(上原 由佳子:沖縄在住フリーライター

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 年末年始にかけて「オミクロン株」の感染が拡大している。沖縄の米軍基地や岩国基地では米軍人たちのクラスターが発生。多くの報道で、米軍がオミクロン株を持ち込んだのではないかと指摘され議論になっている。オミクロン株を機に、やっと日本全体で「日米地位協定」の問題点に焦点が当たるようになった。

 年末年始が来る前に米軍に規則を作るよう呼びかけていればここまで感染拡大しなかったという意見もある。

 確かに沖縄在住の筆者が、昨年(2021年)のクリスマスの時期に、米軍人と沖縄県民の若者たちが集まるダンスクラブ(以下、クラブ)やミュージックバーに行ったとき、米軍人たちはマスクをしていなかった(沖縄県民の若者たちもマスクをしていなかった)。

マスクをつけずに踊り狂う地元の若者と米軍人

 12月24日クリスマスイブは、那覇市内にある若者たちに人気のクラブに行った。地元の女性の先輩と一緒に行き、クラブで知り合った東京の横田基地から遊びに来ていたアメリカ空軍の男性、日本で声優をしているという米国人男性と、4人で飲んで踊っていた

 米軍人が多い沖縄のクラブでは、次から次へと海兵隊員が声をかけてくる。

 沖縄で事故や事件を起こしている米軍人のほとんどは海兵隊員だ。米軍人の中ではヒエラルキーがあり、海兵隊員は底辺に属すると言われる。空軍はエリートだとされており、彼らはプライドが高い節がある。沖縄で生まれ育った筆者の見方、実感からものすごく簡単に言うと、沖縄にいる海兵隊員は問題を起こすような若者が多いから関わらない方が良いということだ。

 筆者の友人でアメリカ海軍に所属している男性は、「普段は沖縄のニュースなんて知らないけど、由佳子からニュースが送られてきてビックリすることが増えた。若いマリーン海兵隊)は頭の悪い奴が多いから事件を起こしてしまうんだな。30代になると奴らも落ち着いてくるはずなんだけれど・・・」と話していた。

 こうした事情があり、クラブではできるだけ海兵隊員に声をかけられないようにしている。安全対策の1つは、アメリカ空軍の人と一緒にいることだ。事件や事故に巻き込まれないようにするためには、こうした自己防衛策も必要である。また、アメリカ空軍兵はモテるため、下心があまりなく女性に対してあっさりしているタイプもいる。クラブで遊んだり交友関係を築いたりするには、きわめて楽で好ましい存在だ。

 クラブの様子に話を戻そう。筆者が見る限り、ほとんどの沖縄県民の若者たちも、米軍人も、マスクをしていなかった。飲食のとき以外にマスクをつけていたのは、筆者たちぐらいだったのではないか。COVID-19の感染拡大がおさまりつつあり、沖縄県民の若者も米軍人たちも油断していたのだろう。

 ダンスホールは大勢の地元の若者と米軍人で溢れかえっていた。音楽が大音量で流れ、みんな踊り狂い、とても盛り上がっていた。沖縄県民の女性を物色する米軍人、楽しそうに海兵隊らしき米軍人と踊る地元の若い女性を横目に、何も起きないことを願うばかりである。

どんちゃん騒ぎで「クリスマスのお祝い」

 クリスマス当日(12月25日)は、クリスマスイブに知り合った空軍の男性に、バー2軒とミュージックバー1軒をまわるのに付き合ってもらった。

 1軒目は時間が早かったからか、かなりすいていた。沖縄県民の5人組がいたが、米軍人はいなかった。2軒目は、普段の週末は米軍人が結構いるのだけれども、県外客を含めて日本人客がほとんどだった。米軍人らしき人は、沖縄県民の女性とカップルで飲んでいる1人だけで、カラオケもしておらずおとなしかった。

 3軒目に行ったのは、昔からあるミュージックバーだ。ハコは広くないものの、米軍人と地元の若者に非常に人気があるスポットだ。クリスマスということもあり、米軍人と日本人がぎゅうぎゅう詰めになっていた。歩くのも困難で、バーカウンターでお酒を買うのも一苦労だ。筆者の友人はこのミュージックバーについて、「米軍人はナンパしてくるだけだからいいけど、どさくさに紛れて身体を触ってくる日本人がいる」と言っていた。その日も、ただぶつかったのか触られたのかわからないほど混んでいた。

 その中でマスクをしているアメリカ空軍の友人に、「この人混みでマスクしていて苦しくないの?」と聞いてみた。すると、「この人混みだからこそ、マスクしないと危ないでしょ」と答え、ビールを飲むとき以外はマスクを外さなかった。

 ミュージックバーでは、私たち以外の沖縄県民と米軍人は誰もマスクをしていなかった。みんなお酒をがんがん飲み、クリスマスのお祝いだと言って胴上げが始まってしまうほどのどんちゃん騒ぎである。年明けに米軍がオミクロン株の「感染源」として問題視される気配は微塵も感じさせなかった。

「沖縄に持ち込んだのは米軍だと思う」

 さて、年が明けて、筆者の自宅にPCの設定をしに米軍人の友人が来てくれた。筆者はその友人に「沖縄や日本の新聞では、米軍がオミクロン株を持ち込んだって騒がれているけど、どうなの?」と聞いてみた。

 本来ならこうした話は“政治的な話”にあたる可能性があるため、日本人である筆者にしてはいけないのかもしれない。けれども、筆者の自宅という閉ざされた状況もあり、米軍基地内の状況を少しだけ話してくれた。

オミクロンを沖縄に持ち込んだのは米軍だと思うよ。アメリカから基地にやって来る人は多いし、海外派遣、県外派遣から基地に戻って来る人もいるからね。沖縄で基地の外から基地内にオミクロンが持ち込まれたとは思えないな」と話していた。

 米軍人ですら、「米軍がオミクロン株を持ち込んだ」という見解を示している。

 しかし筆者自身は、現在の国際情勢を考えた時に米軍だけを責められるだろうか、とも思う。コロナ禍の中で米軍人が国内外を移動するのは、日本の安全保障に関わる用件もあったことだろう。それを踏まえると米軍だけを責める気持ちにはなれない。

 とはいえ、情報を隠蔽したり、普段から好き勝手したりする横暴な態度に耐えられないことも事実だ。これを機に日米地位協定を見直すべきだと考えている。ミクロレベルでは米軍人自身もオミクロン株を持ち込んだ自覚があるのだから。

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