「第43回ぴあフィルムフェスティバル in 京都」が1月16日(日)まで京都文化博物館にて現在開催中だ。この中でいよいよ1月15日(土)に「森田芳光70祭」が行われる。

「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」は、1977年にスタートした映画祭。メインプログラムは、第1回より続く自主映画のコンペティション「PFFアワード」。入選者の中から、これまでに森田芳光、黒沢清、園子温、塚本晋也、佐藤信介、李相日、荻上直子、石井裕也監督など160名を超えるプロの映画監督を輩出し、新しい才能が集う場所として広く認知されるようになった。

今回で43回を数える「ぴあフィルムフェスティバル」は、2021年9月の東京開催に続き、4年ぶりの京都主催開催が実現。開催は1月8日(土)~16 日(日)、11 日(火)の休館を挟んで8日間。会場は、京都が育んできた歴史と文化を継承し、映画発祥の地として新たな人材を発掘する場を提供する京都文化博物館のフィルムシアターで関西初上陸、未配信作含む23監督49作品が届けられる。

森田芳光監督は今回上映される『ライブイン茅ヶ崎』で 1978年の「第2回PFF」で入選後、『の・ようなもの』で鮮烈にデビュー。没後10年となる昨年から各地で開催中の「森田芳光70祭」が、第43回PFF東京開催に続き1月15日(土)に京都でも実施される。

前述の『ライブイン茅ヶ崎』や『の・ようなもの』に加え、『(ハル)』の3作品を上映し、プロデューサーであり公私に渡るパートナーの三沢和子がトークゲストとして登壇。さらに、追加ゲストとして、『ライブイン茅ヶ崎』『の・ようなもの』の上映後トークに、森田監督の熱狂的ファンであるライムスター宇多丸が登場することも急遽決定した。

上映作品の中でも注目は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のヒロイン役で話題となっている深津絵里主演の映画『(ハル)』。パソコンやメールを題材にした本作は、後に大ヒットしたハリウッド映画『ユー・ガット・メール』(1998年)より3年近く早く公開されたことでも話題となった。

透明感溢れる美しさと確かな演技力でみせる深津絵里さんの記念すべき映画初主演作品、ぜひこの機会にスクリーンで鑑賞してほしい。

■企画情報
第43回PFF in 京都「森田芳光70祭」

1月15日(土)11:00~
『ライブイン茅ヶ崎
監督森田芳光
1978年 / 85 分 / カラー
出演:青木真巳、石井保、三沢信子

茅ヶ崎で生まれ育った湘南ボーイ達の飾り気のないリアルな日常が、独特のリズミカルな構成で綴られる、瑞々しい青春映画。森田監督の最後の 8mm 映画であり、商業映画へのステップとなった記念碑的作品。

1月15日(土)14:00~
『の・ようなもの』
監督森田芳光
1981年 / 104分 / カラー
出演:秋吉久美子、伊藤克信、尾藤イサオ

古典落語の修業に励む二ツ目の落語家の恋と青春を描いた、森田監督の鮮烈な劇場映画デビュー作。35mm 長編映画を自主制作するという、まさかの挑戦に話題沸騰。軽快でスタイリッシュ、そして愛らしい夢の映画だ。

1月15日(土)17:00~
『(ハル)』
監督森田芳光
1996年 / 118分 / カラー
出演:深津絵里、内野聖陽、戸田菜穂

パソコン通信によって見知らぬ男女が出会い、恋が生まれるまでを描いたラブストーリー。96年当時、まだ一般化していない「メール」を世界で初めて取り入れた。メール特有の距離感や心の繋がりが、今だからこそより鮮明に伝わる。

『(ハル)』