ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や、ゲームから受けた影響などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。今回話を聞いたのは、『ZIP!』(日本テレビ系)でお天気キャスターとして活躍する貴島明日香だ。

 お天気キャスターや、モデル・タレントとしても活躍するなか、OPENRECやYouTubeチャンネルでは、ゲームに熱中する姿や愛猫との日々、お酒を飲みながら話す姿など素の表情をさらけ出している。

 そんな貴島は、ゲームとどのように接してきたのか。そして2021年10月で1周年を迎えたYouTubeチャンネル「あすかさんち。」の活動に通じるゲームやインターネットの原体験について語ってもらった。(編集部)

参考:【撮り下ろし写真】貴島明日香

■ネット上での友達は支えのような存在

――まずはゲームとの出会いについて教えてください。

貴島:兄が2人いることもあって、幼稚園のころから人がゲームをしている姿を見るのが好きでした。自分自身がゲームにを初めてプレイしたのは小学生の時で、ニンテンドーDSの『さわるメイドインワリオ』が最初に遊んだゲームでした。

――現在は『Apex Legends』をメインに配信していますが、FPSとの出会いも早かったのでしょうか?

貴島:FPSとの出会いも、兄を通じてでした。当時から兄はパソコンでゲームをやっていて、それをまた横で見ていたんです。最初は『Left 4 Dead 2』というゲームを見ていて、すごく面白いなと。自分でもやりたいなと思って、テストでいい点を取ったら買ってくれるということだったので、その時だけすごく勉強を頑張って(笑)。そこからFPSを遊び始めました。

――けっこうビジュアルも恐ろしい作品ですよね。

貴島:それ以外でも、小学4年生のころからパソコンゲームに触れる機会が多かったので、友達とSkypeを繋いでゲームをすることも、FPSを始める前からよくあったこともあり、特に抵抗はなかったです。

――その友達はリアルの友達ですか?

貴島:リアルの友達もいたし、まったく顔も名前も知らない人と一緒にゲームをすることもよくありました。

――いまとなっては当たり前ですけど、当時からそういう体験をされていたんですね。

貴島:たしかに、貴重な体験でしたね。学校の友達にはパソコンゲームをやっている人はあまりいなくて、ネット上での友達は、中学生の私にとって支えのような存在でした。中学1年生のときに部活を辞めて、そこからネットゲームチャットに出会って、オンラインゲームの楽しさを知って。

――学校というコミュニティとは別に、自分の拠り所があるのはすごくいいですね。

貴島:いま思うと本当にそうだったなと思います。兄もオタクだったので、自然と私もニコニコ動画などのインターネットカルチャーが好きになっていきました。

――現在はOPENRECとYouTubeでゲーム配信をされています。いちばん最初にコラボしたのがすももさんだったように、ゲーム配信者さんとの交流も貴島さんのチャンネルの魅力になっているのかなと。

貴島:もともと人前に出ることに慣れているというよりは、「ゲームがそうさせてくれた」というのもあると思います。ゲームを通してすももさんとも分け隔てなく話すことができたり、見てくれている方とも話せたり、自分の素をうまく出せるツールがゲーム配信だったのかなと。中学生のころからゲーム実況を見るのがすごく好きだったので、そういった温度感はなんとなくわかっていたのかもしれません。

――コラボも多彩ですよね。

貴島:自分とかかわりが全くない人とも繋がることができるのがゲームの魅力だと思っています。たとえば清水翔太さんともコラボさせていただいたんですが、まったく違うジャンルの方ですし、お会いする機会があったとしても、なかなかしっかりお話する機会がないので。だからこそ、そういった方と縁を繋いでくれるゲームは、すごくありがたいなと思います。全然自分と関わりがない方、プロゲーマーの方や、VTuberの方、アーティストさんなど、自分の幅を広げるという意味でも、いろんな方とコラボしたいと思っています。

――いきなり初対面の方と話すとなると大変な部分もありますが、ゲームを介すると途端に打ち解けられますよね。

貴島:『Apex Legends』のように協力プレイ前提のゲームでは、「一緒に頑張ろう」というチーム感がより生まれやすいというのもあると思います。逆に『マリオパーティ』のように戦ってお互いが楽しんで素が出せるゲームも仲良くなれるのかもしれません。私はもともと人見知りなので、そういったツールがあるのはすごく嬉しいです。

