政府は2021年11月30日新型コロナウイルスオミクロン株の出現を受けて、すべての国と地域からの外国人の新規入国を原則、停止した。これにより、発給済みのビザに関しても効力が失われることになり、多くの留学生や日本人を妻や夫に持つ外国人の配偶者が日本に入国できなくなった。特に留学生に関しては11月8日に一時入国制限が緩和されたため、日本への渡航準備を始めていたという人も多く、困惑したという声が多く挙がっている。1月14日現在も状況は変わらず、新型コロナの流行が始まって以降、2年以上日本への入国を待ちわびている留学生も多い。

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 こういった事態を受け、Twitter上では日本に入国できないことを意味する「#japantravelban」というハッシュタグが作られ、日本への留学希望者から痛烈な声が寄せられている。中でも目立つのは、他国は日本人留学生を受け入れているのに日本は受け入れていない、ということを批判する声だ。例えばヨーロッパではイギリスフランスイタリアドイツなどで、ワクチン接種証明書を提示する条件はあるものの留学生の入国は可能。他にもアメリカとカナダ、アジアでは韓国やマレーシアの国々で門戸が開かれている。

 Twitterでは欧米在住と思われる留学希望者が、#japantravelbanのハッシュタグをつけ「私の国は、日本人の留学生を多く受け入れている。日本が日本で学びたいと思う外国人を差別し、阻害するのであれば、私の国も日本からの留学生を受け入れなければいい。それが平等というものだ」と痛烈に批判。別の留学希望者も「私の国も日本人留学生の入国禁止を求めたい。そうすれば留学生が受け入れられないことがどれほどの経験か日本人にも分かる」という。他にも「留学先を日本から変更したいが、すでに学費を日本の学校に支払い済みで変更ができない」「苦労して学費を工面したのに詐欺師のよう」と厳しい思いをぶつけている留学希望者もいた。オンラインで授業に参加しているという留学生もいるが、「オンライン授業は時差があって夜中に受けなければならず現実的ではない」と主張する。

 さらにTwitter上では#japantravelbanをつけて、日本が嫌いになったとつぶやく人も多く見受けられる。ある留学希望者は「日本は外国人がばい菌であるかのような扱いをしている。私は日本語を勉強したいだけだったのに、すでに日本が嫌いだ」と心の内を明かし、イタリア在住の別の留学希望者は「私は日本行きを何度も延期してきた。これ以上続くなら、留学先を韓国に変える。日本の対応には深く失望した」と伝えた。ほかにも「ずっと日本で研究者になりたかったが、入国禁止が続いているため、韓国のどこかの大学で研究を始めることになるかもしれない。2年待ったが状況は全く改善されていない」「私の周りでも泣く泣く留学先を日本から韓国に変えた学生がいた。でも韓国では歓迎されたようだ。留学生受け入れ拒否がどのような影響を与えるのか、日本は数年後に知ることだろう」強く批判した。

 一方で、「今はとても行き詰まっているけど、日本に住むことは私の夢だ。諦めたくはない」「コロナで露呈された日本の人種差別的な考えや外国人排斥が変わることを願っている」と希望を持ち続けている人も見受けられた。

 外国人が原則入国できないことに関しては、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が1月10〜12日にかけ「現在の水際対策は江戸の鎖国を彷彿させる。特に新規外国人の入国禁止、ホテルでの劣悪な監禁は見直して欲しい」「他の国は日本人を受け入れているのに、日本は外国人を受け入れない。あり得ない」とツイートし、外国人の間でも話題になっている。

 とはいえ、自国を守るために外国人の入国を拒否する水際対策は必要であり、その対策を支持する日本人は多い。しかしながら、マイノリティの意見や他国の状況にも目を向け、日本単体ではなく世界の中の日本であることを意識した対策を考える時期にきているのかもしれない。

記事内の引用ツイートについて
三木谷浩史氏の公式Twitterより https://twitter.com/hmikitani

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