エンジンそこかい!しかも今も動いてるんかい!

1989年1月に初飛行

1989(平成元)年1月11日、アメリカに本拠を構えるAASI(Advanced Aerodynamics and Structures)が手掛ける6人乗り単発ターボプロップ機「ジェットクルーザー450(Jetcruzer 450)」が初飛行しました。同型機は、実際に飛んだ民間機のなかでは、屈指のユニークさをもつ形状が採用されています。

現代の単発機は機首部分にプロペラエンジンがあり、胴体後方に垂直尾翼、水平尾翼といったレイアウトが採用されているのがスタンダード。機体は機首のエンジンに引っ張られるように推進します。

対し、「ジェットクルーザー450」は機体前方に「カナード」と呼ばれる先翼が備わるかわりに、胴体後方に翼はありません。また、主翼の翼端は大きく反り上がっています。なんといっても最大の特徴は、最後部に、プロペラエンジンを備えていること。機体は後方から押されるような形で推進します。軍用機の世界では戦時中、いくつか実用化された形状ですが、民間機とほとんど見られません。

とん挫と思われた「ジェットクルーザー」…実は続編が?

ジェットクルーザー450」は量産化のための重要なステップである、FAA(アメリカ航空局)からの型式証明を取得。その後、量産型の「ジェットクルーザー500」をはじめとする各種派生型も開発されたものの、資金難から「ジェットクルーザー」プロジェクト自体がとん挫し、実用化まで至りませんでした。

AASIは「ジェットクルーザー」シリーズの開発から2002(平成14)年に手を引きました。一方で、同シリーズの開発が完全終了となったかというと、そうでもないようです。

2021年12月、Twitterに「ジェットクルーザー」を冠する「Jetcruzer International」という企業アカウントが誕生。このアカウントは「2022年は、ゼロエミッション実現に向け電気飛行機のマーケティングを本格始動する」と表明しているほか、「ジェットクルーザー500」による飛行試験準備の様子も動画で公開しています。

AASI「ジェットクルーザー500」(画像:JohnAlan Bennett[CC BY-SA4.0〈https://bit.ly/3Fpkmu5〉])。