――コミュニケーションツールとしてゲームを支えにしている方は多いですよね。貴島さんのチャンネルを見ていて面白かったのが、配信中にいきなりUber Eatsを頼み始めたりと、普段の生活が配信に垣間見えること。ファンの方には嬉しいポイントなのかなと。

貴島:そうですね。普段からゲームしながらUber Eatsを頼んだり、友達とゲームをしているときもそういう流れになったりするので(笑)。最初にゲーム実況を始めたときから、あまりかしこまらないようにというのは強く意識していたので、身近に感じていただけるのはすごく嬉しいです。

――配信をやろうと気構えているのではなく、普段ゲームを楽しんでいる姿がそのまま見られているのだろうなと思います。

貴島:最近はより素の部分が出てしまっているかもしれません。先日は配信中に、ランページを撃ちながら暴言を言ってしまったり(笑)。普段はそういう言葉を使わないので、出たときに自分でもびっくりしてしまいました。それくらい気構えなくなった、ということなのかもしれませんが。

■YouTubeはファンとコミュニケーションが取れる場

――YouTubeチャンネル「あすかさんち」では、ゲームだけでなく、Vlog的なものや、お酒を飲みながらお話しているところまで、素の姿でのファンとのコミュニケーションの場としてYouTubeが機能しているように感じます。

貴島:朝の番組でお天気キャスターをやっていて、自分の中でも「しっかりしなければ」「ちゃんとした姿を見せないと」という気持ちがあるので、Twitterもおとなしくやっていたんですが、YouTubeを始めてゲームや素が出るような企画を配信するようになってからは、自分の中でも解放された気持ちがあって。別にかしこまらなくても、素の自分を「親近感持てます」や「好き」と言ってくれる人がいるんだということに気づけて、気持ちが楽になりました。そこからTwitterなども素を出すようになって、よりファンの方も身近に感じてくれているのかなと思います。

――コメント欄でも、朝の番組での貴島さんとのギャップを楽しんでいらっしゃる方も多いですね。

貴島:そうですね。もちろん『ZIP!』に出ているときの自分も一つの側面ではあるんですけど、やっぱり素の自分の方が落ち着く部分もあるので、そう言っていただけるのはすごく嬉しいです。

――先日、YouTubeのサムネイルを作る配信もありましたが、そういった自分の好きなものを自分から発信していける場にもなっているのかなと。

貴島:自分のチャンネルであればなんでもできるので、本当に自分がやりたいことを実現できていて嬉しいです。個人的にはもっと配信の幅を広げたいなと思っていて、いまは『Apex Legends』が中心ですけど、ほかのゲームもいろいろと配信したいです。

――先ほどお話に出た『Left 4 Dead』シリーズの制作陣による『Back 4 Blood』も発売されましたよね。

貴島:そうなんです! 『B4B』も含めてやりたいタイトルがたくさんあります。実はいま、配信外で『ときめきメモリアル』をやったりしているんですよ。配信でやりたいなという気持ちと、始めてしまったらクリアするまでやりたいので、二の足を踏んでいる気持ちもあります。なので、PlayStationの配信方法を誰かに教わりたいですね。

――たしかにパソコンとゲーム機だと配信の方法が違ったりしますね。

貴島:パソコンは長い間触れてきたのですが、そういった知識が実はあまりないので……。この間、配信中にLINEの画面が乗ってしまう事故が起きてしまったんです。

――ええ!?

貴島:めっちゃ焦りました。自宅から配信しているので助けてくれる人もいなくて、自分でOBSを触って配信しているので本当にびっくりしました。コメント欄も「やばいやばい」「すぐ消した方がいいですよ」と大慌てだったんです。

――生配信ならではの災難ですね。

貴島:そのときは本当に「終わった」と思いました。

――YouTubeで今後やってみたいことはありますか?。

貴島:YouTube自体は、コロナ禍に始めたので、なかなかロケができなかったんです。なので、今後は外に出る企画も、積極的にやっていきたいなと思っていますし、7月に引っ越しをしたんですが、新しい家での動画も撮りたいです。個人的には『Apex Legend』などでファンの方に10時間くらい付き合ってもらうような「○○するまで終われません」企画をまたやりたいですね。ほかにも、カスタム大会を開いたり、ゲームを通してファンの方とコミュニケーションが取れる場をこれからも作っていきたいです。

(取材・文=安田周平)

貴島明日香(写真=MANAMI)