なかなか人には言えない“尿もれ”の悩み。基本的には命に関わる病気ではないが、日常生活が送りにくくなったり、身近な人にも話しづらかったりと深刻な悩みを抱えている人も多いだろう。今回は長年、泌尿器のトラブルを治療してきた医師・高橋悟先生に、腹圧性尿失禁や過活動膀胱の改善に役立つ「骨盤底筋トレーニング」のやり方を教えてもらった。

【写真】座ったままでスキマ時間にもできる!骨盤底筋トレーニング法をチェック

※本記事は『全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方』(毎日が発見)から一部抜粋・編集しました。

【高橋先生】骨盤底筋は骨盤の底に位置していて、膀胱、直腸、子宮など骨盤内にある臓器を支えている筋肉のことで、ここを鍛えることで突然の尿もれや頻尿を防ぎます。このトレーニングによって骨盤底筋が強く、太くなるので膀胱や尿道をしっかり支えられるようになり、排尿コントロールがしやすくなります。

このトレーニングは、「腹圧性尿失禁」だけでなく、過活動膀胱の症状のひとつである「切迫性尿失禁」にも効果があります。尿意を感じたとき骨盤底筋にぐっと力を入れられるようになると、尿もれを防ぐことができるようになります。

骨盤底筋トレーニングのポイントは2つ。1つは、尿道、膣、肛門など、締める部位をしっかり意識すること。もう1つは2~3カ月間、毎日継続してトレーニングをすることです。2~3カ月間続ければ、筋肉が太く強くなってきて、効果があらわれるはずですよ。

■あおむけで行う骨盤底筋トレーニング

(1)あおむけに寝て足は肩幅程度に開き、膝を立てます。腕は体の横に自然に置いて、リラックスしましょう。

(2)おならを我慢するように肛門を締め、そのまま女性は膣と尿道、男性は陰茎のつけ根を締めて頭側に引き上げるような感覚をキープして10秒数えます。

(3)さらに強い力で、1回につき1~2秒間短く締めます。5~10秒休み、(2)と(3)を10回で1セット。1日6回行います。

写真左のように、力んで肩が床から上がってしまったり、おなかをのぞき込んだりすると、効果が出ないので注意しましょう。また、写真右のように足を閉じてしまうのもNGです。足は肩幅程度に開いて、お尻は浮かないように床にぴったりつけて行ってください。

■座って行う骨盤底筋トレーニング

座ってトレーニングする場合は、イスに深く腰かけ、太ももと背中が直角になるように座ります。イスの背にはもたれず、(2)と(3)の手順を行います。

背筋は伸ばして顔は正面に。力みすぎて体に力が入りすぎないよう、あくまでもリラックスした状態で行いましょう。

■立って行う骨盤底筋トレーニング

(1)背筋を伸ばしてイスの背につかまって立ちます。顔は正面を向いて、足は肩幅程度に開きます。

(2)膝を軽く曲げます。膝がつま先より前に出ないように気をつけます。

(3)膝は肛門を締めるタイミングで伸ばして元の位置に。あお向けで行うのと同じく(2)、(3)の手順で締めて、引き上げる、を繰り返します。

リラックスした状態で行おう