での新規感染者数が3,600人程度に抑えられており、累計感染者数は173万人台。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、24日時点で2,515件(負債1,000万円以上)に達したと発表。負債1,000万円未満の小規模倒産を含めると2,646件。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで2万4,952人に達した。

 飲食や小売などは、緊急事態宣言が解除されて以降、緩慢な回復を継続。12月に入り一部でコロナ前を上回る売上高や、数四半期ぶりの黒字を記録した企業が確認された。オミクロン型の拡大で再び消費が低迷するリスクはあるものの、日本は水際対策やマスク着用の徹底により感染者数が抑えられ、週明けからは飲み薬も使用できる。コロナ前に戻りつつある消費の勢いが維持されることを期待したい。

コロナ関連の破たん2515件に 好調な消費の維持に期待 東京商工リサーチ