デンマーク最古の都市の1つとして知られる中部の街・オーデンセ。この街の広場で昨年から行われている遺跡発掘作業の中で、先日、昔の人々の生活ぶりが分かる貴重な資料が発見されたそうだ。それは、未だ臭いを放つほど保存状態が良好な、1300年代に使われていたとされる“樽のトイレ”だった。

デンマークコペンハーゲン・ポストやユランズ・ポステンなどによると、樽のトイレが見つかったのは、昨年から始め、現在も発掘作業が続けられているオーデンセ中心部にある広場。同国の考古学者らが昨年、土の中に埋まっていた複数の大きな樽を見つけ、分析作業を進めたところ、内容物などから人の排泄物と判明し、樽は1300年代にトイレとして使われたものだと結論づけたという。700年も前のものでありながら保存状態はとても良好で、未だ樽からは「臭い匂い」がしているそうだ。

この面白い発見がいかに歴史的に重要なのかを教えてくれたのは、発掘作業に携わる考古学者のマリア・エリザベス・ラウリドセンさん。樽の発見は、そこが昔トイレとして利用されていた場所を示す以外に、中世の人たちの食生活や文化の一面を知る、貴重な手がかりになったと説明する。女性の胸ほどの高さもある大きな樽の中には、外側に魚のマークが入ったものも見つかり、これは樽がトイレとして使われる前に、魚の輸送や保存用に使用されていたことを示しているという。

また、保存状態の良い排泄物からは、当時の食生活の一端が分かったというラウリドセンさん。米ディスカバリー・コミュニケーションズ社のニュースサイト「ディスカバリー・ニュース」に対し、彼女はこれまでに行われた分析からキイチゴの成分が多く含まれていたとの結果が分かったと話し、「1300年代のオーデンセでは人気があった」食べ物だったと推察している。ほかにも、排泄物の中に「小さく切ったコケや革、布」などが見つかっており、こうしたものが当時「トイレットペーパーとして使われていた」事実も分かったそうだ。

さらに発掘現場深くに埋まっていた、トイレ用とは別の樽からは、井戸と繋がった「パイプシステム」も発見。一番下の樽には、流れてくる水から泥などを取り除くためと見られる「葦」が敷き詰められており、「各家庭がきれいな水を使えるよう」に配された浄化装置ではとの見方がある一方、ラウリドセンさんは大麦を備蓄して発芽を促す「ビール醸造装置の一部」との見解も示している。このようにデンマークで見つかった「臭い発見」は、14世紀当時のオーデンセの食生活や文化を伝える貴重な資料として、考古学者らを興奮させているようだ。