このたびブラジルで、病院にて「死産」を言い渡された低出生体重児が“息をしている”ことに葬儀屋が気づき、埋葬前に命を救われた。家族は診察した医師及び病院への強い不信感を露わにしており、地元メディア『G1』の取材に医療過誤の可能性を訴えている。『The Mirror』『7NEWS』などが伝えた。

ブラジルのロンドニア州アリケメス市にて昨年12月27日、18歳の少女が妊娠に気づかぬまま自宅で赤ちゃんを出産した。

少女はこの日、耐え難い腹痛と下腹部からの出血もあり二度受診したが「検査の結果は明日まで分からないから」と家に帰されてしまったという。

同市の保健局長ミレーナ・ピエトロボンさん(Milena Pietrobon)は、少女が受診した際に「医師は彼女が妊娠しているとすぐに分かったはずだ」として以下のように指摘した。

「彼女の子宮の高さはへその上まで増してました。そして診察した医師の診断仮説(患者とのやりとりから予測する診断名)には、『中絶あるいは流産』と書かれています。」
「血液検査、超音波検査、妊娠検査など診断の確定に必要な検査をすべて行い、薬が処方され、(検査結果はすぐには出ないので)少女は家に帰されました。」

ところが同日の午前3時頃に再び激しい腹痛に襲われたため、母親は娘を病院に連れていくことにした。

少女の母親は当時の様子について、次のように明かしている。

「車を出すために家を出て、門を開けた時でした。娘が『何か出てきてる!』と叫んだんです。それが赤ちゃんが出てきた瞬間でした。」
「どうすればいいか分からず、しばらくは麻痺したように動けなかったんです。」
「でも赤ん坊の泣き声と瞬きをする小さな目に気づきました。」

タオルにくるまれ、胎盤がついたまま病院にやってきた赤ちゃんは男の子で、体重1000グラムの低出生体重児だった。

男児は医師の診察によって「死産」と宣告され、死亡診断書にも同様に記入された。しかし少女の母親は「(男児が)自宅で出産した時には生きていた」と語っており、胎児が母胎内で亡くなった状態を指す「死産」は少女の母親の主張と矛盾する。

その後、病院からの連絡を受けた葬儀屋によって男児の遺体が搬送され、出産したばかりの少女はそのまま入院となった。

それから4時間後、男児の埋葬の準備をしていた葬儀屋の男性スタッフが、亡くなったはずの男児から呼吸音が漏れているのに気がついた。心拍が確認された男児はすぐさま元の病院へと運ばれ、新生児集中治療室にて治療を受けた。

オーガスタス君(Augustus)と名付けられた男児は、適切な治療を受けて状態も安定しているという。

31日には、少女の母親によって「昨日は、手足をたくさんぶらぶらさせていました。足も腕も良く動かしていて、心拍もしっかりしています」とオーガスタス君の元気な様子も明かされた。

このたびのオーガスタス君の生還劇に、ミレーナ保健局長は病院からの報告をもとにこのように述べている。

「私にしてみれば、これは奇跡です。(オーガスタス君を診察した医師)は必死に『この赤ちゃんは亡くなっていた!』と断言していました。」
「亡くなった赤ちゃんは、葬儀屋が引き取りに来ました。でもどういうわけか、心拍が戻ったのです!」

赤ちゃんの生還という喜ばしい事実の一方で、家族は出産までの対応も含め、病院への不信感をぬぐい切れないようだ。

オーガスタス君が死産宣告を受けた時の病院とのやり取りを振り返り、少女の母親はこのように怒りを口にした。

「『とにかく、この子の命を救おう!』とする様子が病院からは全くうかがえず、激しい憤りを感じています。」
「私が『本当にこの子は死んでいるのですか』と尋ねたところ、彼らは『死んでいる。もう何もする必要はない』と言ったんです。」

“奇跡の生還”を謳う病院側に対し、病院および診察した医師の医療過誤を疑う家族および葬儀屋はアリケメス市にある統合治安部隊(Unisp)に(医療)事故報告書を提出した。これにより市の保健局は「すべてを明らかにするために、行政調査を開始した」と公表している。

画像は『The Mirror 2022年1月2日付「Premature baby declared ‘stillborn’ found to be alive while being prepared for burial」(Image: Newsflash)』『G1 2021年12月31日付「Grandmother reveals chosen name for baby who survived after being presumed dead in Ariquemes, RO」(Photo: Personal Archive)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE

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