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 時に、廃墟となった建物は、年月が経つにつれて不気味さを増す一方で美しさを放つことがある。

 アメリカのペンシルベニア州に、かつて栄えた町がある。しかし現在は寂れ、ゴーストタウンと化している。そんな中、地域で封鎖された公道のみがアートな姿を漂わせ、外部から人を惹きつけているという。

 放棄されてしまったその道路は、今は無数の落書きが描かれていることから「グラフィティハイウェイ」と呼ばれている。『deMilked』などが伝えている。

【画像】 落書きで覆いつくされた州道路、61号線

 ペンシルベニア州北西部コロンビアセントラリアは、19世紀後半に石炭鉱業で栄えた町だ。

 しかし、1962年5月に発生した坑内火災によって連邦政府が退去勧告を出し、1000人以上の住民が町を離れ、セントラリアはゴーストタウンと化した。

 火災の原因は明らかになっていないが、メモリアルデーの準備中に役所職員が集積所のごみを焼却しようとしたところ、地下の鉱脈に火が燃え移ったとされており、現在も煙と有毒ガスの噴出が続き、地下の火が鎮火していない状態だと言われている。

 廃墟となったセントラリアの建物は、その多くが取り壊され、自然に還っている。坑内火災によって亀裂が発生した州道61号線は、復旧の見込みがなく放棄・封鎖された形となった。

 そして今では、この道路は完全に落書きで覆い尽くされているという。

グラフィティ・ハイウェイというニックネームで呼ばれる61号線

 90年代初頭からゴーストタウン化したセントラリアが、火災以来再び注目を浴びたのは、ホラー映画サイレントヒル』が公開された2006年だった。

 劇中に登場する町サイレントヒルが、セントラリアをモデルにしていると噂されたからだ。

 以降、多くの都市探検家たちがこの地域に足を運ぶようになり、元フィラルフィア州道路61号線に落書きを残すようになった。

 2010年までに、道路はほぼ全てがペンキで覆われるようになり、以降「グラフィティハイウェイ」というニックネームで呼ばれるようになった。

 長く続くその道路に描かれたカラフル落書きは、遠目から見るとまるで流れる川のようでもあり、ゴーストタウン化した町の中でそこだけが生きているかのようにも見える。

 インスタグラム「#graffitihighway」にも、様々な角度や距離、場所から撮影したグラフィティハイウェイの写真がシェアされている。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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ゴーストタウンと化した街の道路は落書きで覆いつくされていた「グラフィティ・ハイウェイ」(アメリカ)