オミクロン株の市中感染も確認され、「第6波」の到来が懸念されています。コロナ禍で迎える2回目の年末年始も、おうち時間が増えそうですね。

時間があるときにぜひ考えてみたいのが、家計管理や貯蓄のこと。十分な貯蓄を達成するには、まずは目標と計画を立てることが大切です。

そこで今回は、年収によって貯蓄にどんな影響があるかを考えてみたいと思います。高収入の目安とされることも多い、年収1000万円世帯。600万円世帯と比べると、貯蓄事情や共働き率などに違いはあるのでしょうか(※編集部注)?

人には聞きづらい他人のお金事情について、公的な資料をもとに深掘りしてみたいと思います。

【※参考記事】年収400万円台「いわゆるふつうの世帯」の貯蓄平均

年収1000万円世帯のお金事情

まずは年収1000万円世帯から紐解いていきます。総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)第8-2表」を参考にしたところ、「年収1000万~1250万円」世帯のお金事情は次のような結果になりました。

■世帯年収1000万~1250万円 勤労世帯の貯蓄額と負債額

平均貯蓄額:1945万円

【貯蓄の内訳】

  • 通貨性預貯金:666万円

  • 定期性預貯金:527万円

  • 生命保険など:420万円

  • 有価証券:227万円

  • 金融機関外:105万円

平均負債額:1074万円
(うち住宅・土地のための負債:970万円)

※純貯蓄額(平均貯蓄額-平均負債額):871万円

参考までに、「年収1000~1250万」勤労世帯の家族構成も見てみましょう。

■世帯年収1000万~1250万円 勤労世帯の家族構成

・世帯主の平均年齢:49.4歳
・世帯人数の平均:3.55人
 (うち18歳未満の世帯人員:1.01人)
・世帯主の配偶者のうち女性の有業率:69.6%

女性の有業率が69.6%になっていることから、約7割が共働き世帯だといえますね。年収1000万円世帯では、女性の収入が世帯収入に貢献していることがわかります。

次で「年収600万円世帯」の様子も確認しましょう。

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年収600万円世帯のお金事情

同調査をもとに、次は「年収600~650万」世帯の結果をまとめてみます。

■世帯年収600万~650万円 勤労世帯の貯蓄額と負債額

平均貯蓄額:1209万円

【貯蓄の内訳】

  • 通貨性預貯金:412万円

  • 定期性預貯金:376万円

  • 生命保険など:263万円

  • 有価証券:126万円

  • 金融機関外:32万円

・平均負債額:930万円
(うち住宅・土地のための負債:874万円)

※純貯蓄額(平均貯蓄額-平均負債額):279万円

平均貯蓄額は1209万円と高額ですが、負債を差し引いた本当の貯蓄額は279万円。年収の半分にも届かない結果となりました。家族構成なども確認しましょう。

■世帯年収600万~650万円 勤労世帯の家族構成

・世帯主の平均年齢:48.3歳
・世帯人数の平均:3.29人
(うち18歳未満の世帯人員:0.97人)
・世帯主の配偶者のうち女性の有業率:54.8%

「年収1000万円vs600万円世帯」おもな違いは?

まず注目したいポイントは、女性の有業率です。年収1000万円世帯の69.6%に比べて、年収600万円世帯は54.8%。共働きの率が一定数影響していそうですね。

平均年齢は1000万円世帯の方が若干高いので、子どもに手がかからなくなり、妻が働ける環境が整いやすいのかもしれません。

いずれにしても、女性が働くことで年収アップは期待できそうだと読み取れます。

次の注目ポイントは、平均貯蓄額です。どちらの世帯でも、平均負債額は約900万円。年収に約400万円もひらきがあるのに負債額がほぼ同じということは、借り入れ率に違いが出てしまいます。

実際に純貯蓄額を見てみると、年収1000万円世帯は871万円、年収600万円世帯は279万円。この違いも「年収1000万円vs600万円世帯」で見逃せないポイントですね。

純貯蓄額を増やす方法は?

住宅ローンなどの負債を抱えたままでは、純貯蓄額をあげるのは現状難しいです。

だからといって貯蓄を切り崩して繰り上げ返済すれば、将来の利息は抑えられても貯蓄額が目減りします。すでに借入金のある世帯が純貯蓄額をあげるには、年収アップを目指すしかないのでしょうか。

先述のとおり、女性の有業率を上げるのも一つの選択肢だといえます。ただ子どもの年齢や夫の働き方(夜勤や転勤族など)によっては、難しい世帯があるのも事実。

そこで選択肢になるのが資産運用です。「怪しげな勧誘」「お金持ちだけが余裕資金でできるもの」などのマイナスイメージがあるかもしれませんが、今は政府が後押しするiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなど、比較的安心できる金融商品もあります。

先ほどの調査結果で、預貯金以外に生命保険や有価証券に分散する人が多いことからも、これからは資産運用をお金の置き場所にする人が増えていくでしょう。

貯蓄の目標を達成するために

年収によって貯蓄事情が異なることがわかりました。あくまでも平均なので、家族構成やライフプランによって千差万別でしょう。しかし客観的なデータが示す特徴からは、学べることがたくさんあります。

漠然と「お金を貯めたい」「年収が高い人はいいな」と思う自分から、行動に移せる自分へと変わってみませんか?

そのためには何よりも情報収集が大切になります。

純貯蓄額をあげるには年収アップだけでなく資産運用も有効といいましたが、こちらも情報なしでは始められません。少額の投資にも必ずリスクがあるからです。

リスクを抑えながらも自分なりの方法でお金を育てていく。そのためには、正しくかつ最新の情報を手に入れることが必要不可欠です。

時間があるときに、しっかり向き合ってみましょう。

参考資料