加藤歩とのコンビ「ザブングル」で芸人として活動し、2021年に引退した松尾陽介の対談シリーズ。対談のテーマは「40代からのセカンドキャリア」について。40代ならではの仕事や家庭、健康の悩みから、今後の人生の歩み方を考える。


前回のスギちゃんに続き、2組目のゲストは「流れ星」のふたり。破天荒な芸人タイプのちゅうえいと、副業もしている堅実タイプの瀧上。同世代3名による、ハチャメチャ対談スタート!(全3回の1回目)

★この対談の様子は、前編を週刊プレイボーイの公式YouTubeチャンネル(配信中)、後編をOMATSURIチャンネル(後日配信)で配信!

■芸人=パチンコ説

松尾 同じ東海地方出身で、ほぼほぼ同期という繋がりで今日は来て頂きました。

ちゅうえい お久しぶり、マッツン

松尾 そんなことより、急にやめたじゃん僕。ビックリしたでしょ?

瀧上 ビックリしたよ!

ちゅうえい 「なんで?」って聞くタイミングもなかった。

松尾 なんでだと思う?

ちゅうえい え、クイズ

瀧上 当てにいっていい?

松尾 いいよ。

瀧上 闇営業問題。

松尾 ほぼ正解だよ(笑)。まあ、きっかけの一つではあったかな。そこにコロナとかも重なって。でも一番は年齢かな。

瀧上 いくつだっけ?

松尾 44歳。今年45。例えばいま未来を想像した時に、もう頂点なんて考えられないじゃん?

ちゅうえい それは30代半ばぐらいで分かったよ。山の頂に立つタイプじゃないんだなって。

松尾 支える側だったって。

瀧上 最初はみんな山の頂点目指してね、全員ダウンタウンさんみたいになれると思ってたもんね。

松尾 思ってた。ダウンタウンさんとかは、卒業みたいな形で抜けていくと思ってたし。

ちゅうえい そう。さんまさんとかたけしさんも、いなくなると思ってた。

松尾 だから「30歳、40歳になった頃には、僕らも冠番組を持って......」とか思ってたのが、まだ上が全員残ってるし。

ちゅうえい 俺らの若い頃とかだと、ナイナイさんとか早かったよね。20代でメインの番組とかやってて。

松尾 だから、僕ら20代の頃なんか「30歳超えて売れてもないのに、まだお笑いやってるの?」って思ってたじゃん、楽屋で先輩とか見て。

ちゅうえい 思ってた。

瀧上 カンニングさんが売れた時あったでしょう? 売れる直前「もう芸歴10年だよ!」って自虐ネタで言ってたもんね。

松尾 当時はそれでウケてたんだけど、今は楽屋に芸歴20年の40代が溢れてるじゃん? テレビで見たこともない人が(笑)。

瀧上 いま「芸歴10年なんですよ」って言うと「若いね」なんて(笑)。

ちゅうえい 今は10年でやっと説得力出てくるかな、みたいな話だもんね。

松尾 いつの間にこんなことになったんだろう。だから20代で売れるとかすごいよね。

ちゅうえい 今、逆に20代で売れた人を見ると心配。

松尾 そうね。でも、第7世代とかは20代で頑張ってるじゃん? あと、さっき言ったように上には大御所がたくさんいるじゃん? そうなると僕たち40代くらいの世代が一番ヤバくない?

ちゅうえい ヤベえよ。

松尾 冷静に考えたときに「ちょっと待てよ。俺、大丈夫かな?」って思ってしまったのが辞めたきっかけかな。

ちゅうえい けど、食べてはいけてたんでしょう? 

松尾 でも一生食べれるかって考えたら分からない。あと、60、70歳まで相方とネタ考えて舞台立つってしんどくない? メチャクチャかっこいいとは思うけど。

瀧上 分かる。あくまでそれは理想であって、現実で考えると......ということだよね。

松尾 そう。

ちゅうえい 何歳でやめた?

松尾 だから44だよ。

ちゅうえい 44歳でやめる勇気って一番すごくない?遅くても30代後半とかなら分かるけど。

松尾 遅いかなとも思ったんだけど、40代ってまだ元気だし。もっと言うと、30代中盤の頃より人との繋がりも増えたから「辞めても出来そうかな」って思ったんだよね。

ちゅうえい 未練はなかったの?

