「深川のお不動様」として親しまれている「深川不動堂」。千葉県成田市の大本山成田山新勝寺の東京別院で、厄除けや交通安全など各種祈願が行われ、例大祭である深川八幡祭りが都内屈指の祭りとして知られています。
大晦日や新年のお参りの時期には、参道付近に露店がずらりと並び、1年で最も活気に満ちているといっても過言ではありません。本堂に向かうまでの約150mの参道は「人情深川ご利益通り」と呼ばれ、1918年創業の佃煮店『筑定』や1907年創業の『深川 伊勢屋』など老舗のグルメも楽しめます。こちらでは、新年に味わいたい老舗の「お菓子」4品をご紹介します。
絶対外せない! 『深川 伊勢谷』の「すあま」(赤・白)
1907年創業の『深川 伊勢屋』は、江東区にある本店と平野店を中心に5店舗を展開しています。1つ1つ職人が手作りする和菓子は、国内産の餅粉や小豆になど素材にこだわった、繊細で品の良いものが並びます。名物は団子ですが、関東ならではの和菓子「すあま」はぜひ紅白で揃えて、祝賀ムードを盛り上げたいですね。
『伊勢屋』のすあまは、上新粉と白砂糖で丁寧に練り上げて作られます。歯切れがよく、程よい弾力と舌触りの良い食感が特徴で、甘さは控えめ。抹茶をたてて、襟を正していただきたい気品あふれる一品です。
一枚皮で焼かれた平べったい『梅花亭』の「どら焼き」
嘉永3年(1850年)創業、神楽坂にも店舗を構える老舗和菓子店『梅花亭』。こちらで人気なのが「どら焼き」で、一枚皮で焼かれた平べったい形をしています。起源は初代創業者が蘭学者宇田川興斎師の話をヒントに釜で焼いた「亜墨利加(アメリカ)饅頭」。二代目が一般のどら焼きとは少し異なる型の『銅鑼焼(ドラヤキ)』を作り上げました。
そして三代目によって、現在販売している平たいどら焼きが誕生。歴史を重ねた菓子の味は、新年の厳かな雰囲気にもピッタリです。ぎゅっと詰まったカステラ部分とコクのある餡子のバランスが絶妙! おもたせにも喜ばれる一品です。
小気味のいい歯応えがたまらない!『其角せんべい』の「日本一堅いげんこつ」
地元客に60年以上もの間、愛され続けているせんべい専門店。『其角せんべい』では堅焼をメインに、「日本一堅いげんこつ」や「日本一硬いせんべい・極堅深川」など、全国から注文が入るほど人気の商品が並びます。
「げんこつ」は、宮城の餅米「ミヤコガネ」など厳選した原料で丁寧に作られ、たまり醤油で味付けしています。見るからに堅そうですが、サクサク、ホロロとした小気味の良い食感! ただ硬いだけじゃないところがさすがです。甘味が苦手な人へのお土産にも重宝しそうですね。
口溶けと豆の風味が別格!『深川 華』の「きんつば」
『其角せんべい』の隣に店舗を構える『深川 華』。創業150年の歴史を重ねる老舗江戸駄菓子屋です。店頭には野菜を模った飴細工も売っていて、あまりの美しさに足を止める人も少なくありません。
特に名品と名高いのが「きんつば」です。一般的なきんつばは皮の中が羊羹になっていますが、『深川 華』では「つけきんつば」と言って、あんこに近い状態の柔らかさで、食べた時の口どけと豆の風味が絶品! 1個ずつ手焼きしているため大量生産ができず、「深川不動堂」を参拝した人だけが出会える一品なのです。
新年にいただきたい老舗和菓子の数々。すべて「深川不動堂」の参道で購入できますので、参拝の際にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
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