松尾 逆に30代だったらあったかもしれないし、相方からも止められたかもしれない。ただ44歳だし、相方も「それはしょうがないな」って。「第2の人生、自分も考えるところはあるし」って言ってたから。

瀧上 なるほどね。俺らぐらいやってると後輩たちがどんどん辞めていくじゃない? 若いやつらが辞めていくと毎回「偉いな」と思って。俺、お笑いってパチンコみたいなものだと思ってて。例えば「CRザブングル」っていうのがあったとして......。

松尾 「CRザブングル」いけそうだね。リーチで「カッチカチやぞ」からの、外して「悔しいです!」でしょ!

瀧上 ちょっとごめん、例え話だから、そこ広げないでもらっていい?

松尾 「あの台「悔しいです!」ばっかりだからザブングル嫌いなんだよ!」っていう奴が出てきたりしてね。

瀧上 だから広げないで(笑)。例えば、芸歴1年を1万円だとしてさ、みんな1万円ずつつぎ込んでいく訳。10万円で当たる人もいれば、たった3万円で当たる人もいる。スギちゃんみたいに20年でやっと当たる人もいるけど、それは端から見たら「いつまでやってんだ」って思っちゃうじゃん? 「20万つぎ込んで出ないんだったらもう無理だよ」って。

松尾 そうね。

瀧上 でも、10年で辞めようとすると「まだ辞めるなよ」って先輩に言われたりして、「もう1年頑張ってみます!」って言うんだけど、パチンコで考えると、「10万負けたんで、もう辞めます」っていうのは、一般的には「そのほうがいいよね」って思うじゃん?

松尾 辞めなきゃ絶対当たるってわけじゃないしね。

瀧上 そうそう。

ちゅうえい でも「辞めなきゃ当たる」っていう妄想はあるよね。辞めたら絶対当たらないわけだし。きりがないけど。

瀧上 芸人はギャンブル好きだから、お笑いもギャンブル感覚で麻痺しちゃって、辞めるに辞められない、みたいな。何故なら辞めた時に、今までつぎ込んできた年数がムダになるのが怖いっていう。

松尾 スギちゃんみたいにつぎ込んで売れる人もいるじゃん?

瀧上 だからややこしいんだよ。

ちゅうえい ある意味スギちゃんは悪いよ。若い子たちに希望を持たせちゃったから。

松尾 あんな年で売れられたら、あれはワイルドだよ。

瀧上 ザコシショウとかもそうだし。

松尾 バイきんぐがそれの最初だった気がする。頑張ってりゃ売れるんだ、みたいな。

瀧上 最初はそれこそカンニングさんじゃない? 

松尾 でも、いま考えたらカンニングさんって売れるのそんなに遅くなかったんじゃない?

瀧上 ギリギリ20代だったかも。

松尾 そうだね。40代からっていうのは、昔は考えられなかったでしょう?

ちゅうえい 40代で売れ始める、っていうのはなかったよね。

松尾 錦鯉さん50代だよね。。

(2回目の記事に続く)

★この対談の様子は、前編を週刊プレイボーイの公式YouTubeチャンネル(配信中)、後編をOMATSURIチャンネル(後日配信)で配信!

■松尾陽介(まつお・ようすけ) 
1977年1月28日生まれ。1999年に加藤歩と「ザブングル」を結成。『アメトーーク!』の「運動神経悪い芸人」では「ガチ王」「水神さま」の異名を持つ。2021年に芸人を引退。現在は(株)OMATSURIの代表取締役社長

流れ星
ちゅうえい(43歳)と瀧上伸一郎のコンビ。2017、2018年 に『THE MANZAI』でたけし賞を受賞。高校の同級生だったふたりが、2000年に結成。
流れ星☆20周年記念ツアー ベストネタライブ『 絆 〜3度目の正直なんやさ!〜』チケット絶賛発売中!
日時:2022年3月12日(土) 場所:日本青年館ホール

撮影/関根弘康

40代のセカンドキャリアについて語った松尾陽介と流れ星☆